| 前回つぶやきからの続きです。
4. 実効F値が暗いからストロボがいる。深度が欲しいから絞り込む。するとストロボが使えない! 5倍撮影時の被写界深度は0.048mmです。これは例えば尖った刃物の先端を撮影しても、刃先の手前にピントを合わせれば奥側はボケるという深度です。これでは何を撮っても何を撮っているのか分かりにくい写真になってしまいますので絞り込んで深度を稼ぐ事が常套手段となります。5倍撮影時の実効開放F値は16です。レンズの絞りを公称値F2.8から最小絞り値のF16まで絞り込むと、実効F値は91(取扱説明書では96、しかしこの値はEOSの絞り値表示ルールに違反しています)にもなります。ピンホールレンズの様なF値ですから、自然光での撮影はまず不可能。たとえ太陽が直接あたっている部分の撮影でも数秒という撮影時間になりますので、一般撮影ではマクロストロボが必要になります。
後日取扱説明書を入手するともっとショッキングな記載がありました。MLー3の調光範囲が高倍率/絞り込み時に外れるだけではなく、低倍率(とはいえ等倍以上の世界)、開放寄りの時にも外れるのです。つまり極めて狭い範囲だけでしかキャノンはMLー3という純正マクロストロボの動作を保証していないのです。なんなんだぁ...このレンズ!
5. ワーキングディスタンスが短いのでフィルターが必須。しかしフィルターが使えない。 このレンズの真骨頂である2〜5倍の撮影時のワーキングディスタンスは40〜60mmぐらいです。加えてこのレンズはピントリングを回すとニョキニョキっと130mmも伸びますから、レンズ前端を被写体に触れさせてしまうことが多々あります。実際、植物園で撮影して帰ってくるとレンズ前端の保護フィルターは花粉でべっとりと汚れていました。一方で高倍率撮影時にはマクロストロボを使う機会が増えますが、マクロストロボはフィルターを外さないと装着できません。マクロストロボ使用時にはフィルターを使う術が無いのです。
6. 光とボケを活かした撮影をしたいのに、光もボケも見えない。 KENの撮影スタイルは光とボケを活かすことです。自然光(太陽が直接被写体にあたっている状況)での撮影ならこのレンズでもある程度光とボケをファインダー上で確認できますが、より機会の多いストロボ撮影となると事前の光とボケの確認が出来ないのです。その原因は第一にマクロストロボML-3にはプレビューが無いこと(但し、69000円もするMR-14EXには装備されています)。第二に一般的に絞り込んで撮影しますが、その場合のボケ具合を見ようとしてプレビューボタンをおすと実効F値がとんでもない値まで絞り込まれますのでファインダーは真っ暗で何も見えません。
7. 三脚、ケーブルレリーズはもちろん必須。しかしそれだけは不十分。 極めて浅い被写界深度、暗い実効F値によるスローなシャッターなどにより丈夫な三脚、ケーブルレリーズは必須です。しかしマクロスライダーなどのシステム剛性を下げる機材も必要なためケーブルレリーズを使ってもそれだけでは確実にブレます。シャープな写真の為にはミラーアップは必須です。しかしミラーアップしても同じカットを5枚撮った結果では3枚がわずかにブレていました。これ以上のブレ対策をどうすればよいのか分かりません。沢山撮っておけ、と言うことでしょうか? 8. 結果、システム合計重量は3kgに迫る。 このレンズの単体重量は845gです。しかし実際に使うにはマクロスライダー/フォーカシングレール(500g〜1kg)とマクロストロボ(430g+電池4本)が加わり、フラッグシップ機のカメラボディ(電池込900g前後)を加えると、三脚を除いても3kgに達します。つまりサンニッパ+フラッグシップ機にすこし欠けるぐらいのシステム重量が必要なのです。このレンズで撮影に出掛けると、周辺機材だけでカメラバッグが一杯になり、他に殆どレンズを持ち歩くことが出来なくなります。
9. 屋外での撮影はまず無理? 極めて浅い被写界深度から、風のある屋外での植物撮影は非常に困難です。いわんや動き回る昆虫撮影はまず不可能でしょう。キャノンのレンズカタログの作例にテントウムシの写真が掲載されていますが、死んだか薬で麻痺させた昆虫でないとこの様な距離での撮影は無理です。マクロストロボをつけた状態だとストロボ前端から被写体までの距離は5倍時に20mm以下にまで縮まりますが、一方でマクロストロボは直径120mmもあります。だからレンズを近づけると昆虫などが留まっている木々の枝や葉にストロボが触れてしまい、虫は逃げてしまいます。キャノンの作例は一般的にはスタジオなどで麻痺させた虫をセットして撮影しないと無理でしょう。 なんとまだジャジャ馬ぶりは続くのです...次回では作例写真も掲載しましょう。 |
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