| つぶやき143で、6x6や6x7や6x8(=645)などの各種フォーマットと同じ縦横比を使い分けられる35mm「逆パノラマカメラ」の提案をしました。その後掲示板ではフォーマットの話題で盛り上がりまして、35mm一眼レフを使った24mmx24mmの正方形フォーマット(スクエアフォーマット)への改造に話題が行き着きました。
改造原理は簡単です。パノラマカメラ同様に、シャッターのところにマスクを装着して24mmx24mmの開口部を得るのです。この話題が盛り上がった直後に友人のMATIAさんが良いアイデアを披露してくれました。フロッピーディスクのシャッターがマスクには丁度良いというのです。フロッピーディスクのシャッターは色々なタイプがありますが、私の手元にころがっているちょっと古いフジやTDKのフロッピーのシャッターは黒いプラスチック製で、とても薄く、平面性にも優れ、表面には反射防止にもなる梨地仕上げが施されています。プラスチックですから、カッターナイフで簡単に加工できます。ソニーなどは金属製のシャッターになっていますので、加工が難しいだけではなくミラーボックス内の内面反射の原因になりますので、今回の目的には適していません。
フロッピーのシャッターの開口部寸法は25mmx12.5mmなので、この穴を幅24mmに広げて、シャッター幕と24mmx36mmの開口部との間に挟めば完成.....MATIAさんはご自分のニコンEMをこのようにして正方形フォーマットカメラに仕立て上げました。私も真似しようと思い、帰宅してから実験に使う予定のEOS650のシャッターを観察すると、裏ブタ側からみて右側にあるシャッター幕とリンクを留めるリベットが出っ張っていて、そこに何かを挟むと引っかかりそうでした。実際、シャッターユニット側のマスクはこのリベットを避けるように右側だけ切り欠いてあります。 作る以上はきちんと使えるカメラを作りたいので、慌てず騒がずしばらくカメラと、フロッピーディスクのシャッター部品を細かく観察しました。そしてシャッターユニットとフィルムマスクの間に挿入するのではなく、フィルム室側(上下フィルムレールの間)にマスクを接着する事にしました。 1 マスクの製作 フロッピーディスクからシャッター部品を取り外し、コの字になった部分で切断します。そして文字の印刷されていない裏側の板から、穴のあいた部分を切り離し、一枚の板を作ります。その板から必要なマスクを切り出しますが、ここで板をどのような方向で使用するかを決めます。
次に、マスクを留める位置決めをします。カメラのフィルムマスクの部分に定規をあてて、フィルムマスク開口部から丁度6mm内側に目印をつけます。目印はフィルムレール上面につける必要があったので、傷などはつけられません。そこでテープを貼り付けて目印の代用としました。 位置決めが出来たら、フロッピーから切り出したマスクに両面テープを貼り、フィルムレールの間の、印をつけた位置に貼り付けます。この時に慎重にしないと斜めについてしまい、24mmx24mm開口部の形状が正方形ではなく、台形になってしまいます。定規で何度もチェックしながら開口部が24mmx24mmの正方形になるように貼り直しました。
マスクを貼り付けたら、厚みのチェックです。フィルムレール面はピント面を司る重要な位置で、これよりもマスク側が高くなってしまうとピントが狂うだけではなく、フィルム圧板の圧力をフィルムはパーフォレーション部ではなく撮影面で受け止める事になるので、撮影面に傷がつきます。 ルーペで拡大しながら念入りにチェックすると、向かって一番左側、フィルムが最初にフィルムレールに触れる部分では、フィルムレールよりも貼り付けたマスクの方が高くなってしまいました。原因はフィルムレールの高さが一定では無い為で、恐らくフィルムレールに挟まれた面が完全な平面ではなく機械加工のしやすさから湾曲しているのだと思います。あるいはフィルムレールの両端が緩やかなカーブを描いているのでしょうか?いずれにしても、このままではフィルムは傷だらけになります。 そこでマスクを一旦取り外し、紙やすりで薄く削ることとしました。かなり根気良く削って、手の感触では半分ぐらいの厚みまで削ってしまいました。そして再度極薄両面テープで接着。今度はマスクがフィルムレールよりも高くなることも無く、ルーペでの観察では問題ありません。念のためにジャンクテスト用のフィルムを一本通してみましたが、傷、スレは全く出来ませんでした。OKの様です。
2 ファインダースクリーンの改造 ファインダースクリーンに正方形フォーマットに合わせた印をつける必要があります。本来なら正方形以外の部分は黒く覆ってしまいたいのですが、EOS650には定常的に使える中央部部分測光が無く、黒く覆ってしまうと露出が大幅に狂います。そこでスクリーンに細いテープで線だけ引くこととしました。(中央部部分測光のあるカメラか、外光式露出計カメラなら、左右部分を完全に黒く覆った方が構図を決めやすいと思います)
3 テスト撮影 改造翌日に早速テスト撮影に引っ張り出しました。正方形フォーマットは2:3の普段のフォーマットとは構図の勝手が異なり、とても楽しいものです。今回の改造ではファインダーから24mmx36mmに相当する構図も同時に見えますので、24mmx24mm(気分は6x6)の時にどこがカットされるのか、あるいはどのように構図が変わってゆくのかが手を取るように分かります。
露出はスクリーンに装着したテープの影響で0.3〜0.5段ぐらいオーバーになるようです。普段は少しアンダー目に撮れるEOSですが、この改造カメラの場合には過度な露出補正は不要のようです。 フィルム装填時の注意点ですが、フィルムとマスクの間には殆ど隙間がありません(0.1mm程度)。普段でも砂埃がつけばフィルムに傷がつきますが、この改造カメラの場合にはもっと小さなゴミでも傷がつく危険性があります。フィルム装填時にはブロアで念入りに掃除したほうが良いです。 現像は長巻仕上げにしました。ラボも見たことも無いようなフォーマットのフィルムですから、スリーブやマウント仕上げだと困ってしまうでしょうし、私としても変なところでフィルムをカットされたら、使い物にならなくなります。 現像の出来上がったフィルムを見ると、そこには見慣れない光景が並んでいました。まるで大きなフィルムのパーフォレーションを見るかのような、正方形の画像と、太くて黒いコマ間。画像の縁は肉眼で見る限りとても綺麗で、マスク部への光漏れもありません(目張りの効果があったようです)。フィルムへの傷つきも無く、実用上の問題は全くありません。これは楽しいカメラになりそうです。
4 今後の課題 フィルムマスクの装着と、ファインダースクリーンへの線引きはどうしても別々の作業になります。作業時は寸法を計りつつ精密にやったつもりでも、手作業になるので多少のずれがありました。今回は金色のテープでスクリーンに印をつけたために、レンズを外してカメラ正面から覗くとテープが良く見えます。その状態でシャッターをきると、今度は貼り付けたマスクが見えます。連射するとテープとマスクが残像で重なって見えるのです。この観察からマスクの方が1mmほど左にずれて付いていることが判明しました。しかし修正は簡単なので、ずれ量を測定してからマスクとスクリーンのテープを貼りなおそうと思います。 出来上がった写真をルーペで拡大して見ると、フィルムマスクの縁に0.5mmにも満たない僅かなバリがありました。直線を出すためにフロッピー製造時に切断された辺を使用したのですが、切断面には多少の粗があるようです。これもマスクの位置を調整する際に紙ヤスリで綺麗に仕上げようと思います。
ジャンク大帝にEOS650シャッター不良修理を発表してから約4年、修理直後に少し使用しただけで最近全く出番の無かったジャンクEOS650は日本に?台しか無い正方形フォーマット35mm一眼レフとして蘇りました。ベンジン修理から4年を経た今回のテスト撮影でも、シャッター作動不良は全く無かった事を報告しておきましょう。
ともあれ、この正方形フォーマット35mm一眼レフ、とても楽しいですよ。改造も簡単で、1〜2時間で出来ます。もしお手元に最近使っていないカメラがあれば一台お作りになっては如何でしょう。応用すればレンジファインダーカメラやコンパクトカメラでも改造可能だと思います。一眼レフよりもファインダーマスクの加工は楽ですし..
これでハッセルブラッドやローライフレックスは買わずに済むなぁ....(貧乏人の言い訳(^^; )
|