発売当初から興味がありながら、3年半も悩んで手に入れたシグマのフィッシュアイ。今回はこのレンズの使用記です。では、まずスペックの確認から。
その名の通りの対角魚眼レンズです。フィルターは後部差し込み式の為に、このレンズにはゼラチンフィルターをカットする定規(枠の形をした金属片)が付属しています。ケースは付属しません。レンズのフロントキャップは14mm F3.5同様に、普通のフードを逆さまにしたようなキャップと、72mmのレンズキャップを併用しています。 このレンズには前期型と後期型があります。前期型のフードはカット形状がまん丸で、逆さまにして置くことが出来ませんでしたが、私の購入した後期型はフード上面が平らにカットされて、レンズを逆さまにして置くことが出来ます。シグマはフードに関して発売後にも改良を加えるメーカーで、50mm
F2.8EX Macro, 105mm F2.8EX Macroのフードも2種類(先端にキャップを付けるためのフィルターネジのある後期型と、それの無い前期型)が出回っている事はつぶやき168に書いた通りです。このフィッシュアイレンズの場合はフード先端を平らにしたので、全長が短くなっていると思ったのですが、前期型の全長が70.0mm、後期型が70.5mmなので却って長くなっています。不思議(@@)ですね。つまり後期型でもフード性能の悪化は無いという事でしょうか? ピント調節は比較的内部にゴミの入りにくい全群繰り出し式です。ピントリングの幅は17mmとこのサイズのレンズとしてはまずまずで、AF時に回転しますが、予期しなかった嬉しい誤算としてMF時のフィーリングはとても良いです。適度な重みとしっとりとした感触で、「やや軽めのMFレンズの様だ」と言えば、そのフィーリングが想像出来ますでしょうか? このレンズの最大の特徴は、15cmという最短撮影距離です。これはレンズ先端からだと僅か3cmほどの距離なので、被写体に殆どぶつかるような接近撮影が出来ます。他のメーカーの対角魚眼の最短撮影距離は、AFフィッシュアイニッコール
16mm F2.8D(25cm)、ミノルタAFフィッシュアイ16mm F2.8 (20cm)、キヤノンEF15mm F2.8 Fisheye (20cm)、ペンタックスFフィッシュアイズーム17-28mm
F3.5-4.5 (45cm)であり、シグマが突出しています。但し最近発売されたAF DXフィッシュアイニッコールED 10.5mm F2.8Gは14cmと、シグマを抜いてきました(笑)。私は日頃から「広角はどれだけ寄れるか」が最も大切だと思っているので、対角魚眼を考えていた時にシグマ以外は眼中にありませんでした。キヤノンEFは高いし(¬¬)。実際に使っていても、このレンズに限っては「もっと寄りたい」と思うことが全くありません。これ以上寄ったら被写体にレンズをぶつけてしまいますからね。
このレンズの第二の特徴はレンズ構成枚数が6群7枚と、AF対角魚眼の中では最小枚数である事です。このレンズの次に少ないのがキャノンEF15mmの7群8枚、次いでニッコール16mmの6群9枚とペンタックス17-28mmの7群9枚(ズームで9枚は立派)、ミノルタ16mmの8群11枚です。レンズ枚数は多い方が良いんじゃないの?と思うでしょうが、私がここで重視しているのは逆光性能です。これはレンズ枚数の少なさが一番効くと経験則で思っているからです。勿論、定評あるペンタックスやニッコールのコーティングであれば少々レンズ枚数が多くても逆光には強いでしょうが、私はEOSユーザーで、使えるのはEFかシグマの二者択一であり、金銭的に買えるのはシグマの一者択一ですからレンズ枚数が気になるのです(^^;。この経験則は今回見事に達成されました。シグマ15mmフィッシュアイの逆光性能はシグマらしからぬ事に超一級です。真昼の太陽が全く怖くありません。画面内に太陽を入れてもゴーストは無く、フレアも開放で太陽周辺に少し出る程度です。少し絞り込むとそれも更に抑制出来ます。これだけ画角の広いレンズになると、画面内に太陽の入り込むケースが非常に多くなるのですが、同じシグマの14mm F3.5とは違って太陽を気にすることなく構図作りが出来ます。 画質ですが、開放で周辺部まで十分にシャープです。意地悪な見方をすれば最周辺部のみわずかに甘い部分がありますが、まず気になることは無いでしょうし、勿論絞り込めば改善出来ます。また周辺光量低下も実写では開放から殆ど気になりません。厳密に見ると開放とF5.6では差が認められ、F5.6〜F8以上に絞り込めば極めて均質な光量分布を実現できます。実は今回周辺光量の違いをお見せしようとして開放から絞りを変えて撮影したのですが、PC画面上では違いを見つけ出すのが困難なほど、開放でも周辺光量は良好です。平たく言えば、画質に折り紙つきのEF70-200mm F2.8Lの開放の方が周辺光量低下は目立ちます。 今まで広角レンズ、超広角レンズの開放と言えば、大きな周辺光量低下と周辺部の像の流れ、甘さが当たり前で、それらを抑制する使い方が求められていた気がするのですが、シグマの15mmはそれらの制約から解き放たれた、自由自在に使えるレンズです。多分「シグマだから」というよりも「歪曲収差を補正する」という束縛に捕らわれない対角魚眼レンズならではの高性能なのでしょう。加えて極めて高い逆光性能と良好なMFフィーリングもあり、このレンズは私のレンズの中で、タムロンマクロと並んで最上級の描写性能、操作性を持つレンズだと言えます。勿論今ではKENのお気に入りで、常に持ち歩くレンズの仲間入りをしました。 インターネットを検索すると、国内外の個人のサイトのこのレンズの使用記が沢山ひっかります。それらを読むと、高い逆光性能、周辺部の像のシャープさ、ピントリングのフィーリングの良さなどは多くの人が書かれています。加えてお手軽な価格なので、多方面に良いインパクトを与えているようです。一つは天体撮影の分野で、画面一杯に天の川を写し込めるレンズであり、周辺部まで星が星(点像)として写るとの評判です。もう一つが水中撮影の分野で、お手軽価格に加えてAFで超近接撮影が出来る様になったので、このレンズを使って撮影している人も多い様です。更にはちょっとした改造が必要ですが、中判用円周魚眼レンズとしての活用です。組み込みフードを切り落とし、ビューカメラ用のフィルムホルダーに大判レンズ用コパルシャッターを組み合わせてこのレンズを使えるようにすると、イメージ径43mmの円周魚眼レンズになるようです。天体撮影目的の中判全天カメラや、お手軽中判円周魚眼カメラとして使われている方がおられます。
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