アルカリ乾電池にご用心
KENのつぶやき vol. 215  (2004. 7. 25)

現在最も普及している乾電池であるアルカリ乾電池。これを様々な機器の電源に利用している人も多いでしょう。しかしこの電池、取り扱いを誤ると機材を全損にしたり、人体に危害をもたらしたりする危険な電池なので、掲示板で話題になったのをきっかけに「つぶやき」にも書いておこうと思います。「わたしは大丈夫、変な使い方はしていないから」。いえいえ、一般的にごく普通の使い方とされているのが「誤った使い方」なのです。カメラや大切な機材(特に使用頻度の低いリモコン)には使わない方が良いですよ。

1 何故危険なのか?

アルカリ電池が危険である理由は、電解液に強アルカリの水酸化カリウム水溶液が使われている事と、電池そのものが液漏れしやすいという2点です。水酸化カリウム水溶液は人体に付くと激しい火傷をもたらします。また機材内部で漏れると金属や一部樹脂をも腐食させ、電池室の端子を接触不良にして使用不能にしたり、もし漏れた電解液が基盤に到達すればその機材は基盤やボディ交換が必要な程の損害を被ります。また有る状況下でアルカリ電池は水素ガスを発生し、それが機材内部に充満すると電気ショックで爆発する危険性が有ると噂されています。

アルカリ電池が液漏れするケースは過放電と充電の二つです。
過放電による液漏れは皆さんも一度は経験されているでしょう。滅多に使わないリモコンや懐中電灯などを久しぶりに使おうとしたら動かなかった。電池をチェックしたら液漏れして端子がボロボロになっていた...とか。だから使用頻度の低い機材にアルカリ電池を用いると、機材をダメにする可能性が高いのです。ボディと電池室が一体になっていて、しかも単三/単四乾電池が使えるデジカメやストロボ...ラジカセやその他ポータブル機材を持っていませんか?毎日、毎週の様に使う機材で無い限り、アルカリ電池の入れっぱなしは危険ですよ〜。取り分け電池室が機材の底以外にある様なものは漏れた電解液が機材内部を直撃しますので、アルカリ電池入れっぱなしは避けましょう。(キヤノンを初め多くのストロボはこの点で失格です)
アルカリ電池を充電した場合、単なる液漏れに留まらず、電池は爆発します。「大丈夫、私はアルカリ電池を充電するなんて事はしないから」。はい、そうしてください。巷ではアルカリ電池充電器も市販されていますが、極めて危険です。ましてやニッケル水素電池充電器でアルカリ電池を充電すれば、きちんと爆発するそうです(笑)。これらは論外としても、本人は充電したつもりは無くとも電池が充電されてしまう以下の様なケースが有りますので注意してください。
(1)電池の逆装填:
電池の向きを誤って装填すると、その逆向きに接続された電池は他の電池の電圧によって強制充電されてしまいます。オモチャに入れたアルカリ電池がたまたま一本だけ逆に装填されていて、スイッチを入れて暫くしたら爆発して、遊んでいた子供が皮膚移植が必要なほどの重傷を負ったという事例がインターネットに公開されています。
(2)電池の混合:
電池容量(=電圧)のばらついている電池を混合して装填すると、容量が減った電池は電圧が降下しても放電を強制され続け(放電電流値は直列接続した電池の総電圧で決まり、この電流値での放電が続きます)、過放電を通りすぎると逆極性で充電されてしまいます。これも液漏れにつながり、最悪は爆発します。電池の電圧がばらつく状態には、a)古い電池と新しい電池の混合、b)アルカリ電池とマンガン電池等の異種電池の混合、c)新品電池でも、異なるメーカーの電池の混合、d)新品で同一メーカーの電池でも生産ロットの違い、などがあります。a)やb)は皆さんなら気をつけると思いますが、c)はついついやってしまいますよね。そしてd)は自覚が無いと思います。同一メーカーの同一電池は見た目が一緒なので、同一ロットかどうか分りません。しかしロットが違えば経時劣化で電圧が異なるケースがあります。電池8本とか12本装填を要求する高価なモータードライブ機材に電池を装填する際には、電池はパック売りの同一パックの物を用いて、他のロットと混ぜないようにしないと、新品だと思っていたのに液漏れした、というケースがあるようです。
話をアルカリ電池充電器に戻しましょう。ある人は「アルカリ電池も専用充電器を用いれば充電出来る、問題ない」と主張するかも知れませんがナンセンスです。確かに充電は出来ますが、充電した結果の電池容量(=放電電圧)はきちんと管理されません。従って運良く爆発や液漏れせずに充電できたとしても、一本だけで使う機材で無い限り複数の電圧の異なる電池を混合する結果となり、(2)の理由で液漏れや爆発があり得るのです。

2 どうすれば良いのか

(1) アルカリ電池を機材から取り出して保存する
第一の原則は機材を使わないときには電池を抜いておく事です。しかし異なる機材から抜いた電池を一緒に保管すると、異なる電池容量/電圧の電池を混ぜてしまう危険がありますので、電池ケースの使用をお勧めします。私は使用頻度の低いストロボやカメラの電池は全部抜いてあり、単三電池は4本単位でケースに入れたり輪ゴムで縛って「○○用電池」とメモを付けて保存してあります。
 

私が使っている電池ケース。アルカリ、ニッケル水素電池ともに同じロットのものをこうして管理すれば間違えないと思います。ニッケル水素電池用のケースには電池の向きで満充電か空かを識別できるようにシールを貼ってあります。

(2) マンガン電池の使用を考える
リモコンや時計など、電池パワーをさほど必要としない、しかし使用頻度の低い機材にはマンガン電池をお勧めします。マンガン電池も大昔には液漏れしやすい電池でしたが、その後改良が進み、一時は「液漏れ補償」付きで販売されていました。現在はその「補償」はありませんが、アルカリに比べて液漏れしにくいのは確かでしょう。また万一の液漏れの場合でも電解液の塩化亜鉛水溶液はほぼ中性で、金属を溶かしたりすることはありません。粉が吹いたような事にはなりますが、アルカリ電池の液漏れのような致命的な事にはならないと思います。

(3) リチウム電池の使用を考える
リチウム電池は耐液漏れ性に極めて強い電池です。電池パワーを必要とし使用頻度の低い機材に入れっぱなしにしたいのであれば検討の価値は大です。この電池は自己放電も殆ど無く、長期保存性にも優れています。但し一部機材では単三リチウム電池が使用出来ませんので要注意です。欠点は高価である事ですが、機材修理費を思えば安い安心料とも言えるでしょう。
バッテリーパックを付けて単三電池の使用を可能としている機材で、使用頻度が落ちてきたような機材があれば、電池を単三アルカリからカメラ用のリチウム電池(CR123Aとか2CR5とか)に戻すのも一つの選択肢です。

(4) ニッケル水素電池の使用を考える
ニッケル水素電池もアルカリ電池と同じ水酸化カリウム水溶液を電解液に用いており、液漏れの可能性はゼロではありません。しかしアルカリに比べればリスクは遥かに少なくなっています。充電電池ですから、充電で爆発するようなことは無く、内部(正極)で発生するガス(酸素)は負極に吸収されるという上手い仕組みになっています。一番気をつけるべきは過放電で、これは電池寿命を縮めると共に、最悪のケースでは液漏れが起こります。使用頻度の低い機材への装填しっぱなしはアルカリ電池同様に避けなければなりません。私は頻繁に使うEOS3とEOS55を除く機材からはニッケル水素電池も取り出し、4本単位で電池ケースに入れて管理しています。

以上の事を念頭に置かれて、機材をダメにするような電池事故の無い生活をエンジョイしてください。

※リチウムイオン電池を用いる機材は原則他の電池との互換性が無く、専用電池を用いる以外の選択肢が無いので話題として取り上げませんでした。
※もし記述に誤解や間違いなどを発見されましたら、メールなどで教えてください。

 
参考資料・各電池の構造
電池 正極 負極 電解物質 液漏れ性
アルカリ電池 二酸化マンガン 粉末亜鉛 水酸化カリウム水溶液
マンガン電池 二酸化マンガン 亜鉛 塩化亜鉛水溶液
リチウム電池 二酸化マンガン リチウム 有機電解液
ニッケル水素電池 水酸化ニッケル 水素吸蔵合金 水酸化カリウム水溶液
水酸化リチウム水溶液
水酸化ナトリウム水溶液
ニッカド電池 水酸化ニッケル 水酸化カドミウム 水酸化カリウム水溶液
リチウムイオン電池 コバルト酸リチウム 炭素 有機電解液
赤字の電解物質は強アルカリで、機材を腐食させる危険がある。緑字の有機電解液には引火性がある。


参考リンク

アルカリ電池の液漏れで全損した高級デジカメ事例
http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higa0011.html#001108
http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higa0012.html

アルカリ電池の事故事例
http://www13.plala.or.jp/kanetsu-kaden/tokusyu.htm



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