今年は真っ向勝負〜湯来の枝垂れ桜2005
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貴婦人の様な品格を持つ湯来の枝垂れ桜は、KENが毎年「最上級の本気」で取り組む数少ない被写体の一つだ。この桜と対峙するには事前の方針が大切である 〜休日夜明けともなると桜の周囲はカメラマンに埋め尽くされて自由にポジションを変えて撮影することが出来ないし、全景を狙う場合に本当に美味しいポジションは1〜2名分しかない。加えて夜明けの印象的な光は精々30分間ぐらいの勝負である。だからあれこれ迷わずに方針を決めて、その撮影ポジションを夜明け前から確保して撮影に臨むことが肝要なのだ。〜 それでまだ雪の舞う季節の内から今年はどのように湯来の貴婦人と付き合うか考える。 『昨年の夜明けの撮影結果は良かったけど、あの写真は35mmでしか写していないよなぁ。貴婦人の全景写真には細部まで緻密に表現された画像の方が相応しいと思うし、出来れば全紙ぐらいのサイズで部屋に飾りたいものだ。やっぱ今年は大判/中判で夜明けの桜を撮るか。』それで寒風の中にも春の温もりを感じる様になった頃、T町から4x5のフィルムを発注した。銘柄は勿論、夜明けの光の中で印象的な藍色に発色するコダック・エクタクロームE100VSである。実は4x5でE100VSを使うのは初めてだったりするが、性格を知り尽くしたフィルムを使う安心感は一枚あたりのコストが嵩む大判では余計に有り難く「もっと早くから使えば良かった」と買ってから思った。ブローニー(120)と35mmのE100VSは手持ちが十分にあり、今年はフォーマットを問わずE100VS+夜明けの光、1本勝負と決め込んだ(注:ここの1本勝負の1本は、フィルム1本だけという意味では勿論無い(^^;)。構図や絵柄も今年は色々チャレンジするのではなく「正攻法」「定番構図」で取り組み、めまぐるしく変化する夜明けの光線状態の中で入魂の一枚を狙う事にした。 3月中旬、気象庁は広島の桜の開花を4月1日と予報した。長年蓄積した桜の開花データを元にすると、今年は広島市内の満開が4月8日頃、湯来の枝垂れ桜の満開は4月16日頃になる筈だ。それで4月9/10日の週末を広島市内の桜撮影、4月16/17日の週末を湯来の枝垂れ桜撮影と目論んだ。実際の開花宣言は4月3日で予報よりも2日遅れだったが、その後の数日が暖かかった事も有り、目論見どおり4月8日には市内の桜が見事な満開になった。それで翌9日土曜日は朝4時前に起きて、毎年通う比治山公園に夜明けの桜撮影に出かけた。
4月10日日曜日、午前3時半、目覚ましが鳴る。2日連続の4時前起きは辛いが、4時にはクルマに乗り、湯来を目指す。桜の脇の湯ノ山温泉・駐車場には4時40分頃に到着したが、そこには既に先客がいた。まだ暗い中を機材と懐中電灯を持って撮影ポイントに行くと、畑の東寄りの撮影ポイントには先程の先客の方が既に機材をセットしていた。その脇で撮るか、あるいはまだ誰も来ていない畑の西寄りのポイントで撮るか考えて、その日は西寄りのポイントを選択した。それにしても眠い...。月の無い夜明け前は真っ暗で機材をセットしても構図すら作れない。それで暫くはスリック・ザ・プロフェッショナルにもたれかかり、立ったままで休憩する。大人が寄りかかる程度の荷重を支えられる超大型三脚はこんな時に便利ではある(笑)。
「これでは思うような写真を撮れないよなぁ...」風の止む間を待って時折シャッターを切ってはみるが、風が収まる瞬間は滅多に無く時間が無作為に過ぎて行く。それでは、とスローシャッターで風に舞う枝垂れ桜を取り敢えず撮影しておく。 E100VSが印象的な発色をもたらす夜明けの時刻も過ぎたが、風は収まる気配が無く、一旦クルマまで戻り朝食を採る。その後3時間ほど駐車場で待機するが、風は益々強くなってきたので、その日は引き上げることにした。この日、大判機材はカメラバッグから出ることは無かった。 月曜日からまた仕事で多忙な一週間が始まった。しかし次の週末では貴婦人とのデートは手遅れであろう。私は仕事のスケジュールを見ながら、いつなら休めるか検討した。様々な会議日程を変更し、木曜日に何とか休みを取れるように会社の人達の協力を仰いだ。実は数年前の3月下旬、大勢の社員を前にPowerPointでプレゼンテーションをする機会があり、その最後に湯来の枝垂れ桜の写真を見せて「今週末は私は湯来に行きます」と宣言した事がある。だから私がカメラマンで桜の季節に湯来に行くことは社内に広く知れ渡っており、周りの人達は呆れつつも今回の私の我が侭に協力してくれた(^o^; 4月14日木曜日、例によって3時半に目覚ましが鳴る。そしてその一時間後には湯ノ山温泉の駐車場にいた。天気は晴れ、風は無い。気温は2度と冷え込んでいるが、寒いことを除けば撮影には好条件である。まだ誰もいない畑の脇を歩き、今回は東寄りの撮影ポイントに機材をセットする。日曜日の撮影結果を見て、西寄りの撮影ポイントではどうしても桜の左脇にあるお好み焼き屋の屋根が入る事を再確認したからだ。まずはEOS3にEF70-200/2.8Lをセットするが、暗くてピントが合わせられない。それで桜の奥にある街灯代わりの灯篭の光を目安にピントを合わせ、均質な周辺光量とシャープなピントを得る為にF5.6を選択して薄明を待つ。東の空が僅かに明るくなった頃、露出計は補正無しでシャッタースピード30秒を示したので撮影を開始する。薄明が始まると時間と共に明るさがどんどん変わるために、シャッタースピードを余り長くすると露出で失敗する。以前薄明の頃に測光値に従って5分間の露出をかけたら、露光開始時と終了時で周辺の明るさは3EVぐらい変わり、真っ白なポジを作った経験がある(^^;。今回も30秒の露出の間に周辺の明るさは1/3EVぐらい変動した。シャッターを押す前のF5.6、30秒というファインダー表示値が、露光終了後にはF5.6、25秒になっているという具合である。だからせめて30秒のシャッターが切れるようになるまで撮影を待つことと、アンダー気味の露出を心がけることが薄明時の撮影のコツである。
この日は平日だったので、湯来から直接広島市内のプロラボに赴き、現像を依頼した。昼食やウィンドショッピングなどで過ごした二時間後には、35mm2本、120が1本、4x5が5枚の現像が出来上がった。プロラボにはライトボックスなども用意されており、その場で全てのコマをチェックし、結果に一喜一憂(笑)。撮影後、自宅に帰る前に最上級の原板が手に入りチェックも終えることが出来る。このスピード感はデジタルにも大きく見劣りはしないだろう。私の愛用しているプロラボが土日も営業していると良いのだが...(普段は会社の近くの写真店からこのプロラボに取り次いでもらっているので、受け取りには一日かかる。)
では、今年の写真の反省会を行いましょう(^^;
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