マウントアダプターでEOSの露出が暴れる理由
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EOSにマウントアダプター等で電子接点が機能しないレンズを装着すると、
スクリーンの透過特性テスト まず思いついた理由がファインダースクリーンの透過特性です。TTL露出センサーはスクリーンの後ろ側にありますので、スクリーンの絞りに対する透過特性がリニアでなければ、実絞り測光の場合に露出が狂ってしまいます。しかし開放測光の時代になってからは測光は常に絞り開放の一点で行われますので、スクリーンの透過特性のリニアリティは問題になりません。開放測光対応レンズには開放F値をカメラに伝える機構がありますので、カメラ側に開放F値に対する露出補正値(スクリーンのそのF値での透過率のズレ量)を記憶させておけば済むからです。AFの時代になり開放F値の暗いレンズが増えてくると、透過特性のリニアリティやピントの山の掴みやすさよりも、スクリーンの明るさやザラツキ感の無さを優先した物が増えたのは周知の事実です。キヤノンのレーザーマットスクリーンは、その中にあって透過特性がリニアなのでしょう。一方の明るさ優先のニューレーザーマットスクリーンはリニアリティを犠牲にしていると考えられ、これが電子接点の無いレンズを使った際の露出の暴れにつながっているのだろうと考えました。 という事で、この仮説を検証するためにEOS3でテストしました。 EOS3とEOS-1V、及びEOS-1D以降の1系デジタルには、ニューレーザーマットスクリーンとレーザーマットスクリーンの両方が用意され、しかもカスタムファンクションでスクリーンに対応した露出計特性が選択可能になっています。前回つぶやきではEOS3にレーザーマットスクリーンを装着して、マウントアダプターを使ったレンズでもF2.8よりも暗い絞りなら補正不要な見事な特性を示しましたが、今回は標準装備のニューレーザーマットEc-Nを装着して、露出特性を測定してみました。結論から言えば、EOS3でもニューレーザーマットスクリーンでは露出が暴れます。
上記が測定値です。表示方法は前回つぶやきに説明したとおり、均質に照明された白壁を各絞り値で測光した時のシャッタースピードをファインダー表示通りに記載しています。二つの数字を併記してあるものは、シャッタースピードが二つの値の間で点滅した場合で、測光値は丁度中間付近にあります。1/3段系列(0.33EV単位)のカメラでの中間測光値(0.17EV)なので、点滅した場合を0.2EVのズレとしました。前回測定時にEOS3が測光モードによらず安定した露出を弾きましたので、今回は評価測光でのみ測定しています。EOS3の場合、カスタムファンクションCF-0をニューレーザーマットの場合は0、レーザーマットの場合は1にして露出計特性をスクリーンに合わせることが出来ますが、今回はスクリーンの透過特性の違いを見るために、ニューレーザーマットのケースでは両方のカスタムファンクション値で測定しています。 まずEF50mm F1.4 USMの測光値ですが、メーカー推奨使用法である「レーザーマット/CF-0が1」と「ニューレーザーマット/CF-0が0」は全く同じ露出値を示しました。一方ニューレーザーマットでカスタムファンクションCF-0を1(レーザーマット用)にした場合は、0.2EVほどアンダー目の露出になりました。これは測光しているF1.4の絞り時にニューレーザーマットの方が0.2EVほど透過特性が高い(明るい)為と考えられます。 一方、電子接点を持たないPlanar 85m F1.4 MMJですが、レーザーマットの場合は前回同様に、F2.8よりも暗い絞りでは見事に安定した、補正不要の測光値を返しました。またF2で0.3EV,F1.4で1EVほどオーバー目の露出になるのも前回同様です。
このグラフはリファレンスとなる「EF50mm F1.4 USM / レーザーマット / CF-0が1 」に対する各測光値の差異をグラフ化したものです。プラナー85mm F1.4 MMJの曲線を見ると、ニューレーザーマットスクリーンの透過特性が推定出来ます。「CF-0が1」同志の測定値で見れば、『露出計にとって』F4を境として明るい絞り側ではファインダーが明るく、暗い絞り側ではファインダーが暗くなるスクリーンであると言えます(太い水色のライン、下記【注】参照)。電子接点のあるレンズの場合は各開放値の透過率に応じた露出補正が可能な為、スクリーンによる露出のズレを抑制出来ます。案の定、EF50mm F1.4 USMの露出は見事に安定しており、横一線のグラフになっています。一方の電子接点の無いレンズをニューレーザーマットで使うと、透過率の暴れがそのまま露出の暴れにつながると考えて良いでしょう。プラナーのF2, F1.4の時に大きくオーバー側に露出が狂うのはふたつのスクリーンで同様に発生しているので、透過特性以外の理由ですね。 【注】ここで言う「明るい、暗い」はあくまで露出センサーに対してであり、肉眼で見た時の印象では無い事に注意して下さい。肉眼ではザラツキ感、陰りがあると暗く感じますが、ニューレーザーマットスクリーンはそれらが目立ちません。また肉眼は常にスクリーンの真正面(光軸上)にありますが、露出センサーはアイピースの周囲にあり、プリズムを通じてスクリーンを斜めから覗き込んでいる形になっています。肉眼にとって透過率の良い明るいスクリーンは光を拡散しにくくなっていますので、光軸からオフセットして付けられている露出センサーには光が行きにくく(暗く)なると考えられます。しかし大口径絞り値の場合はスクリーンに入射する光の最大角度(垂直からの拡がり度合い)が大きくなりますので、透過率の良いスクリーンを通過した光が直接露出センサーにも入射して、センサーにとって却って明るくなる現象も起こすでしょう。ニューレーザーマットの場合、その敷居値がF4ぐらいとも考えられます。ミラーによるボケのケラレテスト 次に、プラナー85mm F1.4のF2, F1.4の時に露出が大きくオーバー側に狂う理由を考えましたが、思いついたのはミラーによるケラレです。
明るい点光源を作るために小さな穴を開けた厚紙を懐中電灯の前に貼り、レンズに向けてみました。その時のファインダー像をデジカメで撮影したのが上の写真です。ボケの位置は画面中央やや上よりに配置していますが、F1.4,
F2ではボケが大きくケラレているのが分ります。一方でF2.8ではほぼケラレの影響が無くなり、F4では全く影響がありません。これはF2.8よりも暗い側で露出が安定し、明るい側で露出がオーバーに振れる傾向とピタリ一致します。
以上から、ミラーのケラレによってF2.8よりも明るいレンズでは露出がオーバーに振れる事が分りました。これはプラナー85mm F1.4に限った事ではなく、他のレンズでも起きる筈です。EF50mm F1.4 USMでも、レンズマウントを少しだけ外す方向に回して電子接点の接続を断って測光したところ、プラナー85mm F1.4 同様に開放で1EVオーバーの露出のズレが発生しました。 ペリクルミラーを持つEOS-1N RS, EOS RTでこの現象は恐らく発生しないと思います。ペリクルミラーは原理的にミラーボックス全面を覆っているのでケラレは無いでしょう。ミラーとレンズ後端の衝突の心配も無いペリクルミラー機は、マウントアダプターを楽しむのには最高かも知れません。
結論 マウントアダプター等を使った、電子接点が機能しないレンズをEOSで用いる場合は、
なお、EOS Kiss Digital N, EOS 20D以降の初級/中級デジタル一眼レフにはプレシジョンマットスクリーンが採用されています。このスクリーンの特性が不明ですが、Kiss
Digital Nを使っている方のテストでは、露出はやはり暴れるとの事です。
最後に歴代EOSのファインダースクリーンの種類をまとめておきます。
*純正設定アクセサリーではあるが、スクリーン特性CFが無いので露出が多少ズレる事があり。 |