スカイセンサー2000・バックアップ電池交換
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「スカイセンサー2000」とは、ビクセンが1997年に、ヘールボップ彗星の近日点通過にギリギリ間に合うタイミングで発売した、天体自動導入コントローラーです。Impressions by KEN の最初期からの読者でも私がこんな機材を持っているとはご存知無い筈で、本サイト初登場です(笑)。
1996年に世紀の大彗星ヘールボップ彗星がやってくるのを前に、奮発して天体望遠鏡セット(セレストロンC8・20cm反射屈折式天体望遠鏡 + ビクセンGP赤道儀セット)を購入。しかし、本格的観測には赤道儀のモータードライブと自動導入システムがあった方が便利で、当時としては革新的に機能がアップしたスカイセンサー2000(自動導入コントローラー+赤道儀駆動用モーターセット)の発売が予告されていたので、天体望遠鏡購入時に同時に予約したのでした。
そして1997年4月1日に近日点を通過した大彗星ヘールボップ。最大光度がマイナス1等級とシリウス並の明るさになり、肉眼でもその勇姿を楽しむ事が出来ましたが、大口径望遠鏡+自動導入コントローラーのお陰で、高倍率でも視野内にピタリと静止した大彗星の美しい姿を堪能することが出来ました。このシステムは日周運動に沿った動きのみならず、惑星や月、彗星、人工衛星といった日周運動以外の天体も完全追尾するので、ヘールボップ彗星の長時間観測がとても楽でした。
ヘールボップ彗星が過ぎ去って私の天体熱も過ぎ去り、、月日が流れて、写真サイト Impressions by KEN を開設したのは2年半後の1999年11月です。
、、と前置きが長くなりましたが、星景撮影でポータブル赤道儀を使うのが流行っています。そこで同じビクセンのポラリエをチェックしたらショボ過ぎる作りに唖然(あの雲台取り付け部の構造は絶対にNG、重量のある機材は使用中に脱落の危険あり)。ケンコーのスカイメモSは良いと思うけど、重量機材でも対応出来るオプションを付けると結構嵩張るし、、それならGP赤道儀を持ち出せば良いのでは?、、と思って、先日24年ぶりに赤道儀を取り出してみました。そして動作確認したら色々と問題発覚。当時とは手持ちの電源が違うのでコードが合わない、とかもありましたが、最大の難関はスカイセンサー2000の内蔵電池が切れていて、設定が記憶されないこと。毎回毎回言語の英語→日本語切り替え、観測地の時刻、観測地の緯度経度、赤道儀の設置方式等々を設定しなおせば使えますが、面倒この上なし。本来はメーカーに交換依頼すべきものですが、既にスカイセンサー2000のサポートは終了し、純正の東芝製バックアップ電池も廃番。しかしネット上に電池交換記事がありましたので、代替部品を仕入れて自分で交換しました。その作業の顛末です。
スカイセンサー2000のコントローラーです。裏蓋側にある4本のネジを外すと表蓋が外れて、、
次に矢印で示した4本のネジを外すと、裏蓋と基盤が分離します。
基盤は三階建て構造になっていて、矢印で示した4本のネジを外すと、電池交換に必要な基盤の分離が出来ます。
基盤を分離する前に、基盤裏側の姿。単三電池の様なバッテリーが見えますが、これがバックアップ用の内蔵電池です。
基盤真横から見た姿。電池は基盤に半田付けされているので、基盤を分離しないと作業出来ません。
黄色い枠で囲ったピンを折らないように丁寧に抜いて、基盤を分離した姿です。
半田付けされていた電池は、東芝製の塩化チオニルリチウム電池 ER6V、定格電圧3.6V、2000mAhです。
半田ごてを使って古い電池を分離。
仕入れた電池はEEMB 塩化チオニルリチウム電池 ER14505、3.6V 2600mAh。アマゾンで800円程で購入。秋月電子だと類似品が300円で買えますが500円の送料が掛かる、という微妙な価格設定で、こちらを選択。決め手は電池両端に予め溶接された電極タブで、このタブがあった方が作業上便利です。写真では黒いコードの様に見えますが、これはカバーで、剥ぐと薄板の電極が出て来ます。
電極を適切な長さに切り、半田付け。アマゾンのレビューでは電池が基盤の穴に収まらず削る必要有り、とありましたが、私の場合はピッタリはまり追加作業不要でした。
元のように組み上げて完成!
最初に電源を入れると、英語で "Memory Cleared" と出て、言語の日本語への切り替え、時刻、緯度経度などの設定が必要です。そして一旦電源を切り、再度電源投入。無事日本語で「キョウトウノ ムキヲ スイヘイニシテ ENTER キー ヲ オシテクダサイ」と出ました。内蔵電池交換成功で、設定が記憶されていました。
これで一応使える様になったGP赤道儀。搭載可能重量は7kgで、重さだけで言えばハチゴーロククラスでもOK(セレストロンC8は2023mm F10, 6kg)。天体望遠鏡用赤道儀としては小型軽量の入門機ですが、持ち出すとなると赤道儀と専用三脚だけで、他のカメラ機材一式よりも嵩張ります。何に活用してゆくかは今の所未定で、レナード彗星は過ぎ去ってしまいましたが、次に彗星が来たら観察しようかな?
2022年1月13日