KANI Premium Vivid CPL
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今回は久しぶりの機材レポートです。
風景撮影でC-PLフィルターを時折使いますが、特に青空の場合に期待通りの効果が得られない事が多く、買い替えを検討していました。現在使っているC-PLフィルターは、77mmと72mmがKenko PRO1D C-PL、67mmがKenko Zeta EX C-PLですが、どれも似たような結果で、少し霞んだ青空で偏光効果を上げると、青の明度が落ちてコントラストが上がる物の、色味(彩度)も落ちて黒ずんだ空になってしまうことが悩みでした。デジタルであれば後処理で補正出来ますが、色味の少ない画像から無理矢理色を出せば、画質が荒れてしまいます。
最近人気の偏光フィルターといえば、Kenko ZX(ゼクロス) C-PL。謳い文句は「従来のPLフィルター(Zeta EX C-PLなど)と比較して、イエローの色カブリが無く、ニュートラルな色再現でPL効果を発揮します。」とのこと。イエローは青の反対色なので、イエローの色カブリは正に青い色味を消すように作用します。しかし、それを改善したZX C-PLは77mmで16000円ほどもするので、それだけ出すならもう少し良い物が無いか探してみました。
そして買ってみたのが、KANI Premium Vivid CPL(フィルター上の表記は KANI MC Vivid CPL)です。
このフィルターはニュートラルな色再現を目指したものではなく、もっと積極的に「黄色をカット」する事によって、空や海の「青」と木々や草の「緑」を強調する物になっています。値段は77mmで15300円。
なおKANIには Kenko ZX C-PL 同様にニュートラルな色再現を実現した KANI Premium CPL 77mm 0# Natural もあり、77mmで8380円です。
メーカー発表の透過率グラフ。黄色にあたる580nm付近の波長を大きくカットしているのが分かります。
ライトボックスの上に並べて撮影。左が KANI Premium Vivid CPL、右が Kenko PRO1D C-PL。これだけの色味の違いがあります。
撮影結果で、先ずはフィルター無し。なお、手前の畑はこの写真だけ太陽があたっていて、フィルターを装着後は雲に陰ったので、色味の違いは主に空と遠方の山で判断下さい。写真は三枚共に同一パラメーターで現像していて、色温度は太陽光(5500K)です。
KANI Premium Vivid CPL。青と緑が鮮やかに再現されて、私の「期待色」通りです。
Kenko PRO1D C-PL。画面全体が黄色カブリしていて、緑の鮮やかさが後退し、青空がやや黒ずんでいます。この日は雨上がりの青空で、空がクリアなので見映えは維持されていますが、黄砂や埃で霞んだ空だと、もっと「黒く」なります。
空と遠方の山の部分だけで、比較写真を作ってみました。
KANI Premium Vivid CPL を使った写真は、現像時に素の画像を開いた時から気持ち良い色味を備えていて、最小限のレタッチで期待通りの画像を得ることが出来るようになりました。黄色を吸収するフィルターなので、紅葉、黄葉だとどうなるのか課題は残りますが、既存のC-PLもあり使い分ければ済む事。レンズ2本体勢でも使える様に、もう一枚(82mm)も購入しようかと思っています。久しぶりに買って良かったと思えた機材でした。
2023年9月21日