花にはおじぎしよう
KENのつぶやき vol. 5 (2000.1.6)
会社内で私は一応カメラマンであることが知られているので、カメラ購入について色々と相談を受けます。私が花の写真をメインにしているからでしょうか、花の写真を撮りたいので、カメラは何が良いかという相談が度々有りました。その場合の答えは、キヤノンEOSかミノルタαにタムロンまたはミノルタの中望遠マクロレンズと答えることにしています。加えてローアングルの可能な丈夫な三脚と、アングルファインダー、ケーブルレリーズの購入を薦めています。カメラはニコンでも良いのですが、ニコンの使いやすい一眼レフ(F100)は安くないので、取り敢えず初めて一眼レフを購入する人には薦めていません。ペンタックスはレンズの種類が少ないのでやはり薦めていません。
過去二回ほど、女性から花を撮りたいという相談を受けて、上記の返答をしました。しかし二人ともこの忠告を無視し、ペンタックスMZ-3+ダブルズームレンズを購入しました。三脚は無しか、持っていても安売り品の軽くて華奢でローアングル出来ないもの。ケーブルレリーズもアングルファインダーもありません。理由を聞けば、KissやSweetでは初心者用なので嫌だ、中級機だとペンタックス以外のカメラは重い、マクロは高いからだといいます。三脚も重い、面倒、ということで使いたくない様です。アングルファインダーやケーブルレリーズは必要性すら感じていない有り様。
花を綺麗に撮るためには、それなりのアプローチがあります。それを理解しようともせず、努力や苦労をしようともせず、立ち姿勢手持ちで撮った花の写真を見せられて「どうですか?」と聞かれても、コメントする気にもなりません。花は小さく写り、背景には地面とか不要な花壇の構造物が写り込んでいるからです。そんな写真でコメントを求められたある日、業を煮やして「あなたの写真は花を馬鹿にし花を見下している。花を綺麗に撮りたければ、花に対して膝まづき、おじぎをして頭を花よりも低くし、その体勢で撮影しなさい」と言っておきました。この言葉の主旨は花に対して神様に対するような敬意を払えという意味では勿論ありません。子供を生き生きと撮ろうと思えば、子供と同じ目線に下りることが必要なように、花を撮る場合にも花と同じ目線まで下りる必要が有るのです。そうしないと背景が綺麗になりませんし、花弁やめしべを立体感もって表現できません。私が花を撮影している様子を他人からみれば、まさに膝まづき、おじぎをして撮っています。その様な体勢でローアングル三脚や、場合によってはアングルファインダーが無かったら、撮影にならないのです。
機材が高級である必要は有りませんが、花の写真を撮ろうと思えばそれなりの種類の機材が必要で、重さも面倒さも伴ってきます。それを嫌がる人に花を綺麗に撮る事は出来ないと思います。
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