これもあるホームページへの投稿記事です。かつて私が使っていたスリック・エイブル300DXという三脚の使用評価です。一応スリックのプロフェッショナルシリーズの末席に位置する三脚で、店頭価格は9800〜12800円ぐらいです。
なお、この三脚は99年4月に足が根元からポッキリ折れてしまいました。超望遠レンズを持って、朝4時起きで日の出を撮りに行った日に、現場で三脚をセットしようとしたときの事件でした。私は折れた足をあてがい、万一三脚が倒れてもカメラが無事なようにストラップを首にかけたままカメラを三脚にセットして、撮影を続けました。
三脚が無いと撮影が出来ませんので、その日の内に代わりの三脚(マンフロット190+141)を購入し、現在に至ってます。
スリック エイブル300DX(三脚)
主要諸元;全高1550mm、縮長655mm、最低高470mm、重量2600g
脚は3段伸縮、外径26mm。蝶ネジ方式による固定。
脚の開度は3段階に設定でき、ローアングル可能。
エレベーターはフリーストップ式(カーボン三脚と同じ方式)。
長短2本のエレベーターパイプ付属。
雲台は3ウェイ、2本ハンドル、クイックシュー式。
他に一本ハンドル雲台のエイブル300STもあり。
ここが○
実売1万円で買える三脚で、これ以上の堅牢性、品質、性能を持つ物は他にない、と断言して良い。(誤解を防ぐために付け加えれば、2万円前後、もしくはそれ以上の価格で販売されている三脚は更に優れている。)
僕がこの三脚を購入した当時の目的は、写真撮影ではなく、小型天体望遠鏡による天体観測。天体観測は小型望遠鏡と言えども50〜100倍の倍率があり(35mmレンズ焦点距離換算2500〜5000mmの倍率)、おまけに観測対象は全くの点光源である星。少しでもブレや振動があれば、星は望遠鏡の視野の中で暴れ回り、観測になりません。それまでカメラ用に使っていた実売5000円クラスの三脚が全く使い物にならず、さりとてお金もないので、1ケ月以上に渡りあらゆる三脚を見て触れて、1万円以下では他を圧倒的に引き離す堅牢性の高さに確信して、エイブル300を購入しました。購入価格はビニールケース付きで9980円(定価は19800円だったと思う)。
この三脚の特徴として、雲台レバーの握り部を除けばプラスチック部品が使われておらず、全て金属(大半がアルミダイキャスト)。加えてあらゆる結合部、調節部の剛性がこの価格帯の製品としては異例に高い。一旦セットしてしまえば、殆どブレない。サンニッパは持ってないので判らないけれど、シグマの170〜500mm
F5〜F6.3なら全く問題なし。
もちろん、小型天体望遠鏡による50倍程度の天体観測や、フィールドスコープによる25倍程度のバードウォッチングには余裕十分。像は望遠鏡の視野の中でピタリ安定。
ローアングルも可能で、花などのマクロ撮影にも重宝している。
クイックシュー方式の固定方法が優れている。クイックシュー、固定レバー共にアルミダイキャストの高品質な物で、結合後の剛性感が高い。加えてカメラ/レンズへのシュー装着が三脚上ではない低い位置で出来るので、安心。
ギア式ではないエレベーターは慣れると素早い高さ調整が可能で、却って使いやすい。
この低価格と高剛性の鍵は恐らく
1. エレベーターが単なるパイプ+フリーストップリングという安価、軽量、高剛性メカ。
2. 脚も同様にクイックレバーでも、リングストップでもなく、一番原始的な蝶ねじで締めつける方式。
3. にも拘わらす2600gという、実売2万円/定価3万円クラスの三脚に匹敵する重量(=材料/肉厚)をかけている。
4. スリックというブランド。値引率が比較的高く、定価も安目。それでいて生真面目。
ここがX
脚とベースの部分の結合剛性が非常に高く(高すぎ)、女子供の力では脚を開くことができない。但しこれには利点もあり、中途半端な脚の開度でもかなり安定しており、不整形な地面での使用に便利。
脚の伸縮固定方法が蝶ねじで、伸縮作業に時間がかかる。
二本ハンドル式雲台共通の欠点として、収納時のパンハンドル(左右角度調整用ハンドル)の抜き差しが面倒。また外したハンドルのワッシャーに脱落防止の工夫がなく、使用初日に紛失(機能上問題なし)。
本体に傷が着きやすい。
総合評価;100点満点で98点。頑丈で重すぎず、ローアングルからハイアングルまで対応できるため、写真撮影以外にも、バードウォッチング、天体観測と引っ張りだこ。我が家ではまさに「デカケルトキハ、ワスレズニ」である。ローコスト故に使いにくい部分も無くはないが、脚を開くのに尋常ではない力が要ることを除けば特に不満は無い。同じスリックのマスター/グランドマスターシリーズ(実売2万円前後)と比べても堅牢性に余り遜色なく(もちろん上級機の方が優れているが)、ベルボンのマウンテンチェイサー(実売1.7万円程度、但し様々な機構を備えている)となら、むしろエイブル300の方が上だとおもう。実売1.5万円程度で売られている入門用マンフロット(190B+小型雲台)はブランドバリューを除きエイブル300の相手とはならない。
70〜200mm F2.8, 300mm F4, 400mm F5.6、500mmF6.3〜F8リフレックスクラスやマクロレンズを持っている人で、三脚に福沢諭吉一人しか出せない人はGet
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