最近、シグマ180mm F3.5 EX Macro HSMを購入しました。それで気になり出したのが、開放絞り値、つまりFで始まる値のことです。その内容に入る前に、読者の方に質問をひとつしてみましょう。
質問;F3.5のレンズは、F2.8のレンズに比べて何段分暗いか?
答えが分かりますでしょうか?では、回答案を四つ提示しましょう。その中から選んでください。
1;1/2段
2;2/3段
3;う〜ん、どちらとも言えない。
4;分からない
1を選ばれた方、正解です!。
2を選ばれた方、やはり正解です!。
3を選ばれた方、あなたが一番正しい理解をされています!!!。
4を選ばれた方、これから絞り値の勉強をしますので、よく読んでください(笑)
カメラの露出制御には、1/2段系列と、1/3段系列があります。中級機までのカメラでは1/2段系列が一般的ですが、高級機では1/3段系列が一般的です。それぞれの絞り値の理論値と、実際にカメラ(EOS)で使われている表示値(一般値)は以下の通りです。
これを見ると分かるように、F3.5と言う値は、1/2段系列、1/3段系列の両方に出てきます。そして1/2段系列ではF2.8に対して1/2段暗い値になりますが、1/3段系列では2/3段暗い値となってしまいます。理論値との比較では、F2.8から1/2段絞った値はF3.36であり、表示開放値よりも明るいレンズが実質存在しないことを考えると、F3.5のレンズを「F2.8から1/2段暗いレンズ」と見るのは甘いようです。実力的には2/3段暗いレンズと理解するのが妥当でしょう。この様なパラドックスはF1.2、F1.8、F2.5、F4.5などに見受けられます。
このパラドックスの理由を想像すると、1/2段系列のカメラと、1/3段系列のカメラが混在している中で、開放絞り値の混乱を防ぐためと思われます。F1.2、F1.8、F2.5、F3.5、F4.5などの絞り値は、全てその開放値を持ったレンズが存在するからです。例えば1/2段系列のF2.8から1/2段暗い値を理論値通りのF3.4と定義し、F3.5という表示でレンズを発売したとしたら、客から文句が来るでしょう。1/2段系列のカメラを持っている人は、F3.5を使えずF4がもっとも明るい絞り値になるか、あるいはF3.4という表示でカメラ側が対応したとしても、客は実際にはF3.5であり表示値は嘘だと思うでしょう。その様な混乱を防ぐための便宜だと思われます。
実はこのパラドックスを理解するまで、F3.5のレンズはF4から1/2段明るい、あるいはF2.8から1/2段しか暗くない、と思っていました。ところがEOS3で使うとF3.5レンズはF2.8から2/3段も暗いレンズ、あるいはF4から1/3段しか明るくないレンズとしてしか使えません。これは小さいようで、結構気になる差なのです。これはF1.8のレンズ(EF50mm
F1.8 IIと、シグマ28mm F1.8 IIを所有)についても同じ事が言えます。
このパラドックスがなぜ気になるのか、それは次回....(つづく)
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