「開放絞りが、絞り開放にならないレンズ」
というお題の続きです。ミノルタα-7の発売と、キャノンEOS-7の発表があったので、今回のつぶやきの掲載が少し遅れてしまいました。
キヤノンEF100mm F2.8 Macro USM。これは旧EF100mm
F2.8 Macroの欠点とされた、USMでは無い遅く煩いAF、汚い描写などがことごとく払拭され、更にインナーフォーカス、脱着式三脚座(別売)を加えて操作性を格段に向上してきました。雑誌での描写性能の評価も高く、お勧めのレンズとなっています。が....しか〜し。重大とうか、致命的な欠陥があります。このレンズ、1mよりも近接撮影すると、開放でも絞りが絞り込まれる!!!
ペンタックスFA28-70mmレンズの時の事情とは異なり、マクロレンズは近接撮影時に逆に露出倍数がかかり暗くなるので、絞り込む意味は全くありません。恐らく近接撮影時に絞りのあるポジションを実際に光束が通過する範囲が狭いのでしょう。影響のない範囲で絞り込んで、フレアカットを意図した物と思われます。その結果、某プロカメラマンのレポートによれば、マクロ撮影時に光源ボケが丸ボケにならないそうです。これがマクロレンズにとってどれだけ致命的な欠陥になるかお分かりになると思います。もとからキヤノンというのはボケには全く無頓着で、円形絞りを採用したレンズは一本もありません。この100mmマクロの絞り形状もちょいと絞った所から見事な八角形で、その形をマクロ撮影時にはどうやっても消すことが出来ないのです。
キヤノンの内部性能評価基準には、ボケ味というのは無いのかも知れません。
誤解を招きそうなので説明を加えておきます。光源ボケ(点ボケ)が丸くなるかどうかがボケ味の全てではありません。しかし重大な要素です。何故なら一般的なボケである面ボケは、無数の点ボケの集合体だからです。この一つ一つの点ボケの形状、中心部から周辺部への光量変化によって、その集合体である面ボケの美しさが決まります。例えばボケの形状は丸だとしても、周辺部の方が中心部よりも明るくボケるレンズは、強烈な二線ボケ傾向を示すようになります。ボケの形状が丸で無い場合、その周辺部形状が折り重なって作られる面ボケは均質にはならず、汚いボケ味になります。だからこそミノルタは、円形絞り、更には点ボケの周辺部の光量を落として総体としての面ボケを美しくするようなSTF技術にこだわっているのです。
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