前回のつぶやきで書いた星野撮影(固定撮影)の結果をお見せしましょう。前回にも書きましたが、無謀にも事前準備を何もせずに撮影に臨みましたので、ここでお見せする写真は天体撮影、星野撮影をしたことのある人から見れば笑ってしまうような写真達です。ま、笑い飛ばしながらご覧下さい(^_^;
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EOS3, Sigma 28mm F1.8, F5.6, 10分, RDP3
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一枚目は私が獅子座と勘違いしたおおいぬ座です。一番明るい星がシリウスです。画面左下に大きな吊り橋とその街灯、そして木立を取り入れてアクセントとしています。露出はISO100でF5.6で10分。EOSがはじき出した露出値のままです。星を基準にすればあと1〜2段ぐらいオーバー目でも良かったかも知れません。EOSの露出計は夜景を夜景として再現するようで、低照度の場合はアンダー目にセットされるようです。
パソコン画像にした時に、このレベルの大きさの解像度だと星の軌跡がきれいに再現できずまだらになってしまいます。左下の街灯の輝きもポジ上にある美しさの1/10も再現できていません。もっと大きな画面で見る必要がありそうです。しかしインターネットの場合は画像が重くなると表示が著しく遅くなるので敢えて大きな画像にはしていません。
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EOS3, Sigma 28mm F1.8, F2.8, 6分, RDP3
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二枚目は北極星付近の空です。画面左側、山の稜線近くにカシオペアが見えます。北斗七星は画面右上の外にあり、一部分しか見えません。
露出はF2.8で6分。EOSがはじき出した露出に対して+1.3EVの補正を加えた値になっています。ご覧の通り空は青く写り、画面下にある木々のうち紅葉した木が赤く写っているのが見えます。もしあと+1段ぐらいプラスにしていれば私の狙い通りの昼間の様な夜景が撮れたと思います。
この方向の空は市街地の明かりでうっすらと白けていて、肉眼ではあまり星の数が多くなかったのですが、F2.8という明るめの絞りで撮影した為か、肉眼に見えた数よりもはるかに多くの星が写っています。
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EOS3, Sigma 28mm F1.8, F2.8, 5分, RDP3
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三枚目は皆さん御存知のオリオン座です。三ツ星の左下に、肉眼では色までは見えないオリオン大星雲が赤く写っています。画面右の三つのコブ上に盛り上がった木立の左上に牡牛座があります。シンボルである一等星アルデバランと有名な「すばる」に加えて、非常に明るい木星と土星が写り込んで賑やかな星空写真になっています。一番明るい星が木星。その左がアルデバラン、木星のほぼ真下やや右の木立にかかっている星が土星、その右上、木星と二等辺三角形を作るような位置にある、ぼやっとした光がM45プレヤデス星団こと「すばる」です。
露出はF2.8で5分です。これはEOSのはじき出した露出に対して+1の補正を加えた値になっています。手前の木立の一部の紅葉した木が赤く見えますが、あと1〜1.5段ぐらいオーバーに撮っていたら手前の木立が昼間の景色のように写ったでしょう。画面左下の明かりは市街地の明かりです。その明かりによって手前の木立がシルエットとして浮かび上がっています。
同じオリオン座をF8という絞りで撮影した写真もありましたが、写っている星の数がとても少なくなっていました。固定撮影の場合は絞りを開ければ開けるほど写る星の数は増えるようです。しかしこの写真からも分かるように広角レンズで絞りを開けると周辺光量低下が大きくなります。F2.8でさえこれだけの低下が見られますのでF1.8での撮影は辛い物があります。周辺部のコマ収差も大きくなるので何を重視しするかによって絞りの値も変わってきますね。
以上三枚の露出条件ですが、月は半月を僅かに過ぎた(満月寄りの)状態で、ほぼ天頂ありました。もし満月の夜ならば同じ露出条件で大地は+1EVぐらいオーバーに写る筈です。
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EOS3, Sigma 28mm F1.8, F2.0, AE(+0.3EV補正、30秒), RDP3
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四枚目は薄明の始まった東の空です。右上に十字架に見える四つの星がからす座です。画面ほぼ中央で明るく輝いている星が乙女座のスピカ。その左下地平線近くで薄明に負けずに明るく輝いている星が、肉眼で点状に見える星としては最も明るい水星です。スピカのほぼ真上、画面ギリギリの所に赤く輝いている星が火星、画面左上隅で明るく輝いている星がうしかい座のアークトゥルスです。
これを撮影しているときには肉眼ではまだ赤みは見えなかったのですが、フィルムには朝焼けの前兆の淡い茜色が見事に写っています。露出はF2.0で30秒。ここまで来るとAEが働いて、プラス0.3EV補正で撮影しています。薄明の再現を優先していますので、月明かりに照らされている筈の大地は暗く写っています。絞りを開けてF2にしたので、周辺光量低下はかなり大きくなっています。薄明撮影の場合は朝と夜が混在しているような印象を強調できるので却って効果的かも知れません(好みの問題もあるでしょうが)。
初めて撮影した写真と撮影データを見ながら、手持ちの天文雑誌を紐解いてみました。フォトコンテスト入選作品の中から地上の景色を含めて固定撮影している作品のデータを見ると、ISO400、F5.6、10分かそれに相当する露出値を基準に、更にプラス方向に最大2段ぐらいまで多めの露出をかけている写真までありました。私の露出は3枚目を例にとるとISO100、F2.8、5分ですから前述の露出に対して最低でも1段は足りない結果となります。もちろん露出は空の透明度、光害の程度によっても変わりますが、実際の画像を見てもアンダー目だった事は否めません。またこれだけの長時間露出だと相反則不規の影響もあり、ネガフィルムに比べるとポジフィルムの影響はより大きくなります。だから単純に露出が1段不足、という判断は出来ないでしょう。だからこそ天体撮影では事前のテスト撮影が大切なのですね。 |