マクロレンズを撮影倍率で区分すると、以下のような種類があります。
1. ズームレンズなどのおまけマクロ機能(∞〜1/4倍程度)
2. 旧世代マクロレンズ(∞〜1/2倍)
3. 一般的な等倍マクロレンズ(∞〜等倍)
4. ミノルタとキャノンの超等倍マクロレンズ(等倍〜3倍/5倍)
5. ベローズ用のマクロフォトレンズ(?倍〜数倍)
5番目のあまり一般的とは言えないベローズ用のマクロレンズを別とすれば、単体で等倍を挟んで撮影できるマクロレンズを知りません(と書くと、時代と世界の狭間から等倍を挟んで撮影できるレンズを探し出してくる人がいるかも知れません。有ったら教えてくださいね)。EOSで自動絞りが使えるレンズという範疇なら存在していないと断言できるでしょう。
植物園などで撮影していると花の細部の神秘的な造形に魅せられて等倍を超えて撮影したい状況が数多くあります。その様な時にいつも思うのは「メーカーはなぜ等倍に拘るのだろう?」ということ。二倍マクロみたいなレンズを発売すれば新たな写真の世界を拡げてヒットすると思うのですが、無限遠から二倍まで撮影できるレンズはテレコンのお世話にならない限りありません。一方でミノルタとキヤノンには等倍から3倍ないし5倍まで撮影できるレンズもあります。キャノンのMP-E
65mm F2.8を店頭で触りましたが「等倍から」しか撮影できないレンズはとても使いにくい物です。ここでも何故「メーカーは等倍に拘るのだろう」という疑問が頭をもたげます。もしMPーEレンズが1/5倍ぐらいから撮影可能であれば植物園では無敵のレンズになったのに...
マクロで等倍付近の撮影をしたことがある人なら誰もが感じると思うのですが、実際の撮影で等倍という倍率に特別な意味はありません。等倍よりもう少し寄りたいという場面は多々あるし、一方で等倍を超えた撮影をしたあとに低倍率での撮影もするわけです。それを水と油のように等倍を境にレンズシステムを分けて、等倍までのマクロレンズと等倍からのマクロレンズを発売するメーカーというのは、自分で撮影したことのない人にレンズ設計をさせているように思えます。
私自身が欲しいマクロレンズのスペックは無限遠から2〜3倍まで撮影できる中望遠マクロです。出来れば開放F値はあと一段明るいF2だと良いですね。ちょっと大きく重くなりそうですが、1kg以下ならボケの大きさに免じて許しましょう。さらに後部差し込み式フィルターがついていて、そこに蒸着式アポタイゼイションフィルターを挿入できたら言うことないです。またその位置に円形の穴を開けた絞り板も入れられるようにすると、小絞りでありながら開放と同じボケの質を維持出来ます。これは一部の天体望遠鏡に用いられている機構です。
AFである必要はありません。その分MF時のピントリングのフィーリングを良くして欲しいです。もしAFにするのであれば、一般撮影用に1mぐらいの所でフォーカスリミターが働くようにして欲しい物です。マクロレンズのAFはレンズ繰り出し量が大きいので、ひとたびAFが迷うと数秒待たされるハメに陥りますので。また手ぶれ防止機構(IS:Image
Stabilizer)に加えてピンボケ防止機構(FS:Focus Stabilizer)なる物を付けると無敵のマクロレンズになると思います。前者はキャノンやニコンでおなじみの、上下左右方向の揺れをジャイロ+補正光学系で抑止する機構ですが、後者は前後のブレをジャイロ+AF機構で補正するというアイデアです。手持ちでピントが合ったときにフォーカスロックボタンの様な物(これはピントリング上に必要ですね)を押したら、そのピント位置が体の揺れに関わらず保持される物です。
私の理想のマクロレンズをまとめるとこんな感じでしょうか。
Tamron SP-AF100mm F2 USM F&IS
STF3
・レンズの基本性能はF2の大口径+10枚羽円形絞りで圧倒的に
大きく美しいボケを実現。
・加えて強度の異なる蒸着式アポタイゼイションフィルターを挿入
することでボケ味を調整可能。
・アポタイゼイションフィルターの代わりに完全円形絞り板の挿入
もでき、ボケ味を全く損なうことなく被写界深度の拡大が可能。
・単体で3倍までの撮影が可能。
・回転式三脚座装着可能。
・手ブレ防止機能(Image Stabilizer)に加えて、世界初のピン
ボケ防止機能(Fucus Stabilizer)を搭載。低速シャッターでも
高倍率の手持ち撮影が可能。
・超音波モーターによる素早いAF。フォーカスリミターを使えば
一般使用にも快適。
・フォーカスクラッチ機構による圧倒的にスムーズなマニュアル
フォーカス。ワンタッチのAF/MF切り替え、及びMF時にも
有効なFocus Stabilizer。
・フィルター径72mmで、各社のマクロリングストロボを使用可能。
(アダプター別売)
さて、こんなレンズがでるのはいつのことでしょうか?本当に出来たら、マクロだけでなくポートレートを撮る人にも朗報になるでしょう。撮影倍率を一般レンズ並みにおさえる代わりに開放値をF1.4として、F2〜2.8相当の完全円形絞り板+アポタイゼイションフィルターを合体したようなフィルターを挿入できる設計にしたら、ポートレート撮影でも無敵のレンズになると思います。タムロンさん、両方とも作りませんか? |