本格的な写真撮影を再開する際に、最初に買ったカメラがキャノンEOS
Kiss(初代モデル)でした。キャノンにした理由はAFが速いという巷の評判と、音も無くピントが合う超音波モーターに惹かれての事でした。なにせ初めてのAF一眼レフカメラの購入でしたし、それまでのAFコンパクトカメラのピンボケには苦労していましたからAF性能主体のカメラ選びとなってしまいました。その当時はAF万能の様に勘違いしていたし、また自分自身の撮影ジャンルも固まっていなかったので、オールマイティ、満遍なく平均点の高いカメラ選びをしました。
しかし撮影を続ける内に私が最も心惹かれていった被写体はマクロ撮影です。この場合AFはほとんど役に立たずMFになります。次に惹かれた被写体が風景ですが、この場合もAFは却って煩わしくほとんどの場合をMFで撮影します。AFを使ったとしてもそれは補助的に使うだけで、撮影の瞬間はMFで撮影しています(レリーズの瞬間にピント位置がずれたら困るので)。結果的に私は90%ぐらいのカットをMFで撮影しています。キャノンEOSを使ってMF撮影...これは一番場違いな組み合わせかも知れません。そうは判っていても一度揃えてしまうと仲々システム変更できないのが、メーカー間で互換性のないカメラの宿命。今日までEOS一本槍で撮影しています...
しかし、マクロネイチャー系の私はミノルタαが欲しい....
とはいえ理性派の私はミノルタαシステムに乗り換えることはしないでしょう。今まで揃えた機材をミノルタで揃えるとしたら百万円以上の出費となってしまいますし、一回の撮影で2種類の35mm一眼レフシステムを持っては歩けませんから、もし替えるとしたら同等のシステムを一辺に揃えなければならなくなります。ここから先はマクロ屋KENが見たミノルタの勧め、という主旨で読んでください。
マクロ主体のKENがミノルタを勧める最大の理由が、ミノルタAF
100mm F2.8 Macroの存在です。このレンズのアウトフォーカス部分のボケ味の美しさは何度見てもずば抜けて美しい。タムロンマクロマニアの私ですらタムロンに比べてもミノルタの方が数段美しいと思います。ミノルタの100mmマクロで撮影した写真はインターネットで見るような小サイズ低品質な画像でも一目で判ります。色々なホームページを見ていて「あ!」と思った写真のデータを見ると決まってミノルタのマクロなのです。このレンズの欠点はMFの操作性の悪さ(ピントリングの小ささ)ですが、新型のDレンズになってかなり改善されました。
ミノルタのレンズはこの100mmマクロ以外にもボケの美しいレンズが多くあります。もし学研CAPAのミノルタα-7完全攻略BOOKをお持ちでしたら9ページの写真をご覧下さい。霧が出ている状況とは言えこんな美しいアウトフォーカスがズームレンズで得られるとは驚きです。STFレンズを持ち出すまでもなくボケ味に最も拘っているカメラメーカーである事は間違いありません。
次にミノルタをお勧めする理由が、質の高い縦位置グリップの存在です。これは最高級機α9だけでなく、α7、α807、α707など殆どの中上級機に横位置と同じ感覚で撮影可能な縦位置グリップが用意されています。これが例えばキャノンだと製造中止になったEOS5にしか準備されていません。あとはとてつもなく高価で重いEOS1V/EOS3用のパワーブースターPBーE2だけです。EOS55、EOS
Kiss3, EOS7にも縦位置グリップの用意はありますがオマケのレベルです(それでもあれば有り難いですが)。縦位置グリップは昆虫などの動く物を縦位置で撮る際に極めて重要になります。はっきり言って縦位置グリップも無く動く昆虫をマクロ縦位置で撮るのには無理があります。一方マクロ屋にパワーブースターなど必要有りません。その為に高価かつ重くなる縦位置グリップなど余計なのです。ニコンには標準装備のF5を除くと、現行機種ではF-100用とオマケレベルのF90用以外に縦位置グリップが用意されていません。ペンタックスには全く有りません。
第三にミノルタをお勧めする理由が、マクロ撮影関連機材の豊富さ、質の高さと安さにあります。
例えばアングルファインダー。ミノルタ製は倍率切り替え、アイカップ、視度調節がついて12000円です。キャノンは同等機能装備で24000円、実に倍額の差があります。そもそも24000円のアングルファイダーしか準備しないメーカーは普通の人にマクロ撮影などするなと言っているようなものです。ニコンは18000円もして倍率切り替え無し、ペンタックスに至っては39000円もしてアイカップも無し(この点に限ればペンタックスはアホです。アングルファインダー撮影が特殊な物だと勘違いしている)。このマクロ撮影関連機材のメーカー別の違いについては次回のつぶやきで詳しく語りたいと思います。
第四の理由は、実はこれは一番の理由かも知れませんが、MFに拘ったファインダーづくりです。ミノルタのファインダーはスフェリカルアキュートマットと言ってボケが比較的大きく見える物で,
その見え味には定評があります。これを最上級機α9のみならず中級機にも採用しています。一方のキャノンはEOS1シリーズを除いてはピントの山/ボケよりも明るさ優先のAF専用とも言えるスクリーンを使用しています。ミノルタα-9、α-7なら更に大口径専用で忠実なボケ再現に拘ったスーパースフェリカルアキュートマットにも交換可能です。ニコンのスクリーンにも定評がありますが、それ以外の点でニコンはミノルタに追いついてこれません(あくまでネイチャーマクロの視点で)。
と言うわけで、これからマクロ写真を撮ってみたいと思われる方で、カメラシステムをこれから構築できる人にはミノルタαをお勧めします。使い込む程に後悔のないカメラとなるでしょう。
もちろんミノルタは万能ではありません。もしスポーツ写真など動体中心に撮るならキャノンEOSに敵うシステムはありません。過酷な条件下での絶対の信頼性ならやはりニコン一桁でしょうか(もう神話ですね)。この様にそれぞれのメーカーにはそれぞれの持ち味が有ります。そしてネイチャーマクロならミノルタαというのが私の結論です。最後にもうひとつ、α707クラスの中古はとてもお安い!ミノルタのレンズの中古もあまり高くない!そんな点もこれからカメラを買ってネイチャーをする人にお勧めしたい理由です。 |