今回は「ミノルタαの勧め」の続編として、マクロ関連機材の各社の値段を比べてみようと思います。下記を見れは判りますが、私がマクロで必要と思う主要機材5点、アングルファインダー、ケーブルレリーズ(リモートコード)、マクロストロボ、中間リング、縦位置グリップを全て揃えるとすると、それだけでメーカーによって相当な値段差が出ます。一部の機材はメーカーによっては入手すら出来ません。
これから品目別にコメントしてゆきますが、大きく二つの点に注目してください。ひとつはメーカー間の値段差。この点では概ねミノルタが安く、我々の財布の味方になっています。もうひとつがキャノンの値上げの動きです。最近の不況を反映してなのか?キャノンは雑誌やカタログ表面には出にくい周辺機材の値段をとてつもなく値上げしています。最近の機材の値段を知ると、いくら本体の性能が高くても人に勧める気を失わせるのに十分な理不尽な値上げです。
|
キャノン(旧) |
キャノン(新) |
ミノルタ |
ニコン |
ペンタックス |
アングル
ファインダー |
8500円
視度調節 :○
倍率切替 :X
アイカップ:X |
24000円
視度調節 :○
倍率切替 :○
アイカップ:○ |
12000円
視度調節 :○
倍率切替 :○
アイカップ:○ |
18000円
視度調節 :○
倍率切替 :X
アイカップ:○ |
39000円
視度調節 :○
倍率切替 :○
アイカップ:X |
ケーブル
レリーズ |
3800円
(1N, 5)
2500円
(Kiss, 55) |
5500円
(1V, 3)
2500円
(Kiss, 7,55) |
3800円 |
6000円 |
2500円 |
マクロストロボ |
35400円 |
69000円 |
38000円 |
52000円 |
52000円 |
オート
中間リング |
13800円
(25mm)
9000円
(12mm) |
13800円
(25mm)
9000円
(12mm) |
なし |
7000円
(8mm)
7000円
(14mm)
7500円
(27.5mm) |
13000円
(50mm)
16000円
(100mm)
21000円
(12、19、26 set) |
縦位置
グリップ
* 機能制約あり |
55000円*
(1N)
12000円
(5)
9000円*
(55)
4000円*
(New Kiss) |
60000円
(1V, 3)
9500円*
(7)
9000円*
(55)
4500円*
(Kiss3) |
35000円
40000円
(α-9)
25000円
(α-7)
18000円
(α807、707) |
30000円*
(F100)
18000円*
(F90X) |
なし |
その他 |
なし |
なし |
バウンスリフ
レクター
3500円
ソフトライテ
ィングセット
15000円 |
従来からの
機材多数 |
リバースリング
ライトホルダー
2500円 |
アングルファインダー
視度調節機能は上記四社全てのアングルファインダーについています。それ以外にはアイカップと倍率切り替えが主要機能です。言う間でもなくアイカップは明るい光源が目に入るようなポジションで見るときに効果があります。倍率切り替えはスクリーン中央部のみを拡大して精密なピント合わせをする物で、言わばマグニファイヤーを内蔵している事になります。高倍率マクロ撮影をしている時に極めて便利です。
キャノンの旧型は視度調節のみのベーシックな物でしたが、正立正像で8500円という極めてリーズナブルな価格でした。それが新型ではすべての機能が内蔵されたとは言え実に2.8倍の値上げの24000円になりました。こんな値段ではEOS7以下の機種を買った人はアングルファインダーまで手が出ませんよね。実にけしからん値上げです。ただこのアングルファインダーは倍率が通常でも1.25倍あり、極めて見易いものになっています。単品としての性能でみれば最高レベルのの商品と言えるでしょう。ただ、オリンパスのアングルファインダーを例に持ち出せば、視度調整、アイカップ、倍率切り替え(1.2x、2.5x)がついて15500円です。キャノンと同等性能で価格は2/3。やっぱり高いです!
ミノルタはキャノンの半額の12000円ですべての機能を内蔵しています。倍率は等倍と2倍の切り替え式です。この価格の安さと機能の充実は我らの味方!と言う気がします。さらにミノルタのアングルファインダーはコンタックスの丸窓以外の全機種(RTSIII,AX,ST以外の全機種)にも装着可能という情報を、両方を持たれている方から頂きました。
(追記:ミノルタのアングルファインダーはEOSの非視線入力機にも付くとの情報も頂きました。両方もたれている方は、試してみてください。)
ニコンは倍率切り替え無しで18000円。ま、ニコン党はお金のことにはとやかく言わないでしょう。しかもニコンF一桁シリーズにはアンフルファイダーなど使わずとも質の良いウェストレベルファイダーが各種用意されています。こちらの方が私には羨ましい...
ペンタックスは「お前ら何を考えているのだ!」と激怒したくなる39000円です。MZシリーズの本体が買えてしまうような値段です。フラッグシップのLXオーナーでもこの値段だったらウェストレベルファインダーを買いますよね...ペンタックスMZシリーズを買われた方、ローアングルマクロ撮影は諦めてください。アングルファインダーを買うよりも、同じ値段でミノルタα707の中古とミノルタのアングルファインダーを買った方がお徳です。装着出来るレンズも質が高く豊富になりますよ!
ケーブルレリーズ
キャノンには3種類のレリーズがあり、1V/3用の新型は1N用の旧型から1.5倍も値上げされました。単体の値段ならEOS1V/3用の5500円でもニコン用の6000円を下回っていますが、色々な機種間で互換性が無いため、EOSでステップアップしてゆく人は結果的に2〜3本買うハメになり実質的に最も高価なケーブルレリーズとなっています。EOS1N用のレリーズを1V/3用に変換するアダプターだけでも5000円もします。
ミノルタは我らの味方。過去から現在の機種のほとんどで共通に使えて3800円。ペンタックスも2500円でこの点では頑張っています。
マクロストロボ
キャノンには文句を言いたい!と最も思うのがマクロリングライトの値上げです。旧型のMLー3は35400円、それが新型のMRー14EXはほぼ倍額の69000円です。主要変更点はEーTTL対応(プリ発光&ハイスピードシンクロ)とワイヤレス多灯ストロボ制御です。ちなみに同じ変更を受けた500シリーズのストロボは、540EZが48000円、550EXが50000円ですからわずか2000円の値上げで実現できています。マクロリングライトの値上げは明らかにキャノンのぼったくりです。
ミノルタは38000円。キャノンの二灯式に対してミノルタは四灯式と豪華(?)になっています。それを考えれば値段はリーズナブルだと思います。
ニコンとペンタックスは揃って52000円。高すぎますね。もっともニコン党はお金に文句言わないだろうし、ペンタックス(除くLX)でマクロ撮影を多用する人はいないでしょう。
オート中間リング
ミノルタにメーカー純正中間リングの準備が無いのは意外でした。キャノンは2種類のみで、しかも重ね合わせての使用を推奨していないので(実際には使用可能ですが)極めて限られた選択肢しか有りません。しかも概ね高価です。ミノルタにしてもキャノンにしても、ケンコーの中間リングが窮地を救ってくれます。特にキャノンの12mmはケンコーのOEMですから、ケンコーを買っても同じ事です。25mmの物が9000円、12、20、36mmセットの物が16300円です。ニコン用とペンタックス用もあります。
ニコンとペンタックスには極めて豊富な中間リングが準備されています。特にペンタックスにはオートにはなりませんが厚み連続可変のヘリコイド中間リングなるものがあり、極めて便利な機材となっています。加えてこの二社には従来からのシステムが生き長らえており、ベローズも各種用意されているのが羨ましいです。ニコンはともかく、LXを除いておよそマクロ撮影に向いているカメラの無いペンタックスがこれだけ充実した接写機材を用意しているということは、フラッグシップLXに対する拘りゆえなんでしょうね。
縦位置グリップ
これはミノルタの独壇場です。シャッターボタン以外にも横位置と同じ操作を可能とするボタン類のついたグリップを中級機以上に用意しているのはミノルタだけです。EOSー5が製造中止となった現在、キャノン現行機種で必要なボタン類を全て装備したグリップは1V/3に用意されているパワーブースターPBーE2だけで、60000円と710gの重さ(電池込実測)をカメラマンに強います。マクロ屋にとって秒間6〜10コマなど不要で、むしろ機動性が欲しいのに...キャノンにはそれを満足するカメラが一台もありません。それ以外のキャノンの場合はKiss
3, EOS55, EOS7のバッテリーパックに縦位置シャッターボタンが付きます。これだけでも無いよりは遥かにマシですが、操作頻度の高いメイン電子ダイヤルすらこれらには付きません。
ニコン現行機種はFー100のみに質の高い縦位置グリップの装着が可能です。欠点は、少し高い!F90X用はシャッターボタンのみです。
ペンタックスには縦位置撮影という概念がありません。すべからく写真は横位置で撮影する物だと信じているのでしょう。多分...
その他の目についた機材
ミノルタに各種用意されているストロボデフューザーには感心してしまいます。ルミクエストなどよりも本格的で効果が高そうです。それでいてあまり高価ではありません。
もうひとつうなってしまったのがペンタックスにあるリバースリングライトホルダー。これはリバースアダプターを使ってレンズを逆さまに装着した状態で、マクロリングストロボを使うためのアダプターです。ここまでマクロ撮影にこだわるのはフラッグシップLXの為なのでしょう。
ちなみにリバースアダプターはニコン、ペンタックスに用意されています。またケンコーからはEOS、ミノルタα、ニコン、コンタックス用のリバースアダプターが準備されています。
最後に...
マクロ撮影という視点だけで見ると、中間リングが無い事を除いて価格、機能、機材の豊富さという面でミノルタが抜き出ていることが判ります。ほとんどの人はカメラ本体の値段だけでカメラ選びに一喜一憂されていると思いますが、トータルで考えた場合の周辺機材の値段差もバカになりません。どれだけバカにならないかミノルタとキャノンを例にあげて証明してみましょう。ここに挙げた5つの機材を全て揃えるとして(但し中間リングは25mmとし、ミノルタはケンコー製で代用)、α-7とEOS-7の定価ベースの価格合計は
ミノルタα-7 125000円、縦位置グリップ 25000円、アングルファインダー 12000円、マクロリングストロボ 38000円、ケーブルレリーズ 3800円、中間リング(ケンコー) 9000円、合計 212800円
キャノンEOS-7 93000円、縦位置グリップ(シャッター+AE&FELのみ)9500円、アングルファインダー24000円、マクロリングストロボ 69000円、ケーブルレリーズ 2500円(注、上位機種と互換性無し)、中間リング 13800円、合計 211800円
と、わずか1000円の値段差でしかありません。どう思われますか。マクロ撮影を主眼に置いた場合の本体と縦位置グリップの機能性能は圧倒的にα-7の方が優れています。
キャノンEOS3とミノルタα-9との比較計算は皆さんにお任せしますが、もっと劇的ですよ。185000円のナンバー2機と250000円のフラッグシップ機の価格合計がどの様になるのか... |