今回は趣向を変えて、カメラとは関係ないお話などを...
海外出張は大抵の場合は心ウキウキするものです。事前の業務準備や、帰国後の業務課題の収拾、また留守にしている間に溜まった仕事の後始末、時差ぼけなど大変な面も多いですが、新しい文化に触れる事ができたり、休憩時間、休日などに異国の地の美しい景色を目にすることも多くあります。
私個人は自費で海外に行ったことが無く、従ってHOPに掲載しているデュッセルドルフやフィレンツェの写真とか(HOPのサイトは閉鎖しました)、このホームページに掲載しているミラノの写真は全て出張時のものです。いずれも大きな業務目的による出張ですが、今となれば楽しい想い出だけが残っています。
しかし今回の出張だけは違います(実はこの文章、出発する前日の晩に書いています)。楽しいどころか、色々な意味において自分の身(安全&健康)が心配になる出張なのです。
事の始まりは1カ月前、心当たりのない内容のEメールが送られてきました。長文の英語のメールです。差出人は私の会社の筆頭株主の会社の重役(という名目の、人事部あたりが作ったもの)で、南アフリカ・プレトリアで行うビジネス研修に出なさいとの内容でした。期間は4月2日朝から6日夜まで(現地時間)。
私は全く心当たりが無かったので、上司に確認しました。最初の上司は「何だろうね?」とか言いながら「○○○に確認してみた方がいいよ」と私に告げました。で、私は○○○(もっと職位の高い外人の上司です)に確認したら「私が申し込んだ。行きなさい!」とのショッキングな言葉が返ってきました。実はその時既に4月初めに大きな組織変更があり、業務が混沌とすることは分かっていました。おまけに出張の期間は桜の見頃撮り頃では無いですか!一年で一番撮影に燃える被写体なのに...(とはいえこの事は出張を拒否する理由には出来ませんね)。その上司は「仕事のことは気にするな、行ってこい」と言います。「気にするなって....結局後始末は私がやらなければならないのになぁ...それに桜はどうしてくれる!」と思いつつも拒否する業務上正当な理由が思いつかず、しぶしぶ承諾しました。しかしこの時はまだこの出張の恐怖を知りませんでした。
まず目的地の事を調べてみました。プレトリアはヨハネスブルグからクルマで40分ほどの首都の一つ(南アフリカには首都が三つあります。行政、司法、立法それぞれで首都が違うのです)で、ヨハネスブルグ空港に降り立ってから移動します。しかしそのヨハネスブルグ、世界で一番治安が悪く危険な都市だそうで、外務省も現地観光局も日本人は出歩かないように注意をしています。カバンを持った白人(日本人も)が出歩けば100%強奪に会い、1999年度に日本人の身の代金目的の誘拐が4件も発生しているとの事でした。
ヨハネスブルグからプレトリアの移動に関しても「バスはダメ(車内で強盗にあう)、タクシーも敬遠した方がよい」との案内がありました。会社内のプレトリアに行ったことのある人の言葉でも「タクシーに乗ったらどこに連れていかれるか分からないよ」との事。おいおい、どうやってヨハネスブルグからプレトリアまで移動しろと言うのだぁ?
結局、研修を開く会社がヨハネスブルグから研修会場のあるホテルまで専用のリムジンバスを用意することになり、この面は一安心。でもこんな場所への出張では、自由時間が出来たとしてもカメラ持って出歩けませんよね。
次の見込み違いが研修準備です。上司の命令に従って研修を申し込むと、CDと英語の本三冊が送られてきました。私はてっきり研修日だけ拘束されれば良いのかと思っていたのですが、送付物の中にはCDと本の中味を全部読み、幾つかの課題をやってこいととの指示書がありました。CDの内容を全部プリントアウトしたら厚さ5cmほどに....もちろん全て英語の資料です。この山のような資料と本を目の前にして、私の目の前がどれだけ真っ暗になったか想像してみてください。会社の周りの人も私に同情の眼差しを向けるだけ。
仕方なくこの日以来私は黙々と英語の資料を読み続け、出発前になんとか終えることが出来ました。多分40時間ぐらいは準備に費やした筈です。今までこんなに英語を読んだことはありません。頭が痛くなりました。
更なる恐怖は研修そのものです。既に同じ研修を受けたことのある人が社内にいたので、内容を聞いてみました。研修はビジネス全般に関することで、毎日朝8時から夜6時まで。自ら考え参加者の前で発表することも多いし、毎日宿題が出てそれを終えるのに夜中までかかったとの事です。もちろん全て英語で通訳無し。加えて色々な国から参加者がいるので、その人達の英語はとんでもなく聞き取りにくいとの事。研修中はホテルの外に出ることなど有り得ない...Oh
my God!
果たして私はこの危険地帯に出張に行き、地獄のようなスケジュールの研修を終えて無事にいられるのでしょうか?
いい忘れていましたが、日本から南アフリカへの飛行時間は乗り継ぎ含めてほぼ24時間。アメリカやヨーロッパに行く時間の倍です。昨今の不景気を反映して全てエコノミークラス。これでは間違いなくエコノミークラス症候群になるかもしれません。しかしそんな事がささやかに思える、南アフリカの治安の悪さと研修スケジュールのハードさなのです。
では、行ってきます。無事に帰ってこれたら、次回つぶやきでお会いしましょう(笑)
補足:今回のカメラ機材は、EOS100、シグマ28-70mm
F2.8-4、中間リング(マクロレンズ代わり)、プロビア100F36EXx2本、スリックプロミニ(三脚)、リモコン、ブロアー、撮影データ記録メモ帳。大量の資料、パソコンなどがあるので機材は最小限に留めました。
つづく
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