前回のつぶやきに引き続き、超小型三脚対決です。
今回の対戦相手はスリック・プロミニとマンフロット209+342です。ではまた、スペックの確認から。
スリック・プロミニ
二段、エレベーター付き三脚。自由雲台付き。雲台取り外し可。
全高245mm、縮長210mm、重さ330g、布製ケース付属。
色はブラック。定価6800円。
マンフロット209(卓上三脚)+342(小型自由雲台)
一段、エレベーター無し三脚。自由雲台付き。雲台取り外し可。
全高115mm、縮長200mm、重さ210g。ケース無し。
色はブラック。価格8300円。
他に更に小さな自由雲台210を付けた7900円のセットもあり。
最初にお断りしておきますが、私の持っているマンフロットの卓上三脚209+342は190+141の80周年記念モデルに付属していた物で、特別色のシルバーになっています。しかし一般販売のものは色が黒になっています。この三脚の定価は8300円もし、また店頭販売されていないと思いますので、取り寄せでの実売価格もその80%前後、6500円前後と思われます。スリック・プロミニと比べても格段に高価な三脚です。
私の場合は190+141+209+342+ストラップ全部併せて新品9000円で購入しましたが...(^^ゞ(このあたりがKENのKENたるゆえんです。ちなみにプロミニの新古品の購入価格は2000円でした(^o^))。
さて、よほどの人で無い限りわざわざ買うことなど無いであろうマンフロットの超小型三脚を、前回つぶやきでべた褒めしたスリック・プロミニと比較してみましょう。このふたつの三脚の最大の違いは、材質と調節しろです。マンフロットは全て無垢の金属製の、雲台部分以外に調節しろの全く無い、ある意味で小型軽量ながら最大限の剛性を確保する設計がなされています。この小型ながら驚くほどの剛性感を持っている事がメリットですが、高さ調節出来ないこと、また三脚中央部の地面からの高さが1.5cmほどしかなく、不整地では「亀の子」状態になって使いにくいことがデメリットです。さらにささやかな事ですが、マンフロットの雲台取り付けは全て大ネジなので、この豆粒の様な自由雲台も他の三脚/一脚への取り付けにはネジ径変換アダプターが必要です。逆に卓上三脚への他社の小型雲台取りつけは不可能でしょう。脚だけを直接カメラやレンズ三脚座に装着する超ローアングルも、マンフロットは大ネジなので出来ません。
一方のスリック・プロミニは脚が二段式であることとエレベーターにより、18cmから24cmまで6cmの調節しろがあります。三脚中央部の高さも最大で6cmまで上げられるので、不整地でも使用しやすいものになっています。しかしプラスチックと金属の合体で、かつ調節部分の多いスリック・プロミニはマンフロットに比べれば剛性感の少なさは歴然です。
ふたつの雲台に意地悪な実験をしてみました。EOS1NーHSにシグマの180mmマクロを装着し、総重量2.5kgを超える巨体を支えさせてみたのです。普通のアングルではどちらの三脚も問題なく支えました。ただテーブル上の平らな面の上での剛性感はマンフロットの方が上です。
つぎに自由雲台のヘッドを倒して縦位置にしてみました。驚くことにマンフロットは2.5kgの巨体を縦位置でも支えてしまいました(当然ですが、この時カメラとレンズは三脚中心から外れてしまいます)。その時のカメラの高さは殆ど地面すれすれで、これほどのローアングルでカメラをある程度しっかり支えるのにはビックリしました。一方のスリック・プロミニも脚を伸ばせば支えることが出来ました。ただその高さはマンフロット並みほどには低くなく、またマンフロットよりもふらふらします。実際にシャッターを切った時の揺れはマンフロットの方が少なかったです。
注;三脚座があるのだから、縦位置は三脚座で行えばよい、と言わないように〜反論できませんので(笑)。
所がこの実験には落とし穴がありました。マンフロットをボディに付けた場合は、雲台と脚の距離が近すぎて脚とボディが干渉し、どうしても縦位置に出来ませんでした。脚を避けて脚と脚の間にボディを寝かすとマンフロットはボディ&レンズを支えることが出来ません。マンフロットは三脚座付きのレンズのみ縦位置超ローアングルが可能な様です。一方のスリック・プロミニはボディに装着した場合も縦位置が可能でした。但しブースターやバッテリーパックを付けたボディだと重心位置が三脚中央から遠くなるため、安定性はあまり良くありません。付加物のない軽量ボディなら安定性は増すと思います。いずれにしても超小型三脚で雲台による縦位置撮影は想定外の使い道なのでしょう。
この実験によりマンフロットを少し見直してしました。限られた状況下では極めて安定感高くカメラを支えます。しかし使用できる状況はさほど多くありません。スリック・プロミニは安定性はそのサイズなりであるものの、汎用性が高く実用的という事になります。
今回も総合でプロミニの勝ちかな?
ただマンフロット+三脚座付きレンズによる超ローアングル縦位置撮影には興味が湧きました。足場が平面で安定していればかなりのスローシャッターでも切れる気がします。ついでに持って行っても邪魔にならない三脚だし、いつか試してみましょう。
この様にある種の限られた使い方では、マンフロット209+342はその見かけによらない安定性を発揮します。その様な使い道がはっきりしている人にはお勧め三脚ですが、普通に買うと高価なのがネックですね。たまに中古で3000〜4000円ぐらいで有るみたいですが。
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マンフロット209+342とスリック・プロミニ。
最大高はご覧のように倍半分違う。収納時もマンフロットの方がコンパクトで、驚くほどスリム。マンフロットの脚は調節機能が無い、しかし無垢のアルミ製のしっかりした物です。雲台もつまみを含めて全て無垢のアルミ製。雲台面のコルク以外は全て金属です。 |
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EOS1NーHSとシグマ180mmマクロを装着したところ。この様な横位置ならどちらの三脚もこの巨体を支えることが出来る。但し剛性感はマンフロットの方が上。問題はマンフロットの三脚中央底部の高さ。ここが屋外だと物にあたり上手く安定しない事が多い。 |
縦位置に構えたところ。実際の撮影シーンを考慮してカメラは僅かに上を狙っている。プロミニは脚を伸ばさないとこけてしまった。また脚部を含めてプラスチック、ゴムが使われているので、ややフラフラする。
一方のマンフロットはこの巨体を地面すれすれのポジションでしっかり支えてしまう。驚き以外の何ものでもないが、この実験には落とし穴が。この写真からもマンフロットをボディに付けた場合はボディと脚が干渉し縦位置に出来ないことが伺える。 |
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