長引く不況の中で、様々な企業が倒産し、また倒産に至らなくともリストラや、大胆な業務効率化、経費削減が断行されています。私の会社も例外ではありませんが.....私が購読しているフォトテクニック誌(玄光社)も例外では無いようです。もちろん社内の事情を窺い知ることは出来ませんが、読者との接点の部分に下記の様な合理化や経費削減を目的としたと思われる変化が感じられます。
1. 添削料500円
「初心者の為のステップアップアドバイス」に応募した場合、従来は選者がもっとも良いと思う作品1枚に対して添削シートが添付されていました。しかし昨年から500円切手か500円の定額小為替を同封した場合だけ添削されるようになりました。ステップアップへの応募者は500人ぐらいはいたそうなので、全員の添削をしている時は相当な手間(=経費)だったとは思われます。最近はどれぐらいの人が利用されているのか分かりませんが、添削の必要な応募者数を減らして人手(=経費)を減らすことが主目的だとすれば、恐らくその目的は達成されているでしょう。私は全く利用していません。
なお、この制度改正で必撮応募でも添削してくれるようになりました。また同封出来るのは額面500円の定額小為替か「500円切手」だけで、「500円分の切手」ではダメなので注意が必要です。
2. 謝礼は1枚ごとではなく、1号ごと。複数掲載でも1枚でも同額
写真が掲載されると図書券が送られてきますが、ホームページに公開された金額は:
必撮ベストショット、厳選モノクロ、ナイスchottoへの掲載は点数に関わらず3,000円分。
ステップ・アップ・アドバイスへの掲載は点数に関わらず1,000円分。
PTランドへの掲載と一行通信は対象外。
で、更に賞金ではなく「謝礼」という位置づけから、「複数点数の掲載でも、1号分の掲載として謝礼をお贈りしています」とホームページでは説明しています。
これも従来とは多少違うような気がします。まず、従来は複数掲載に対して枚数分に相当する図書券が送られてきた気がします。「気がします」というのは私自身が複数掲載されたことが無いので分からないのです。しかし友人のM氏が必撮とモノクロに掲載された時には4000円分送られてきたという記憶があります。
また金額も多少変動している気がします。以前、ステップアップ・アドバイスにコメント付きで掲載された時は3000円分の図書券を送ってきました。上記定義だとこの場合でも1000円になります。必撮テーマ部門に比較的小さ目に掲載された時は確か2000円だったような...記憶が定かではないのですが、必撮なのにステップアップ大掲載よりも安いなぁ、という記憶があります。ルール変更前の必撮大掲載の経験はありませんが、玄光社MOOKシリーズに写真が大き目に掲載された時には4000円分の図書券を送ってきました。それ以来、私は掲載サイズと図書券の額には関連があると思っていました。
このあたりを整理合理化して、経費節約を計っているのかも知れません。
3. 応募用紙、コピー不可
写真応募する際には、各写真のデータとは別に、綴じ込みの応募用紙に必要事項を記入して同封する必要があります。これに最近から「コピー不可」との注意書きが印刷されるようになりました。作品ごとに添付するデータ用紙には「コピー可」と書いてありますので、応募用紙の方までコピーして用いることに疑問を持つ人はいなかったでしょう。だからこれまでコピーで応募した人は多かったと思いますし、私もパソコンの中に応募用紙をプリントアウトする為のデータファイルが入っています。
コピー可なら雑誌を買わなくても応募出来ましたので、コピー不可とする事で雑誌の売り上げ増につながります。加えて、何故か応募用紙のフォーマットや印刷インクの色が毎号微妙に変更されるので、最新号に添付された用紙で応募しないといけないような圧力を感じます(笑)。
しかし、これは結構不便です。フォトテクの発売日は偶数月の20日で、地方の場合は3日ぐらい遅れます。ところが次号応募締め切りは月末消印なので、応募作品の準備と発送に使えるのは7日間ぐらい、週末は殆どの場合に1回しかありません。その時に出張などの予定が入っていると、応募できない事態も生まれます。この点は何とかして欲しいものです。
なお、応募用紙は一人一枚必要な為に、家族での応募の際にはコピーを認めているそうです。その場合でも同じ大きさのハガキぐらいの厚さの紙に貼り付けるようにとの事でした。
4. もうすぐ必撮がHP掲載、再応募不可に
この項目のみは経費削減とは関係ありませんが、気になった変化なので書いておきます。編集部では「もうすぐ必撮」氏名掲載者の写真をホームページ上で公開することを検討中です。このメリットはインターネット上とはいえ「準」入選作品として氏名と共に公開されること、デメリットは公開済み作品扱いとなって、その写真を他のコンテストなどに応募できなくなることです。もちろん、「もうすぐ必撮」に謝礼はありません。
ホームページでの公開を希望しない場合は、データシートの方に「HP不可」と記入すれば良いそうです。私の場合は、当面は「HP不可」にしておくつもりです。雑誌上の公開と異なり、インターネット上での公開は見る事の出来る人が限られるし、更新されると跡形も無くなってしまいます。その程度のメリットで「公開作品」扱いにされるのはちょっと....
以前から「もうすぐ必撮」作品を見てみたいという希望は多くの読者からありました(一行通信に書かれていました)。その要望に応えたカタチの施策ですが、経費的にはかなりUPする気がします。もうすぐ必撮の人数は、必撮掲載者の1.5〜2倍ぐらいあるので、その分だけスキャニングする手間がかかるし、HPメインテナンスも結構大変ですよね。これで果たして売上増大につながるのかな??ちょっと心配だし、なんとなく長続きしない施策の様な気がします。
5. フォトテクニックの生命線?
恐らく編集部が上記のいずれよりも多額の経費を使っていて、合理化のメスの入っていない物に、応募作品の無料返却制度があります。返却時には市中で買うと120円〜300円ぐらいする、書籍を入れる厚紙の封筒を使い郵送されます。ポジの場合には傷付き防止にビニールのスライドフォルダを該当枚数分に切ったものに入れられ、プリントの場合もビニール袋に入れられてきます。だから一人当たりの返送経費は平均500円近いのではないかと思います。
しかし、ここに経費削減のメスを入れて返送無料の制度が中止されたら、多分フォトテクニック誌の将来は無いでしょうね。応募者が激減して、読者参加型の雑誌という形態が維持できなくなると思います。
フォトテクニック誌には頑張ってもらって、不景気を乗り切って欲しいものです。
2007年1/2月号(応募締め切り2006年10月30日必着分)から、フォトテクニック誌のフォトコンテスト応募要領が大幅に変更になりました。必撮ベストショットがPTフォトコンテスト、初心者のためのステップアップアドバイスが初心者の為のビギナー部門になり、ジャンルも整理統合されています。また従来無料だった作品返却は、希望者のみの有料返却になりました。 |
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