最近になって役に立つ幾つかのホームページや掲示板を見つけましたので、日々通って読んでいます。それらをご紹介しましょう。但し、全部英語のページです。
Are you ready to go? :-)
(←海外で使う顔文字です。横向いてます(笑))
photodo http://www.photodo.com/
このホームページの名前は、日本人なら「写真道」と理解すれば良いでしょう。photodoの最後のdoは「道」の事です。photodo創設者の言葉によれば、中国哲学の「Heaven's
way(真理、でしょうか?)」「a way of life(生きる道?)」から来ており、「Dao,
または Tao」と発音するとの事です。ホームページの背景には「写道」という漢字が刻まれており、日本語の「道を極める」という感覚を追求した英語とスウェーデン語のページです。
photodoはスウェーデンに住む3人グループで運営されており、何と1000本近い35mmカメラ用のレンズのMTF曲線を自ら測定し、その画質を5点満点(0.1点刻み)で採点して公開している、英語圏のアマチュアカメラマンにとってはバイブルの様なホームページです。実測MTF曲線とそれに基づいたレンズのランク付けの部分は英語が出来なくても十二分に理解できると思いますので、私たち日本人にとっても頼りになるホームページで、レンズを買う前に事前にチェックされた方が良いでしょう。
測定しているレンズは一般のお店で買ってきた物で、そのMTF曲線はメーカー発表のもの(設計基準値という玉虫色の性能曲線)よりも一般的に低い値を示しています。しかしこちらが私たちが使うレンズの実力であり実態と言えるでしょう。日本では知ることの出来ない真実がここにはあります。例えば誰もが持つであろう素朴な疑問、EF28-70mm
F2.8Lの50mm域と、その15分の1の価格で買えるEF50mm F1.8IIはどちらが性能が上か?、あるいはEF70-200mm
F2.8Lは70mm域と200mm域ではどちらがシャープ?、ライカのレンズは本当に素晴らしいのか?シグマやトキナーの高級レンズはLレンズやニッコールレンズに匹敵するのか?などの答えの一部がここにはあります。レンズの性能が知りたければ、英語が出来なくてもまずここに行け!と言うべきホームページです。
MTF曲線について簡単に説明しておきましょう。MTFとはレンズのシャープさやコントラストを測定する為に、バーコード状の白黒の等間隔のテストチャートを撮影し、フィルム上のチャートのコントラスト(白い部分と黒い部分の明度差)をオリジナルを100とした比率で表したもの。オリジナルを完全に再現していれば100ですが、解像度が低くかったり、収差やフレアがあったりするとコントラストが低下して100よりも低い値を示します。(注;キャノン発表のMTFはオリジナルを1としています。いずれにせよ比率の問題なので、単位は問題ではありません。)
テストチャートには10本/mm、20本/mm、40本/mmなどの複数の種類があり、当然細かいチャートほど完全な再現が難しくなるのでMTF値は低くなります。この様な測定をレンズの放射方向と、円周方向で行い、縦軸にMTF値、横軸に測定点のレンズ中心からの距離をとって連続グラフで表した物がMTF曲線です。通常ひとつのグラフに6本の曲線があり(チャートの細かさで3種類x放射方向、円周方向の2種類)、これらの曲線が上の方にあればあるほどシャープなレンズとされます。また円周方向のMTF曲線と放射方向のMTF曲線が重なっている方がボケ味が良いとされています。MTFグラフは異なる絞り値、ズームレンズの場合には更に異なる焦点距離で測定されるため、photodoでは一本のレンズに対して2〜9個のグラフが表示されています。
最後に、MTFがレンズの性能の全てを語るわけでは無いことを理解しておいてください。
photodoには幾つかの読み物もあります。その内容はつぶやきの様な素人談義ではなく、殆どプロフェッショナルレベルの技術者による、分かりやすくも論理的で、客観的な測定事実に基づいたものが大半です。中でも目を惹いたのが「35mm,
Medium Format, or Large Format? (35mm、中判、それとも大判?)」という読み物。その冒頭には「大判写真は35mm写真ほどには拡大せずとも同じ大きさのプリントが得られるので、大判の方が遥かにシャープである。この事は万人が納得するでしょう。しかし私たちのテストは、正しい撮影方法と正しいフィルムを選べば35mmは大判に全く劣らないシャープさを持っている事を示しています。」とあります。そしてそこで繰り広げられた、客観的で平等なテストは、ある条件下では確かに35mmで撮ってある大きさに伸ばした写真が、4x5で撮って同じ大きさに伸ばした写真と見分けの付かないほどの解像度とシャープさを持ち合わせていました(テストは同じ画角のレンズで撮影した同一の被写体が同じ大きさになるような倍率調整をして、顕微鏡で測定されています)。
参考までにその条件とは、
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ウルトラシャープなフィルムを使う。これはベルビアでも不足で、モノクロのTーMAX100が良い。カラーフィルムは3層の感色層があるので、モノクロよりもシャープさは不利なため。
KENの解釈:解像度の限界をフィルム側ではなく、レンズ側にする為の条件です。解像度限界がレンズ側で決まれば、後述する様にプリントの解像度にフィルムの大きさは関係しなくなります。
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シャープなレンズを使い、F8以上にはむやみに絞り込まない。同じ画角を持つ4x5レンズは同等の被写界深度を得る為に3段余分(F8→F22)に絞り込まなければない。大まかに言えば、50mmF8の被写界深度と150mmF22の被写界深度はほぼ同等。大判レンズは絞りによる回折現象も加わって、レンズの解像度は35mm用レンズほど良好ではない。
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頑丈な三脚とケーブルレリーズ(と可能であればミラーアップ)を使う。4x5撮影が常にそうであるように。35mm判写真がシャープでない理由の多くに、安易に撮影することによる微小なブレの影響がある。
これを大判(4x5カメラ)の方から裏返してみると:
(注、ここから下はKENの解釈文で、photodoにあった物ではありません)
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一般的にF22という小絞りを使う為にレンズの解像度は最良の状態よりも低く、高性能35mm判レンズの最良の状態の1/3〜1/4程度になってしまう。
4x5レンズのレンズ中心部の解像度は、優秀なレンズでもF22では40〜60本/mm程度である(稀に80本/mm程度の物があるようですが)。35mm判の高性能単焦点レンズの解像度は、開放でも100本/mmを超える物があり、F8だと140〜200本/mm程度に達する事がある。
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35mmと4x5の一辺の大きさの比は4倍弱なので、4x5レンズの解像度が35mm判レンズの1/3〜1/4程度だと結果的に35mm同等レベルの実質的なシャープさしか得られない。
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上記条件でもし35mm側のフィルムの解像度がレンズの解像度を上回っていれば、大伸ばしプリント時の解像度はレンズの実質解像度のみで決まり、幾ら大伸ばししても、35mmと4x5はほぼ同等の解像度を持つことになる。
4x5が優位を維持するには:
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カラーフィルムを用いる。あるいは粒状性の良くないフィルムの発色特性を活かした作品作りをする。(35mm判でこれをするとブツブツ写真になる)
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むやみに絞り込まない(解像度だけなら一般的にF11前後が良いとされている)
これらの議論は、最終的に得られる映像の解像度に焦点をあてていて、プリント上でフィルム粒子が見える事によるブツブツ感は考慮されていません。例えば私の写真はピンボケ部分が多いですが、この部分の解像度は目茶苦茶低い物です。しかし大判写真であれば、そのピンボケ部分も粒子の見えない美しいグラデーションになりますが、35mmからの大伸ばしだと、そこに「ブツブツ」が発生することになります。
興味のある人は、英文を読破してみてください(かなりの長文です)。
PhotoNotes.org http://photonotes.org/
NK Guyと称するEOS使いの個人が運営するホームページ。EOS関連のメーカー/販売店以外の情報源としては屈指のものです。しかも1ユーザーのサイトですから、悪い点も赤裸々に記載されており信頼に足ります。EOSのオンラインマニュアル(EOS10,
EOS100, EOS1000)、使用インプレッション(EOS10, EOS100, EOS7, 430EZ, Sigma
5000 Super, Inexpensive EF lenses, MC Zenitar 16mm F2.8 Fisheye)、そして読み物があります。この人は本当に思考回路が緻密で、実に細かいところまで綿密に調べ上げています。全てのEOSの情報があるわけではありませんが、掲載されている情報の密度の濃さでは世界屈指でしょう。
注目すべき記事をご紹介しておきましょう。一つはコダックHIE(ハイスピード赤外線フィルム)が使えるEOSはどれ?というもの。最近のEOSはフィルム給送制御に赤外線ダイオードによるスプロケットカウントを用いているので、これが感光してしまうのです。また赤外線ダイオードが無くても、デート記録用の穴がフィルム圧版に開いていると、デート機能の有無に関わらずカメラ内部の赤外線発光部品の光が回り込んで、感光してしまいます。キャノンの取扱説明書には「赤外線フィルムは使えません」と書いてあるだけなので、実際に使用可能なEOSがある事は貴重な情報でしょう。
それ以外にも、EOSのストロボ技術と機材に関する詳細なレポート、シグマのストロボ
5000 SuperとCanon Speedlite 550EXの比較などもあります。
EOSー7についても徹底的に調べあげて、誰も知らないであろう(私にとっては)致命的な欠点を明らかにしていました。それは電子接点を持たないマニュアルレンズ(ソフトレンズ、ピンホールレンズ、マウントアダプターを用いた他のレンズなど)を用いると、露出が3段狂うという物です。しかもその狂い方が常に一定とは限らないらしいのです。他のEOSなら絞り優先モードでTTLーAEが問題なく作動しますが、EOSー7は例外の様です。それ以外にも列記された大小様々な欠点(低照度で極端に性能の低いAFや、ストロボ発光で代用してモデルを驚かせるAF補助光など)は、このカメラの存在価値に疑問を投げかけるのに十二分な物でした。
EOSー7に限らず、多くのEOSについて上記のような客観的な良い点、悪い点が細かいところまで列記され、シャッター膜不良の件も含めて歴代EOSの違いなども明らかにされています。
残念ながら、英語力無しには理解することが難しいホームページですが、英語が多少出来るEOSユーザーなら、一度は覗いてみる価値のあるページです。
Photo Net
http://www.photo.net/
米国の写真に関する総合情報ウェブサイトです。私自身まだこのサイトの全部を見切れていません。私が出入りするのは掲示板ですが、これはつぶやきを書いた時点では
LUSENET http://www.greenspun.com/bboard/index.tcl
にあったものです。しかしつぶやき掲載後にPhoto
Netに引っ越してしまったために、記述を訂正しました。私が出入りしている掲示板は以下の二つです。
Canon
EOS FAQ Forum
文字どおりEOSに関する質問とそれに対するアドバイスが活発に交換されているフォーラムです。質問内容はどちらかと言えば初歩的な物が多いのですが、世界中の一家言持ったEOS使いが回答しますので、思わぬ知識が得られます。私もKenの名前で回答側に参加しています(笑)
Large
Format Photography
大判写真のフォーラムです。EOSのフォーラムとは異なり大判カメラを使う人に写真の初心者はいません。従ってこのフォーラムに寄せられる質問と回答は実に深淵、プロフェッショナル、マニアックなもので、日本のインターネットでは殆ど知ることの出来ない貴重な情報に溢れています。私も時々、日本の代表者として回答側に回っています。タチハラやトヨの英語のホームページが無いので、日本語ホームページの内容を知らせて上げると質問攻めにあう事もあります(^^;
またこのフォーラムを読んでいると、コンゴーレンズの方(山崎さん)は、英語圏のユーザーに対しても極めて懇切丁寧に対応されている事が印象的でした。自社製品に対する英語の質問に英語で真摯に回答されています。コンゴーテレ500mmの周辺光量の話題のときに、ある人の質問に対して「極めて短いフランジバックで500mmを使える様に設計したコンゴー500mmは、口径食との妥協によって成立しています。(確かF22の)4x5の周辺部の光量は中心部の40%です。」と言う回答をしたことが紹介されていました。これは、普通のメーカーでは絶対に出来ない事でしょう。
英語を読むのは大変ですが、英語のホームページに集う人達は全世界から来ます。その裾野の広さは日本語だけの世界とは比較にならず、従って極めて有益な情報を得ることが出来ます。英語が多少読める人は是非訪問してみてください。 |