EF70-200mm F2.8L USMを購入した経緯を4回に分けて掲載しましたが、実はそこには書いていないもう一つの事件がありました。
プラネタリウム事件(レンズに無数の気泡混入)で返品となった最初のレンズを入手して三日目ぐらいの事です。会社で寛いでいるときに、ふと入手したばかりのレンズの情景が思い浮かびました。その情景にあった花形フードの切れ込みの形が妙に小さい気がして、ひょっとしてEF28-70mm
F2.8L USMのフードが付いているのでは?と不安になりました。
帰宅して早速レンズフードを調べてみると、案の定そこにはET-83(EF70-200mm
F2.8L用フードの型番)の代わりにEW-83B(EF28-70mm F2.8L用フードの型番)の文字が...
EF28-70mm F2.8L USMはフード取り付け部がレンズ先端からかなり後退している事に加えて、広角側でレンズ前端がフード内で延びる構造をしているために、このレンズのフードは標準ズーム用とは思えないほどに深く大きな形状をしています。EF70-200mm
F2.8L USM用のET-83と比べても、一目では見分けが難しいほどです。その結果、恐らく両方のレンズを持っていた前オーナーがフードを付け間違えたまま、レンズを売却してしまったのでしょう。カメラショップですら気付かない間違いが発生していました。
先日、三次の霧の海の撮影に行った時のことです。私の隣で撮影していた人がEF70-200
F2.8LとEF28-70 F2.8Lを使っていました。私は例によってフードが気になったのでチェックすると、案の定あべこべに装着して使っていました。私が注意しても、その人には意味が分からなかったようです。それほどにこの二つのレンズのフードは似ているし、フードを正しい組み合わせで使うとしても、これらレンズの最大購入層である熟年おじさん達にはフード型番で区別するなど無理なのでしょう。一部のプロ/ハイアマチュアの人がフードにレンズ名を書いたテープを貼っているのを見たことが有りますが、今回の一件でその理由が分かりました。
EFレンズフードの型番を今一度整理しておきましょう。
(例)EWー83B II
最初のEはEFレンズ用フードの記号。
二つ目の記号はW:広角画角用、S:標準画角用、T:望遠画角用
ハイフンの後の数字:取り付け部口径(mm)
その後の記号:形状を表す記号。発売順に、記号無し、B、C、D...
その後のローマ数字:同じ形状のフードの改暦。記号無し、II、IIIなど。
EFレンズフードの取り付け方法は型番には現われませんが、存在するのは3種類で、大口径超望遠に使われるかぶせ式、設計の古いレンズにあるスナップオン(スプリング)式、そして最近のレンズに採用されている二つ爪バヨネットです(一部の丸形バヨネットフードには三つ爪タイプが有るかも知れませんが、手持ちには有りませんでした)。この取り付け方法と、取り付け部口径が一致すれば、異なるフードで取り付け互換性が生まれるのです。
リッチなEOSユーザーがLレンズを揃える時に、殆ど必ず買う、と言われている組み合わせがあります。それは
EF17-35mm F2.8L USM
EF28-70mm F2.8L USM
EF70-200mm F2.8L USM
です。通称この組み合わせをマージャンの役に例えて「大三元」と呼んでいます。最近は各々のレンズが新しくなり、
EF16-35mm F2.8L USM
EF24-70mm F2.8L USM
EF70-200mm F2.8L IS USM
になっていますので、「新」大三元とでも呼ぶのでしょうか(笑)
話を「旧」大三元に戻すと、この三本のレンズのフードには全て取り付け互換性があります。従って、もし形状が見分けにくい場合、誤って装着してしまう危険性があります。そんな危険に填まったのが、私が購入したEF70-200mm
F2.8L USMの前オーナーでしょう。EF28-70用のフードをEF70-200に装着しても実害は殆どありませんが、逆の組み合わせはケラレますので注意が必要です。あなたの大三元フードは大丈夫ですか?今一度確認してみてください。
新「大三元」に話を移せば、EF70-200mm F2.8L
IS USMだけは取り付け口径が86mmと大きくなり、もはや他のレンズとの互換性は無くなりました。しかしEF16-35mm
F2.8L USM、EF24-70mm F2.8L USMは相変わらず83mmの取り付け寸法で、旧大三元の同等レンズ用とはホンの少しだけ異なる形状の新型に生まれ替わっています。こんな人は少ないとは思いますが、新旧大三元レンズ(EF16-35mmとEF17-35mmとか)を併用すると、いよいよ見分けの付きにくいフードが混在することになりますので、注意が必要です。
ここで、取り付け互換性のある83mmバヨネットフードをまとめておきましょうか。
EW-83 (II) : EF20-35mm F3.5-4.5 USM
EW-83B (II) : EF28-70mm F2.8L USM
EW-83C (II) : EF17-35mm F2.8L USM
EW-83D : EF24mm F1.4L USM
EW-83E : EF16-35mm F2.8L USM
EW-83F : EF24-70mm F2.8L USM
ET-83 (II) : EF70-200mm F2.8L USM
※このフードの中にもし取り付け互換性の無い物があれば教えてください。私も全てをチェックした訳では無いので、100%確実ではありません。
以下の二つのフードは二本爪バヨネットなら取り付け互換性が有るはずです。
ET-83B (II) : EF200mm F2.8L II
ET-83C : EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM
これ以外にも78mm口径のフードにも良く似た形状の互換性のある組み合わせが沢山あります。くれぐれもお間違えのないように(笑)
|
写真左: 問題のEF28-70mm
F2.8L USM用のフードEW-83Bが付いていたEF70-200mm F2.8L USM。これは気泡事件を起こしたレンズの、我が家に在りし日の写真です。
写真中央;後日購入したEF70-200mm
F2.8L USM。ご覧のように正しいフードET-83IIは長さが少し違います。しかし別々に見せられれば区別困難な程にEW-83Bと似ている事が分かりますね。
こうしてみると、三脚座が製造年で変更を受けていることが分かります。左のレンズが1999年製で、中央のレンズが2000年製です。
(訂正)1996年にこのレンズを買われて、中央のタイプの三脚座が付いていると言う人がおられました。製造年により変更を受けたのではなく、2種類の三脚座が混在して発売されているようです。ちなみにこのどちらもBタイプであり、EF300/4L,
EF400/5.6LなどのAタイプではありません(取り付け構造が全く異なります)。
写真右; 特に意味はないですが、取り付け互換性の証明としてEF20-35mm
F3.5-4.5 USMにET-83IIを装着してみました。こんな間違いをする人はいないでしょう(笑)。この状態で写真を撮ると、花形フードがなるほど、手前から覗くと長方形に見えるようにカットされている事が分かります。
実際はこんな感じです。70mm用にカットされている物を20mmで覗いているので、樽型に歪曲した長方形に見えていますが、長焦点側にズームするとこの樽型は無くなって行きます。(レンズが歪曲収差を持っているからではありませんので誤解無きように。ある角度で直線に見えるようにカットした曲線は、異なる角度から見れば曲線です。)中央部上下の丸い部分は、レンズを逆さまに立てられるようにフード先端が真っ直ぐに切られた部分です。もしこの部分が丸ければ、開口部全体が長方形的に見えます。 |
|