少し季節を過ぎましたが、広島県高田郡向原町の、県下有数のカタクリ自生地の事をご紹介しましょう。
場所は広島県高田郡向原町長田川之内(現在は「広島県安芸高田市向原町長田」に変わっています)。県道37号・広島-三次線の脇にあります。広島市内から向かう場合は、祇園新道を北上し、アストラムラインと祇園新道が左にカーブする不動院の交差点を高陽町方面に直進して県道37号に入ります。あとはひたすら三次方面に北上を続けます。そして向原交差点の手前1km付近。県道が右に大きくカーブして橋を渡り、再び左にカーブして直線になったら右に神の倉山方面への県道分かれがあります。シーズンにはこの交差点に「カタクリの里」の看板が立ちますので、その案内に従って神の倉山方面に右折すればすぐに判ります。
自生地には駐車場が整備されていますが、シーズン中の日曜日は混雑します。また自生地脇にはビニール温室の中で、うどん、そば、寿司などの軽食がとれるお店が営業しています。
自生地はそのビニール温室の後の山の斜面一帯で、小さなカタクリが広い範囲に渡って沢山咲いています。自生地内の道は狭く、人ひとりが歩ける程度で、人同志のすれ違いにもお互いの心配りが必要です。写真撮影はどうしてもこの通路ですることになりますので、通行人には注意して、通行を邪魔しないようにしてください。後で詳しく述べますが、機材を沢山持って行ってもさほど使い道はありません。間違っても大型カメラバッグに、大きな三脚などもって自生地に入らないように。狭い通路を塞いで周囲の迷惑になるだけです。
花の生えている部分にはロープが張られて中には入れません。そのロープの外側から写真を撮影することになります。カタクリは背の低い花で、しかもシベは下を向いて花びらを後方に大きく反らして咲きます。だから撮影はどうしても超ローアングルになりますので、中型以上の三脚は無用の長物。超小型三脚や、カメラを直接地面に置く為のものが重宝します。またローアングル時にファインダーを覗きやすいように、アングルファインダーやウェストレベルファインダーなどがあると便利です。レンズは基本的にマクロの方が使いやすいでしょう。180mmクラスの望遠マクロであれば、少し距離のあるカタクリも狙うことが出来ます。但し手持ちでぶれない様に撮影するのは大変です。90mmクラスのマクロであれば、殆どロープ脇のカタクリを使って絵造りをすることになるでしょう。あとは広角〜標準系レンズで俯瞰的に群生地を撮る事も出来ます。小さな花なので必要なレンズはそれぐらいですね。私個人は90mmマクロと180mmマクロ以外は使いません。
自生地に到着して駐車場にクルマを置いたら、まずは機材を持たずに自生地を観察して、自分なりに使う機材を考えてから持ち込むのも良い手だと思います。
カタクリは貴重な花です。ロープの中に入って撮影する事はやめてください。しかし足を一歩ロープ内に踏み入れ、三脚をそこに立てて撮影する不埒なやからが多いのは残念です。中高年カメラマンにネイチャー写真の基本を踏まえない常識知らずが多いようです。(ネイチャー写真の最大の基本は、自然を大切にし、決して傷つけないという事です。言うまでもなく...)
カタクリの花は、太陽と共に開き、そして閉じます。撮影好機は晴れた日の昼過ぎです。午前中は殆ど花が開いていません。また3時すぎには花は閉じてしまいます。雨や曇りの日は多分花が開かないでしょう。だからシーズン中(4月上旬)の晴れた日は、タイミングを逸しないように自生地に駆けつけてください。但し日曜日ともなると大混雑です。
2003年、私が最初に自生地を訪れたのは午後3時過ぎで、良く晴れた日でしたが、花は閉じていました。二週間後に訪れたときには花期が終わってしまい、結局作品を撮ることが出来ませんでした。この自生地のカタクリの写真は、私の代わりに花の最盛期にこの自生地を訪問したNekoやんのギャラリーでご覧下さい。
|
駐車場側(県道37号側)から自生地方向を眺める。左にある白いビニール温室では、うどん、そばなどの軽食とお土産を販売しています。カタクリの自生地は背後にある山の斜面一帯です。2003年の駐車場はこの写真の右側に、畑1区画分が用意されていました。駐車場の位置と広さは毎年変わります。 |
|
自生地の様子です。自生地はここに写っている範囲以外にもあり、花数は多いです。
ロープの内側に膝を踏み入れ、中に三脚を立てて撮影している不埒な人がいますね。撮影はあくまでロープの外側から!花を美しいと思う心があるなら、この様なことは出来ない筈。それにこんなアングルで撮影してもカタクリを美しくは撮れません。中にはもっと大胆に花を踏みにじる人もいます。
ギリギリのフレーミングで通路を切ってしまった為に一見広く見えますが、通路幅はこの画面の右端までしかありません。 |
|
良く晴れた日でしたが、午後3時に訪れたらご覧の通り。カタクリの花は太陽が傾くと花を閉じてしまいます。斜面が北向きの為に、午後3時ごろには太陽は山かげに入ってしまう為でしょうか?昼過ぎが撮影好機ですので遅れないように。 |
|
2003年の駐車場です。昨年まではこれほど広くありませんでした。この自生地が毎年TVに紹介されるので知名度が上がっている為でしょうか、駐車場も年を追うごとに広くなっています。 |
|
2003年は撮影できなかったので、代わりに2000年にこの自生地で撮影した写真を掲載します。2003年の花はNekoやんのギャラリーでご覧下さい。 |
|