EOS Kiss Digital発売以降のデジタル一眼レフの急速な普及によって、銀塩一眼レフの中古相場が安くなってきていましたが、2005年の正月を過ぎてから一気に落ちた気がします。私は昨年半ばぐらいからEOS3をもう一台購入しようと思い中古を探していましたが、探し始めた頃の相場は中野のFカメラでも5万円台後半〜8万円ぐらいだった様な気がします。二台目のEOS3は11月下旬に行きつけのショップでAランク52,300円で購入し、その時は「中野のFカメラは勿論、オークション落札相場よりもかなり安く極上品が買えた!」と喜んでいました。しかし年末年始で相場は一気に動いたようで、1月下旬に中野のFカメラに立ち寄れば、EOS3の価格は一部の極上品に5万円以上の値をつける物件が有ったものの、中心価格は39,900円〜47,250円ぐらいで、特にABランク表示の47,250円物件は20〜30台も並んでいました。それ以外にもEOS-1Nの価格が3万円台前半から4万円台前半ぐらいでゴロゴロ、EOS-1Vでも10万円以下の物件が複数あってかつての相場を知る身には隔世の感が有ります。フラッグシップクラスでこの価格ですから、EOS5やEOS55は1万円台が殆ど、少し新しいEOS7でも2万円台でした。これはキヤノンに限ったことではなく、ニコンF5でさえ行きつけのカメラショップでは8万円台で販売していましたし、Fカメラでも7万円台から見つけることが出来ます。(※相場は時間と共にどんどん変わるので、後日読まれると「何言ってんの?」と違和感を覚えられるかも知れませんね。この文章は2005年1月下旬に書いている事を注記しておきます)
Fカメラがここまで銀塩一眼レフの価格を引き下げているのは、市場の動きを敏感に感じているからだと思います。2004年に発売されたニコンF6やEOS7s、海外需要のあるEOS
Kiss/Rebelクラスを数少ない例外として、既に大手メーカーでは銀塩一眼レフの開発も製造もしていないのは周知の憶測(←こんな言葉無いかな(笑))です。実際私はEOS3を探すにあたり数多くの中古物件の製造年を調べましたが、殆ど全てが1998年か1999年製造で、2000年以降の製造物件はたった一台2001年のものを見つけただけでした。だからEOS3はメーカー在庫の関係で現行品としてカタログにまだ掲載されているものの、数年前に製造中止になっていると思われます(あくまで憶測)。また最近発表になった平成16年度のカメラ出荷実績を見ると、国内向け総出荷台数917万台の内、銀塩カメラは僅かに62万台で構成比は6.8%(100台中7台弱)に過ぎません。輸出を含めると総出荷台数6984万台の内の1007万台が銀塩で、構成比は14%ですから、銀塩需要は海外中心という現実が浮かび上がります。
業界情報に長け、メーカーから多少の事前情報の行くショップでは、メーカーや業界のこの様な動きを元に銀塩一眼レフをこれから欲しがる人など限られると読んでいるでしょう(銀塩カメラに関して新製品情報が久しく途絶えているという事は、メーカーは市場調査をしている筈だから銀塩カメラの需要が限られる事の裏返し、と鼻の利くショップなら思うでしょう)。地方の相場はまだ高値安定(鈍感で遅れている)部分もありますが、ウェブ/雑誌での相場公開で全国に絶大な影響力を持つFカメラの相場に引き摺られて、いずれ中野並に下がるのは間違いないと思います。
さて、ここからが本題ですが、これを読まれているあなたが銀塩一筋かデジタルとの両刀遣いかに関わらず、或いは仮に現在はデジタル一本槍だとしても「銀塩一眼レフを持っていても良いかな」と思われるならこの機に買い足し/上級機へのアップグレードをされては如何でしょう。今迄色々な相場の動きを見てきましたが、今回のような投げ売り的な相場下落は何れ揺り返しが来る可能性大です。今なら中古のタマ数も豊富で色々と見比べて程度の良いものを安価に買うことが出来ますが、後で欲しいと思ってもタマ数は減って相場も上がり、程度の良いものを探すのに苦労すると思います。当面は(あるいは今後一切?)銀塩一眼レフの新製品が出てくることは期待薄ですから、メイン機材が万一故障しても予備機で撮影出来る様に備えておくのは、永く銀塩写真を愉しむ上で賢明な対応でしょう。加えて、周辺機材やレンズもデジタル対応の物は高価ですが、対応していない機材はボディ同様に底値になっているようです。銀塩一眼レフを楽しむのであればデジタル対応していない機材でも何ら問題無いですから、同時に揃えられると良いと思いますよ。
世の中デジタル一色! まあ、これは客観的な現実です(笑)
しかし写真を楽しむという点で、デジタルならではの利点(主に画像データ即時利用と、交換作業無しに一度に大量のカットを撮影できること、及び失敗を量産しやすい被写体でコストを気にせず連写して数で作品を仕留めること)を活かすので無ければ、銀塩一眼レフでも何ら不自由、不都合は無いでしょう。画質、特に階調再現性ならまだ銀塩の方に分があると言うのはデジタル派の多くも認める所ですし、無理に流行に引き摺られることもありません。デジタル以前の時代にフラッグシップ機を使って写真を撮ることは、アマチュアカメラマンにとって一つの憧れであり、そこに到達出来ていた人には大きな喜びだった筈です。完成/熟成された高級機が持つ信頼感と、その機材で撮影する喜びは現在でも「流行を気にしなければ」全く変わっていないし、撮れる写真も変わりません。
カメラボディを複数台持つと撮影の幅がとても拡がりますが、フラッグシップクラスの一眼レフを複数台持って撮影するなど、デジタルではリッチな人を除いて予算的に出来るものではありません。しかし銀塩なら入門クラスのデジタル一眼レフ一台分の予算でフラッグシップクラスの中古が二台買えたりします。せっかくのデジタル時代ですから、その恩恵にあずかって安価に最上級の銀塩ライフを楽しみましょう(笑)
※これからデジタル一眼レフに移行されようとしている方は、今お持ちの銀塩一眼レフを下取りに出しても二束三文ですよ。だから取り敢えず下取りには出さずに手元に残したほうが良いと思います。結婚式やイベントなどの大切な撮影機会にデジタル一眼レフが万一故障しても取り敢えず写真撮影が出来ますし、それ以外にも良いことがきっとあるでしょう(笑)
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