え〜っと、初っぱなから何ですが、たいした話じゃありません(^^;。SIGMA
AF15mm F2.8EX Diagonal Fisheyeを使ったチューリップと新緑撮影の簡単な反省メモです。
2004年冬に購入したシグマの対角魚眼レンズはKENのお気に入りレンズですが、カメラバッグ内のスペース事情と強烈なレンズの個性故に、常に撮影に持ち出すレンズにはなっていません。しかしチューリップや新緑のブナ撮影はこのレンズが最も活躍する機会なので、私はこのレンズを持ち出して沢山の写真を撮りました。今回のつぶやきでは、KENが撮影前に考えた事とその撮影結果を対比させる事で、私なりに思った対角魚眼レンズの使いこなしのコツを次回以降の参考/備忘録として残しておこうと思います。なお掲載写真は分りやすさを優先していますので、作品として評価に値しない物が多いです(^^;;;
まずは対角魚眼レンズによるチューリップの定番構図写真を。これは花のやや下方から見上げるようにして撮影します。この時の一番大きく写っている花とレンズ先端の距離は数〜10数センチです。地平線の位置を画面中央から外すと大きく歪曲し、強烈な遠近感によって高々奥行き4〜5mの花壇が広大な原野の様に見える面白い絵柄になります。このレンズは太陽を画面に入れてもゴーストが出ないので、思う存分に逆光を楽しむことが出来、チューリップは透過光で美しく輝きます。
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8 EX Diagonal Fisheye,
F11, AE(+0.7EV, 1/125sec.), ASTIA100F (RAPF) |
しかし、この構図の写真は昨年も撮影しているので新鮮さは無く、今年は単なる押さえとして撮影しました。
実は2005年の撮影前に対角魚眼レンズで是非とも撮ってみたい構図がありました。それはレンズを花の中に完全に入れて撮る事です。対角魚眼の強烈な描写で花びらに完全に囲まれる空間を撮影したらどんな絵になるのか想像も出来ません。レンズ前面3cm(フィルム面からの最短撮影距離15cm)まで寄れるシグマ15mm
F2.8 Diagonal Fisheyeだからこそ試せる構図で、DXフィッシュアイニッコール10.5mm
F2.8G(最短撮影距離14cm)を除けば他にこんな冒険の出来る対角魚眼レンズは無いですね(最短撮影距離がみな20cm以上なので)。
しかし花弁を拡げてレンズを突っ込むわけにも行かないので、この撮影の為には大きめのチューリップで、花期が終わりかけて大きく開き気味の花を探す必要が有りました。幸いにも広い備北丘陵公園には様々なコンディションの花があり、目指す撮影が出来ました。それがこのカットですが....
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8 EX Diagonal Fisheye,
F4, AE(+0.7EV, 1/160sec.), ASTIA100F (RAPF) |
ありゃ、普通のレンズで撮影した写真かと思うほど平凡ですねぇ(^^;;;;。この赤い花は内部に殆ど模様が無いのでそうなのかと思いましたが...
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8 EX Diagonal Fisheye,
F4, AE(+1.0EV, 1/160sec.), ASTIA100F (RAPF) |
白地に黄色い筋の有る花でも画面の変化には乏しいです。この写真を撮影している時に画面を完全に花の中だけにすると平凡である事に気付きましたので、僅かに周りの景色も取り込んでみましたが、このレベルでは画面に変化を与えているとは言えません。細かく見ると、花弁周囲まで描写されている辺りに被写界深度の深い魚眼レンズならではの世界が有ると言えばあるのですが、コンパクトデジカメで撮影すれば同じ事は実現出来るので、目新しさは無いですね。魚眼レンズは何でも丸くしますが、元々丸いものは丸のままなので変化が生まれないのでしょう。
一見普通のこの写真にも、実は魚眼特有の描写で生まれている実物の花との違いが一つ有ります。それは花がハイビスカスの様に大きく開いている様に写る事で、実際の花はチューリップとして開き気味とは言え、実物はまだワイングラス/コブレット状態を維持しています。
次に更なる画面の変化を求めて、レンズと花の距離を少し離してみました(2〜3cmぐらいの事です)。
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8 EX Diagonal Fisheye,
F5.6, AE(+0.3EV, 1/250sec.), RVP |
少しだけ画面に変化が生まれました。強烈な遠近感によって、同じ大きさの花が並んで咲いている現実の状況が、小さな花の集団の中に一輪だけラフラシアの様な巨大な花が紛れ込んだ様に写っています。しかし写真としての魅力はまだまだですね〜♪ それで更に花とレンズの距離を取り、アングルを変えて...
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8 EX Diagonal Fisheye,
F5.6, AE(+0.7EV, 1/200sec.), RVP |
ようやく対角魚眼レンズらしい写真になってきました。結局のところ、対角魚眼レンズのオモシロサを引き出すためには、本来直線である筈の地平線とかを画面の隅(中央以外)に取り込んで、強烈な遠近感と歪曲で非現実的な世界をもたらす事がコツのようです。
次に新緑撮影時のカットをふたつほど。まずは対角魚眼レンズの定番構図です。
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8 EX Diagonal Fisheye,
Manual (F8, 1/20sec.), EPP (Ektachrome 100 Plus Pro) |
比較的細い白樺の幹に力強さを与えようとして、この写真はカメラ&レンズを白樺に押し付けて撮影しています。それでも幹がこれだけ細く(逆に言えば広範囲が)写ってしまうのが対角魚眼レンズの凄さと怖さですね。この写真の悩みは、幹の手前側にピントが来ない事です。一番近いところはレンズ前面から数センチ、一番遠いところは魚眼レンズにとっては無限遠等価の所です。流石の対角魚眼レンズでも、これだけの広範囲をパンフォーカスで撮るのはちょっと無理です。白樺の力強さを取るか、パンフォーカスの安定感を取るか悩むところです。ブナのような大木であれば余りこの心配は要りません。
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8 EX Diagonal Fisheye,
Manual (F5.6, 1/10sec.), EPP (Ektachrome 100 Plus Pro) |
こちらは真っ直ぐに立つブナの大木です。魚眼レンズで近接撮影すると、真っ直ぐな物でもレンズから最も近いところを頂点に「くの字」に曲がって描写されるので、まるでお尻を突き出したかのような写真になってしまいました(笑)。これもまた対角魚眼レンズならではの世界で、面白さを狙う作品なら良い方法かも知れません。
なお、新緑の二枚の写真はいずれもマニュアルモードで撮影しています。曇りや雨の空を写し込みながら木の幹の表面をしっかり描写しようとすると、評価測光や中央部重点測光では時としてプラス3以上の補正が必要になってカメラの露出補正では対処出来ません(太陽のある空の場合は、評価測光が輝度差から太陽の存在を感知して、有る程度補正してくれます)。これらの写真はまず空を入れない別アングルで露出を計り(白樺の場合は空の無い林の情景を評価測光、ブナの場合は木の表面をスポット測光)、その測光値に加減を加えて(白樺の場合は明るめの描写の方が爽やかなので補正なし、ブナの場合は木の幹に質感を与えるためにマイナス1補正して)撮影しています。結果論として撮影アングル時の評価測光が弾き出した測光値に対して、白樺はプラス3EV以上、ブナはプラス2.3EVの補正になっています。
対角魚眼レンズを空に向けた写真は、空の明るさを大幅に拾い測光値のままでは全てのものをシルエットにしてしまいますので、露出に注意しましょう。 |