最近私が入手したカメラアクセサリーで大活躍しているのが、タイトルにあるスリック・クランプヘッドです。三脚の脚に取り付ける簡易雲台で、普通の三脚では実現出来ないようなローアングル撮影を実現する物です。安価な中古を入手するまでは有用性を余り感じていませんでしたが、入手してみたら色々使い道があって便利なので、つぶやき登場となりました。
まずクランプヘッドについて簡単に説明しておきましょう。、現在発売中の物には対応する脚の太さによって三種類あります。
名称 |
ロアーII<クランプヘッド32> |
クランプヘッド38 |
クランプヘッド45 |
対応パイプ径 |
22mm〜32mm |
28mm〜38mm |
35mm〜45mm |
最大機材搭載重量 |
3,000g程度まで |
3,000g程度まで |
3,000g程度まで |
重量 |
400g |
500g |
500g |
カメラ取付ネジ |
U 1/4(小ネジ) |
U 1/4(小ネジ) |
U 1/4(小ネジ) |
価格 |
¥8,610 |
¥12,600 |
¥14,700 |
私が入手したものは一番小さな「ロワーII(クランプヘッド32)」ですが、スリック・ザ・プロフェッショナル(脚の最大径36mm)を持っているので、理想としては真ん中のクランプヘッド38が望ましかったです。ま、中古入手なので文句は言えませんが、新品を買い足す気になったらクランプヘッド38を入手することにします。
今回のつぶやきでご紹介するのは、三脚の脚に取り付けたローアングル撮影という正統なものです。それ以外の使い道は次回つぶやきでご紹介します。
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私が入手したロワーII(クランプヘッド32)
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上の写真は私の花撮影のメイン三脚、マンフロット055CBにクランプヘッドを取り付けた状態です。ローアングル撮影が目的なら三脚を伸ばす必要はなく、一番外側のパイプの適切な高さにこのクランプを取り付ける事になります。高さ調節は三脚取り付けネジ(A)を緩めれば可能ですが、このネジは緩めると外れやすいので、調節は必ずカメラを持って行います。クランプ側を持って高さ調節しようとすると落下事故につながりますので用心して下さい。
雲台部分は取り付け軸を中心にチルト(画面の上下調節)方向に360度回転します。レベリング(画面の水平出し)方向は(上の写真の状態の場合)ネジ(B)を軸に反時計回りにはほぼ90度回転し、縦位置撮影が出来ます(とは言えかなり苦しい調節になるので、三脚座付きのレンズの方が撮影は楽です)。時計回りにはクランプ部と同一直線上の角度までしか動きませんが、水平出しには困りません。問題はパン(画面の左右調節)方向の調節です。三脚の脚は地面に対して常に斜めなので、三脚取り付けネジ(A)を緩めて三脚の脚の回りの回転で調節しようとすると、カメラの水平が狂ってしまいます。これを避ける為に、パン方向の調節は雲台部分のカメラ取り付けネジを緩めて、カメラそのものを雲台上で回転させて行うと上手く行きます。
実際に私が撮影に使う場合には、三脚本来の雲台と同様に、ベルボンのマグネシウム・クイックシューを取り付けています。撮影時の構図探しはカメラを三脚に取り付けずに行い、良いアングルを見つけたら、その場所にカメラを固定出来るように三脚側を調節し、そしてカメラを取り付けるという手順になるので、カメラの脱着が頻繁にあります。クイックシューはこの様な操作でのストレスを大幅に低減し、撮影効率を改善してくれます。
パン(画面の左右調節)の実際。この様に雲台側のカメラ取り付けネジを緩めて、クイックシューごと回転させる事で行っています。クイックシューを使うメリットは、カメラの着脱がワンタッチになるだけではなく、カメラを外しても、元のアングルが記憶されていることもあります。二台以上のカメラで複数のフィルムを使う場合、一旦レンズ&カメラを外し、違うカメラにしてまた取り付けても、三脚座のあるレンズの場合は同じアングルが再現される訳です。
このクランプヘッドを用いてチューリップ撮影を行いましたが、昨年までの撮影に比べてローアングルの作りやすさ、上下調節の容易さで撮影効率が大幅に改善されました。私の撮影状況を脇で見ていた某知人は、直ぐにT町からこのクランプヘッドを注文しました。
ローアングル撮影を誤解している人やメーカーがおられますが、ローアングル三脚は単に低くなれば良いのではなく、欲しい高さをシームレスに調節したいのです。エレベーターパイプを高さ調節機能を持たないローアングルアダプターに交換して「ローアングル」を謳う三脚メーカーがありますが(ジッツォと最近のマンフロット)、それでは使い物になりません。ローアングル時の脚を広く開いた状態では脚の長さによる高さ調節が殆ど出来ませんし、被写体が直ぐ側にありますから、そもそも脚を広く伸ばせない状況の方が多いのです。しかしその様な三脚でも、このクランプヘッドがあれば非常に低い所から、三脚の通常の高さまで境目無く簡単に調節出来ますので、とても使いやすくなりますよ。
旧型となった私のマンフロット055CBはエレベーター交換無しでローアングルが出来、その状態での高さ調節も容易なので、花撮影カメラマンの間では人気のある三脚です。このクランプヘッドが加わった結果、055CBでは実現出来ない低さまで連続的に調節出来るようになりましたので、055CB+クランプヘッドは無敵の花撮影三脚の様な気がします。
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クランプヘッドを用いて撮影した作品
EOS3, Sigma AF180mm F3.5EX APO Macro HSM + x1.4
Converter, Dual Exposure, RVP
First Exposure: F8, AE(+0.7EV, 1/160sec.)
Second Exposure: F5, AE(+0.7EV, 1/200sec.)
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良い事ばかり書きましたが、勿論欠点や注意点もあります。このクランプは三脚の脚を相当きつく締め上げるので、華奢な三脚だと脚が凹むかも知れません。(軽量アルミ三脚は勿論ですが、カーボン三脚も避けた方が良いかも〜と、カーボン三脚を持っている方からアドバイスを受けました。)また、既に述べたように三脚取り付けネジを緩めた時の脱落の危険に対する配慮は必要ですし、雲台固定ネジはかなりきつく締めつけないと、重量級のカメラ&レンズは固定できません。三脚本来の雲台に取り付けた時ほどの安定性も勿論ありません。だからもしスローシャッターを切らなければならないとしたら、細心の注意とテクニックが要求されるでしょう。でも日中の花撮影のように1/125秒以上が切れる状況なら神経も使わずに済みますので、買って損は無いと思います。
次回つぶやきでは、ローアングル以外の使い方を紹介しましょう。
続く
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