夏は日中に撮影していると暑さで熱中症になりそう、という辛さもありますが、何がつらいって、日の出の時間が早いから、起きなきゃいけない時間が早くて早くて...
<< 撮影記です >>
2005年7月23日土曜日、某時刻に目覚ましが鳴る。
今日の目的は君田のヒマワリ撮影である。ヒマワリは例年7月の月末に近い週末が見頃撮り頃なので、撮影は翌週以降かと思っていたのだが、知人のサイトで7月18日既に君田町藤兼地区のヒマワリが7部咲きという報告があった。それで急遽、この週末に撮影に出かけることに。いつものことだが、前日の夜に撮影コンセプトを考える。例年より1週間以上開花が早いので、月齢が16、ほぼ満月とある。じゃ、月明かりのヒマワリとしようか..
満月の日は日の出時刻と月没時刻がほぼ一緒だし、君田の西側には山があるので、月明かりを期待するなら月没よりもかなり早めの時間に着かなきゃならない。また薄明は日の出の1時間前ぐらいから始まるので、月明かりの撮影はそれよりも前になる。露光時間が5分とか10分になるから、薄明の1時間前(日の出の2時間前)に着いたとしても、撮影できるのは精々10カット未満。で、何時に起きればいいの?
この日の日の出は5時14分、その2時間前に着くとすると3時過ぎに現地着。広島から君田までは夜中の空いた道を飛ばして1時間ちょっと。だから起きる時間は...真面目に計算すると起床時間が早くなりすぎるので、アバウトに計算して(^^;...2時!
という訳で、この日は2時起き。睡眠時間は少し早めに寝たので、2時間(普段どおりの就寝時刻なら1時間しか寝られない!)。ハッキリ言って、眠いです( ̄O ̄')ファ〜ア。
午前3時過ぎに君田のヒマワリ畑に着くとまだ誰もいない。西の空には満月が輝いているが、肉眼では目を凝らさないとヒマワリの存在が見えない暗さだから、当然か。しかしこの暗さの中での撮影が目的なので、駐車場にクルマを置いて、撮影に取り掛かる。EOS3にEF70-200/2.8Lを付けてファインダーを覗けば、うぉぉぉ!何も見えない!!暫く暗さに目をならしてから見れば、ファインダー越しの情景は非常にぼんやりと見えてきたが、構図もピントも分からない。風景撮影で無限遠にピントを合わせるのならば、レンズを月に向けてピントを合わせてそのピント位置で撮影すれば済むのだが、今日の被写体は目の前のヒマワリで、望遠レンズ開放で無限遠では勿論ピンぼけになる。さあどうする、KEN?
とりあえず二つの方法でピント合わせをして撮影した。その一つは懐中電灯でめぼしいヒマワリを照らしてピントあわせすること。しかし私が普段持ち歩いている懐中電灯は単三電池二本を使う小型のものであまり遠方は照らせない。ファインダーの中でうっすらと明るくなったヒマワリを直接見てもピントは分からない。ピントリングを回してボケの大きさが最小になる様な位置を探して撮影。
(結果論、広大なヒマワリ畑の情景で、手前の数輪のヒマワリにピントがあっても絵になりませんでした。)
もう一つは月に向かってピントを合わせ、そこから山勘でピントリングを近接側に回して、畑の奥のほうにピントを合わせる方法。こちらは本当に勘だけが頼りで現像するまでどうなっているのか分からない。
(結果論、コマによって当たり外れがありましたが、運がよければピント位置の決まったカットがありました。)
構図もファンダーでは直接確認出来ないので、肉眼でまず周りの風景を「感じて」、その印象を心に焼き付けてからファインダーを覗いて「水平がとれて、概ね良い構図はこんな感じかな?」とつぶやきながら構図を決めた。露出は出かける前に見てきた月光撮影のマニュアルでは、満月でISO100,
F4・2分、月齢17〜18でF4・5分とあったので、F4・3〜5分ぐらいを目安にシャッターを切る。しかし撮影中に朝霧で月が隠れたりして、実際どうなるのか...現像するまで分からないのが銀塩の宿命でもあり、良さでもある。
月明かりの中で6〜7カットほど撮影したら薄明が始まってしまった。その後は朝霧もでて風情のある情景にもなったけど、朝が来て分かったことは、畑には既に終わった花が多くて、綺麗な絵にはならないことだった(――;。太陽が昇った後は数少ない綺麗な花を探してマクロ撮影などをしたが、7時半頃には気温が上がりだしたので撤収することとした。
後日現像が上がってくると、月夜のヒマワリの写真は、何ら特徴の見られない、単なる大幅露出不足に見える写真だった。勿論仔細に見れば月夜と日中の写真には違いがあるけど、薄明前の光では頼みのE100VSが蒼く発色することも無く(月の光は100%太陽光の反射光なので当然か。蒼い発色は薄明光に敏感に反応するE100VSのマジックなのだろう)、普通に見る限り特徴が無い。
朝2時起きして遠くまで出かけて、こんな写真しか撮れなかったら、
蓄積した疲れが一気にどどど〜〜っと吹き出しちゃうよぉ(――;
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霧にかすむ月夜のヒマワリの写真。しかし単なる露出を間違えた日中の写真ぐらいにしか見えませんね。
EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (90mm), F4, 4分,
E100VS
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2005年8月8日月曜日、某時刻に目覚ましがなる。
今日の目的地は掛頭山である。2004年の盆休みに掛頭山に行ってみたら見事な霧の海に巡り会えたので、今年も出かけることにしたのだ。霧と言えば秋が相場だけど、実は他の季節にも霧はある。
今日の日の出は5時26分。自宅から掛頭山までは丁度100kmなので、クルマで空いた道を走って2時間ほど。薄明の始まる頃には現地に到着したいので、起きる時間は...やっぱり2時(――;。という訳で、8月8日も2時に起きた。睡眠時間はやっぱり2時間で、とっても眠い。眠いぜ〜〜〜( ̄O ̄')フヮ〜
殆ど交通量の無い道をKENのペースで快調に飛ばす。しかし旧芸北町にさしかかっても霧が無い。昨年見事な霧の海に出会った際にはずっと標高の低い加計のあたりで既に霧の中だったので、クルマから見える満天の星空に「霧が無いのでは?」という不安が走る。
午前3時50分頃に、誰もいない掛頭山山頂に到着した。とりあえず下界の景色を見れば、「アチャ〜、霧が無い」。期待した霧は海とはなっておらず、一部分の山すそにたなびいているだけだった。月が無く(この日は新月)薄明が始まる直前の漆黒の空には天の川が綺麗に流れ、東の空からはオリオン座が昇ってきていた。雲ひとつ無い晴天である。それで何を撮るか考える。とりあえず見事な天の川を固定撮影で撮ろうか。
EOS3に手持ちでは一番明るいレンズであるEF50mm
F1.4 USMを付けてファインダーを覗いてみるが、やっぱりピントが分からない。星でのピント合わせは無理なので、下界の街灯を目印にピント合わせをする。しかしそれでも肉眼ではピントの山が分かりにくいので、アングルファインダーCをつけて、倍率2.5倍にしてピントをチェックする。しかし、み、見えない!見えない理由は二つあった。ひとつはアングルファインダーの視度調節がずれていてファインダー内がボケボケだった。そしてもう一つは、寝不足で目が霞んでいるのだった(=.=)。点像である筈の街灯が二つに見える。
眠い目をこすり、中々取れない目の霞みをとって、何とか街灯でピント合わせをしてから、山頂にあるテレビ塔を前景に天の川にレンズを向けた。露光時間は山勘のF2・10分である。
この撮影を終えたら、東の空に薄明が始まっていた。それで今度はオリオン座を撮る事にする。50mmという焦点距離は縦位置でオリオン座が丁度収まってしまう画角で、あまり広がりのある構図は作れなかった。でもより広角となるとこの日はEF28-105mm
F3.5-4.5 USMしか持ってきておらず、暗いファインダーでのピント合わせは至難の業だし、暗いF値は写る星の数を減らすので、50mmで我慢して撮影した。露光時間はこちらも山勘のF2・5分を基準に露出をばらして2カット撮影した。
そうこうしている内に周りが明るくなってきた。殆ど霧は無いけど、山すその一箇所に、煌々と明るく輝くナトリウムランプの上に霧がかかり、幻想的に光っている場所があった。その光をポイントに下界の山並みの写真も撮影した。
しかし、これ以外の情景となると目ぼしいものが見当たらない。日の出時刻は近づいてきたが、空に雲は殆ど無く、下界にも霧が殆ど無い。こんな情景の朝日を撮ってもギャラリーに載せられるような写真は期待できないだろう.....
という事で、日が昇る直前に撤収して帰途についた。
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当日の日の出直前の様子。霧は日の出の時刻が近づくにつれて少し増えたけど、依然として少なかったです。このデジカメ写真を撮った直後に撤収しました。 |
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この日最初に撮影したカット。山頂にあるテレビ塔をアクセントに、天の川が綺麗な部分を10分の露光時間で撮影しました。実は少しピンボケで、ピントの合っている右の写真と比較すると星像の太さが違います。どうやら構図造りをしている時にピントリングが僅かに動いたようです。しかしファインダーではそれが確認出来ない暗さです。
EOS3, EF50mm F1.4 USM, F2, 10分, E100VS
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この日二枚目のカット。薄明の中のオリオン座です。E100VSが肉眼では見えない鮮やかな色合いを記録しています。
EOS3, EF50mm F1.4 USM, F2, 5分, E100VS
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霧の掛かった街明かりをポイントに、霧のたなびく山並みを撮影。
EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (135mm), F2.8, AE(-0.3EV,
15 sec.), E100VS
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その日の夕刻にアメダスチェックをすれば、掛頭山の麓にある八幡に降雨量30mmほどの夕立があったようだ。雨が降った翌朝は霧が出やすい。すかさず天気予報をチェックすれば、掛図山周辺は早朝に良く晴れるとの事。前日夕刻の雨、早朝の好天、今度こそ....
8月9日午前2時、またまた目覚ましが鳴る。2日連続の2時起きはつらい。辛すぎる!!(´Д`)
例によって2時10分にはクルマを走らせる。今度は旧芸北町に差し掛かると霧があったので、期待が膨らむ。しかし八幡高原に近づくとまたも霧が無くなり、ちょっと焦る。そんな不安の中、3時50分頃にやはり誰もいない掛頭山山頂に到着する。早速下界の霧をチェックすれば、霧の量は少ない。しかし昨日よりはマシで、少し遠いところは雲海の様相を呈していた。また低くて薄い霧は旧芸北町の街明かりが透けて、暗い情景の中で幻想的な光の滲みとなって輝いていた。「今日の主役はこれだな」と、ひとりつぶやく。
空を見ると北東側地平線付近に雲が沢山あって日の出は拝めそうに無かった。東の空には昨日同様にオリオン座が明るく輝いていた。
今日は昨日の学習効果があるので、まずは三脚を二本セットし、カメラ二台体制で撮影に取り掛かる。朝の光はどんどん変化するが、その一方で露光時間は数分(時に10分以上)に及ぶので、カメラ一台ではどうしても逃してしまう情景があるからだ。またレンズにはEF50mm
F1.4 USMに代えてSigma AF28mm F1.8IIを持ってきた。オリオン座を含む広大な風景を収めるのに必要な画角と明るさだからだ。
まずはEOS3にシグマの28mmをつけて、無限遠のピントセットをする。三脚につけたままで下界の最も明るい街灯のところを画面中央に持ってきて、アングルファインダーCを付け、倍率2.5倍モードでピントチェック。街灯に照らされた情景がクリアに見えるところでピントリングを固定し、触らないようにする。そして目指す構図を作る。ファインダー越しにオリオン座と、街灯が透けた霧の光は見えるが、しかし地平線や山並みは見えない。従って画面の水平出しと構図作りはまたも心眼で行うことになった。裸眼でオリオン座や霧の光の位置を頭の中に焼き付け、水平が出て、まともな構図だったらオリオンと霧がこう見えるはず、という位置にファインダーの情景を調節して三脚を固定する。そして撮影。露光時間は山勘のF2・15分である。
その15分間の間に二台目のEOS3を二つ目の三脚にセットする。こちらはEF70-200mm
F2.8L USMで、下界の霧の光の滲みを画面一杯に切り取る構図だ。そして露光。露出は山勘のF2.8・10分である。同じ時間帯で1EV以上も露光値を変えるのは、メインの被写体が違うからだ。オリオン座が輝く夜空が主役の情景ではたっぷりとした露出が必要だが、肉眼でも比較的明るく見える街灯が透けた霧の光の滲みは、あまり露出を掛けすぎるとトーンが飛んでしまう。しかし、露出計の測光値ではなく、山勘で露出値を変えるのは、勘とはいえ過去の数少ない(しかししっかりデータを記録している)経験が基盤にはある。
こうしながら、二台のカメラを交互に構図セットし、露出を与えて撮影を続けた。この日は霧が多少あるので、超望遠で切り取れば雲海の写真も撮れるので、Sigma
AF170-500mm F5-6.3なども持ち出して日の出の時刻まで精力的に撮影した。しかし予想通り雲に隠れて色づいた日の出は無く、フィルム二本を撮り終わったところで帰途についた。
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この日の霧の様子。前日に比べると量が多く、雲海の雰囲気を出しています。但し霧が低くて手前の山の向こうにしか無いので、霧が主役の撮影は超望遠中心になってしまいました。雲が多くて日の出はありませんでした。ここに写っている太陽が、この日最初のものです。この写真の撮影直後に撤収。
右のEOS3は永らく私のメインカメラとして君臨している1号機、落下修理不能品から蘇ったEOS3です。中央に写っているEOS3は水没復帰不能品から蘇った3号機です。ジャンクEOS3達は私の相棒としてフルに働いてくれています。 |
この日は平日だったので、昼食後にプロラボに現像しに行った。その後T町あたりで時間をつぶし、夕方には現像が出来上がる。早速プロラボで出来上がりを見れば、今日最初に撮ったオリオン座と街灯が透けた霧の組み合わせの写真は、今までの私の作品には無い満足できる仕上がりだった。こんなカットが一つでもあれば、2日連続2時起きの疲れも吹き飛ぶものだ。
また、2時に起きて撮影に行こう(笑)
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この日最初のカット。街明かりが透けて輝く霧に、オリオン座の組み合わせです。自分でも満足のゆく出来上がりで、こういう写真が撮れると「また行こうか」と思いますね(笑)。28mm
F1.8レンズの開放付近での撮影なので、周辺減光が多少気にはなりますが...(ウェブ上では減光が更に強調されています)
EOS3, Sigma AF28mm F1.8II, F2, 15分, E100VS
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二台目のEOS3で撮影した、街明かりの透ける霧の海の写真。こちらは街明かりのトーンを残す為に控えめな露出にしています。これは文中にある10分の露光をかけた最初のカットではなく、少し薄明が始まってからのカットで、街明かりのトーン再現と、霧の海の表情再現が両立する明るさになってから撮影したものです。露出計は動かないので、これも過去の失敗データに基づいた山勘露出です。出来上がりには満足しています。
EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (200mm), F2.8,
3分, E100VS
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【余談】その後、8月16日にも2時起きで掛頭山に出掛けました。この日は前日に大雨があり、朝は晴れるとの事だったので、絶好の霧日和だと思ったのです。当日の朝は広島市内の低空が水蒸気でかすみ、掛頭山への道中も霧が沢山ある一方で霧の晴れ間からは満天の星が見えて最高のコンディションだと思われました。しかし山頂に着いてみれば、そこは嵐の雲の中で、強風が吹き荒れ、周りは真っ白。撮影は出来ませんでした。世の中、上手く行かないものです。
あ〜ぁ、夏はネムイ( ̄0 ̄')ファ〜〜ア
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