棲真寺の蓮の花撮影
KENのつぶやき vol. 254
(2006.8.5)
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実は、KENはこれまで蓮の花を撮影したことが無い。しかしapmさんが蓮の写真でフォトテク大掲載になり興味が湧いていた矢先に、インターネットで広島県三原市大和町に蓮の花の咲くお寺「棲真寺」(せいしんじ)があることを見つけ、早速撮影に行ってみた。
2006年7月9日・日曜日。朝早くから行くつもりが、前日の天気予報が悪天候を予報したので少し寝坊し8時起床。朝食を採りながら再度天気予報をチェックすれば、時折雨がぱらつくものの曇り空。これなら撮影出来そうなので、カメラの機材を持ち出して、9時半頃に出発した。
通常は夜明け前に撮影現場に立つのがKENのルールなので、撮影は睡眠不足との戦いなのだが、今日は朝までゆっくり寝て朝食もきちんと食べたので気分は爽快。こんな撮影日も良いなぁ.....と思いながら車を走らせる。河内から国道432号線を走り白竜湖を過ぎたところで国道486号線に右折し、暫くすると棲真寺の標識があったので、これに従って右折する。すると綺麗に整備された農道に出た。結果的にこれは間違った道で、最近はこの付近一帯で道路建設が進んでおり、最短ルートはもっと先の道を右折するのだった。しかし間違った農道でもポイントポイントに棲真寺への標識があり迷うことは無い。道は細くなったり、広くなったりを繰り返しながら、やがて棲真寺に10時半過ぎに到着した。蓮池は寺に入ると直ぐ左手に有り、既に沢山のカメラマンが撮影をしている。
まずは手ぶらで撮影現場の状況をチェックする。池の周りは通路が整備されて、池は柵で囲まれていた。花は思ったほど咲いておらず、蕾の方が多い、数日後の方が撮影しやすそうな雰囲気だった。
折角来たのだから勿論撮影にとりかかる。残念ながら咲いている花は池の中央部に多く、花までの距離があり、EF70-200mm
F2.8Lでは焦点距離が少し不足する。また数少ない手前に咲く花にはカメラマンが群がっていたりする。そんな状況下であれこれ迷いながら撮影するが、あまりフィルムが進まない。
ふと見ると、寺の奥の方には紫陽花の綺麗な群落があった。それでカメラマンで混雑している蓮撮影は後回しにすることとして、カメラマンの群がっていない紫陽花の撮影を始めた。しかし、幾ばくもしない内に雨が降ってきてしまった。それで慌ててカメラをバッグに収めて、雨が止むまでクルマの中で待つことにした。
雨は10分程度で止んだのだが、雨に恐れをなしたのか、それまで沢山いたカメラマンの大半が帰ってしまった。お陰で静かになった蓮池で撮影を再開する。しかし花が全然咲いていない。何処を調べても蕾ばかりだ(後日調べて分ったのだが、蓮は昼頃には花が閉じてしまう)。これでは絵にすることが難しいので、沢山いたトンボを撮影することにした。花に止まっているトンボは近づいても逃げないので、マクロ撮影が楽だ。トンボと花や背景の構図を整えながら何枚か撮影するが、しかしその様な写真はありきたりに思えてきて、飛んでいるトンボを撮影したくなった。
まずは手持ちで飛んでいるトンボを狙ってみるが、午後の赤トンボはホバリングを殆どせず、素早く飛んできたかと思うと、花に止まってしまう。暫くトンボを追いかけたが、撮影は出来なかった。
ここで方針転換。トンボの動きを見ていると、トンボによって縄張りがあるのか止まる花が殆ど決まっているし、止まる前の飛行コースも有る程度一定のようだ。ならば、カメラを三脚に固定し、止まる花で構図を作り、ピントも露出も固定してトンボの飛来を待つことにした。しかし、ファインダーの中で見るトンボは「あ、来た」と思った次の瞬間には花に止まってしまう。こうなるとKENとEOS3の反射神経勝負だと考え、EOS3のシャッターを半押しにしたままで待機して、トンボが来たと思った瞬間にシャッターボタンを全押しした。当然撮影の瞬間にファインダーはブラックアウトするので、ファインダーから見える情景は画面左上のトンボの僅かな残像と、ミラーが戻った後の花の上のトンボである。しかし何枚かは二つの映像から花に止まる寸前のトンボを捉えている手ごたえがあった。
トンボは頻繁には飛び立たないし、一旦飛び立つと直ぐには戻ってこない。雨が上がった後に空は晴れて、極めて蒸し暑く汗だくになった。そんな中で1時間以上もカメラを構えたままの姿勢でトンボと格闘していたら、両手、首、顔のあたりがヒリヒリしだした。見ると両手が真っ赤に日に焼けている。体の方も水分がすっかり蒸発して、このままでは日射病になりそうだ。そこでこの日は引き上げることにした。
クルマに戻り、車内に置いてあったスポーツドリンクで水分補給。しかし晴天下に駐車していた為に、冷たいはずのドリンクはお湯になっていた。それでも無いよりマシなので、全部飲み干した。
棲真寺からクルマを走らせつつエアコンを全開にして汗だくの身体を冷やす。まだフィルムが少し残っているので、帰り道に広島空港に程近い竹林寺に立ち寄る事にした。河内駅を過ぎて暫くしてから、標識に従って左折し、山道を登る。河内側からの道は昔は細く曲がりくねった秘境の山道だったが、広島空港が出来てから開発されて、寺のある山頂付近までの道は広くて快適だ。そしてトイレのある駐車場にクルマを停めたが、そこから本堂までは1km以上の山道だ。駐車場の案内図を見ると奥にもう一つ小さな駐車場があるとのこと。それでは、と思ってクルマで静々と管理林道を走る。本堂へは途中でわき道に向かって鋭角に曲がるのだが、その道が狭く見えたのでクルマで奥に入るのをやめて、少し手前にあった広場までクルマをバックさせて、そこから歩くことにした。10kgを超えるカメラバッグにマンフロットの三脚を持って急な登り坂を歩き出すと下半身が悲鳴をあげた(笑)。暫くこのような重装備坂道歩行をしていなかったので、すっかり弱っているようだ(^^;
2-300mほど坂道を登ると、案内図にあった駐車場があり、車二台ほどは止められるようになっていた。ここが丁度山道の頂上なので、ここまで来れば良かったと思う、、、けど、後の祭り。
久々に訪れた竹林寺には人影も無く、静かだった。ここにはスイレンの咲く池があるが、時刻は既に3時過ぎ。スイレンは全て閉じていた(朝開花して、昼過ぎに閉じます)。それで名物の竹林を撮影してフィルムを使いきり、帰途についた。山道の行軍でまた汗だくになったが、スポーツドリンクは棲真寺で飲み干したので身体は脱水症状目前。そこで途中のコンビニで生命維持の為に、遅めの昼食と水分補給をする。サンドイッチとスポーツドリンク500mlと野菜ジュース300mlを一気に食べて飲んだが、余程水分が欠乏していたのか800mlの水分は腎臓から排泄されず体内に吸収されてしまい、1時間半後に自宅に着いても尿意が無かったのには驚いた。
今回は蓮の花撮影に行きながら、花の撮影が全く出来なかったのでリベンジを考える。ネットで蓮の花のことを調べると、早朝に開花して昼には閉じるとのこと。ある公園も通常は9時開園が蓮の花の季節は6時開園になっていた。これはやっぱり早朝から行くべきだった。
本日の教訓1:睡蓮、蓮の花撮影は朝から取り掛かりましょう。
本日の教訓2:夏の撮影は水分補給に気をつけよう。
2006年7月17日・月曜日。海の日の祝日。今度は教訓に従って朝4時に起きる。夏撮影の4時起きは私にとって寝坊の部類だが、眠いことには変わりない(笑)。しかし早朝の空いた道を快適に走りながら眠気が薄れると、これがKENの撮影リズムになっているのだなぁ、と感じ入る。5時15分頃にまだ誰もいない棲真寺に到着。満開の蓮の花を期待して池に行くと、「あれ?咲いてないぞ〜」。花の時期が終わったのか、時刻が早すぎるのか?よく観察するとこれから開こうとしている蕾がまだ沢山あったので、時刻が早いみたいだ。それでクルマの中で仮眠がてら待機して、7時少し前になってから蓮池に再度行くと、沢山の花が咲き始めていた。蓮の花はさほど早起きでは無さそうだ。
さて、撮影開始!ファインダーで見る蓮の花は美しい。実は今日のEOS3にはスーパープレシジョンマットスクリーンを入れてあるのでボケが今まで以上に大きく、情景が立体的に見える。ピントの山が分かりやすいのは勿論だが、より大きなメリットとしてピント位置による画面の安定度合いが手にとるように分かるようになった。通常のレーザーマットスクリーンだと相対的にボケが小さく、ピント位置から僅かに外れた部分でもファインダーではそれなりに見えるため、「これでも良いか」と思ってしまい、現像が出来上がって「しまった」というケースが多い。しかしスーパープレシジョンマットならボケがほぼ出来上がり通りに見えるので、ピント位置、ピント面の検討が現場で厳密に出来る。これはいい!
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Voigtlaender Macro APO-Lanthar 125mm F2.5SL の紙のような被写界深度を相手に、ピント位置に迷うカット。スーパープレシジョンマットEc-Sなら適切なピント位置をファインダー上の絵柄で確認出来る。 |
また蓮の葉はぼかすと淡く美しい緑色になるので、撮影しやすい。やや下側から狙って、葉の葉脈が見えるようなぼかし方をすると奥行き間も表現出来たりする。絵作りのしやすい被写体だが、それは逆に言えば他の多くの人もまとまりのある絵を造っているという証拠。私らしい個性を出すような絵を造るには、桜のように却って難しい被写体かもしれない。まあ、今年は初挑戦なので、あまり気負わず定番写真を沢山撮影する事にした。
一通り花の撮影を終えてから、またトンボの写真を撮りたくなったが、何故かこの日は赤とんぼが居なかった。蓮池の葉の上や裏側を探しても居なかったので、朝が早くてまだご出勤されていないようだ。代わりに沢山飛んでいた蜂を相手に少し写真を撮る。例によって手持ちではなく、三脚にカメラを固定して構図、露出を作り、ピント範囲内に蜂が来るのを待った。それで数枚撮影。
更に蓮の花を構図を変えながら数カット撮影してこの日二本目のフィルムを使い切った。先週の教訓に従い、暑くなる前の10時過ぎには撮影を止めて、帰路についた。
今日はタップリ撮影して、自宅に着いても昼前だ。普段の一日分の活動がまだこれから出来る。人生の時間を有効活用するなら、撮影は早起きに限るようだ..
それでは、棲真寺についてご案内しましょう。
場所は広島県三原市大和町。付近は道路建設が進んでおり、地図を書いても直ぐに変わってしまうので、Yahoo地図の位置をお知らせしておきます。
2006年夏時点では、国道486号線の大和町内で「フライロード」との交差点を南方向に曲がると、無料の自動車専用道路になっていて、その終点を右折すれば、あとは標識に従って数分で棲真寺に到着します。この地図も参考にしてください(簡略化され過ぎていて、実際の情景とは異なりますが、大体これでたどり着けます)。
駐車場は寺の入り口左手にあります。社にはトイレ、池の脇には自働販売機が設置されてます。
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