トヨフィールド45A用スピードファインダー
KENのつぶやき vol. 330
(2010.9.25)
トヨフィールド45Aで使うスピードファインダーを作りました。
何故スピードファインダーが欲しくなったかと言えば、大判カメラでの撮影で困った状況が二つありました。
- 昨年の月夜の大山撮影では、無限遠のピントは月で合わせた物の、月に照らされた大山は暗すぎて大判カメラのピントグラスには全く何も映らず、フレーミングが出来ず撮影を諦めなければならなかった。
- 日の出撮影で構図を変える時には、フィルムホルダーを外し、ピントグラスを付けて、ピントフードを付けて、シャッターを開けて、構図を調整し、シャッターを閉じて、ピントフードとピントグラスを外し、フィルムホルダーを付けて、シャッターをチャージして、撮影、、と、一秒を争う中でとても時間が掛かり、シャッターチャンスを逃しがちである。
ピントグラスを覗かずとも大まかな構図を作れるスピードファインダーがあれば、これらの苦労は大幅に軽減出来ます。
ホースマンには4x5撮影で用いる外付けファインダーもありますが、極めて高価なのと使用できる焦点距離に制約があります。また最近の私は4x5よりも6x12撮影が殆どなのでこれは使えません。そこで色々なレンズで使える外付けファインダーを自作することにしました。当然ながら、、、KENが作りますので今回も材料はダイソーで仕入れましたから、原価はとても安価です(笑)。
スピードファインダーの設計構想ですが、大判レンズはテレタイプを除いてレンズ主点がほぼレンズボード面にあります。フィルム面はカメラマン側にありますので、原理的にはレンズ主点にフィルムと同じサイズのマスクを置いて、フィルム面の位置から覗けば全ての焦点距離で正確なファインダーが成立します。現実にはフィルムバックの厚さがあるのでカメラマンの目はフィルム面から数センチ後退せざるを得ず、従ってフィルムと同サイズのマスクもレンズボード面からはその分後退させなければなりません。
この構想に基づき、まずダイソーで目を付けたのが、4x5フィルム(97x120mm)に近い大きさのカードを挟むカードスタンドで、対応カードのサイズは90x128mmです(上の写真)。
これをアクリルカッターで二つに切り分けます。実はこの後のドリル作業で一つ割ってしまいましたので、二つ取れて幸いでした。これがレンズボード側に取り付けるマスクになりますが、完全な板なので撮影中に風を受けてブレを引き起こさないように、容易な着脱構造を採用し撮影中は外すようにします。取り付け方法はベルクロも考えましたが恐らく剛性感に欠けるため、磁石を用いることにしました。
一方のトヨフィールドのフロントスタンダードですが、アルミ製で磁石が付きませんので、8mm幅の金属板を二枚貼り付けます。この時点では磁石はゴム製の板状の物を用いる予定でしたので、金属板は横幅一杯に貼っています。また中央のトヨ製フード取り付け用のネジ穴にはネジを適量出っ張る様に取り付けます。このネジがファインダーマスクのセンタリングを司ります。
磁石ですが、当初板ゴム製の「粘着付きマグネットシート」を用いましたが磁力が弱くてカードスタンドを固定出来ませんでした。そこで急遽方針変更、再度ダイソーに行き買ってきたのは「プッシュマグネット」で、超強力なネオジウムマグネットを用いている所がポイントです。これを割って磁石を取り出しましたが、この商品は設計不良で、磁力に対して磁石の接着力が弱く、このクリップを2〜3回使うだけで磁石が外れてしまいました。私にとってはラッキーで、結局力づくで割ったのはこの一枚のみ。他の3枚からは労無く磁石を取り出せました。この磁石は本当に強力です。
カードスタンドの底部にネジの頭に合う径の穴を開けて、その両脇に先ほどのネオジウムマグネットを超強力両面テープで貼り付けます。マスク面をレンズボード面から後退させる為に、出来るだけオフセットした(写真の下側の)位置に細工しました。
ここで中間チェック。出来具合は上々で、ネジと穴のお陰で一発で定位置にセンタリングされて、磁石で正に吸い付くように安定します。磁石は二つだけなので取り外しも適度な力で可能で、フロントスタンダードを動かしてしまうような事はありませんでした。
カードスタンド平面部に各フィルムサイズに適応したマーキングを金色テープで施しました。これは本来はクルマに貼るストライプテープで我が家に長年あるものです。古くからの読者であればEOS 650 Squareのファインダースクリーンの工作に用いたあのテープと言えば思い出されますよね。皆さんが作られる場合は目的を達成すれば勿論何でも構いません。マスクは4x5、6x12、6x9の三種類に対応しました。4x5は高さが少し足りていませんが、KEN本人は分かっていますので撮影時に目分量で補正しますので問題有りません。またマスク中央の点がとても大切です。
右側はアクセサリーシューに取り付けて、覗くときの目の高さを決める照準で、フィルムのパトローネケースを切って作りました。リンホフボード(No.0, No.1)の場合はレンズが7mm下方にオフセットして取り付けられますので、リンホフボード用とトヨフィールドボード用の二種類を作りました。実際に使うときは、この照準とファインダーマスク中央の点を合わせて覗きます。
これが完成形。これで外に持ち出して、実際の撮影範囲とこのスピードファインダーで見える範囲のチェックをしましたが、かなり正確でした。但し覗く際には顔をフィルムホルダーに押しつけ気味にして、目をフィルム面から2cmぐらい後方のあたりまで持ってゆかなければなりませんが、大まかな構図を決めるだけなら余り神経質にならなくても大丈夫です。
このスピードファインダーは原理的にテレタイプ以外の全てのレンズに適応しますが、取り付け寸法の関係で90mm以上でのみ使用可能です。それよりも短焦点になるとファインダーマスクとボディが干渉してしまいます。また風景で多用するライズ・フォール、シフトにも対応しますので、原始的な割りには使いやすいものになっています。
製作材料費はダイソー製品3点(カードスタンド、プッシュクリップ、金属板〜金属製の中型ホースバンドから切り出し)で315円でした。但し設計構想には半年ぐらい掛けています。
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