初代(2006)/二代目(2008)Mac Proの隠しSATA端子を活用する
KENのつぶやき vol. 367 (2012.10.13)
愛用しているMac Pro 8-Core 3GHz (初代モデル)の強化を狙い、SSDを増設することにしました。初代と二代目のMac Proにはマザーボード上に使われていない二つの内蔵SATA端子がありますので、それを活用し光学ドライブベイに2台のHDDを増設出来るOWC Multi-Mount for 2006-2008 Mac Proを購入し装着しました。それによって分かったのは、分解手順や必要機材の条件が分かってしまえば、OWCやNewer Technologyの様な高価なセットを買わずとも、安価な部品の組み合わせで色々なことが実現できることです。
- 空いている光学ドライブベイに一台または二台のHDD/SSDを増設する。3.5インチ、2.5インチの組み合わせは自由。
- 純正のIDE光学ドライブに代えて、最新のSATA光学ドライブを装着する。
- 内蔵SATA端子をeSATA端子に変換しPCI Expressスロットから取り出し、外付けHDD等を接続する。
- 端子は二つあるので、上記の組み合わせも可能。
NewerTechnology eSATA Extender Cable
OWC Multi-Mount for 2006-2008 Mac Pro
等の購入を考えている方は、ご一読下さい。
※隠しSATA端子はBoot Campで認識されませんので、Windows環境を使われる方は要注意です。Parallels Desktop上の仮想環境からは認識されました。
まずは、OWC Multi-Mount for 2006-2008 Mac Pro の装着手順
OWC Multi-Mount for Mac ProはMac Proの年代と装着ドライブによって沢山のシリーズがあり、私が購入したのはその中で全部の部品が同梱されている OWC Multi-Mount: 2.5" to 3.5" (x2) and 3.5" to 5.25" bracket and cable set for 2006-2008 Mac Pro です。商品名をクリックしてもらえばメーカーサイトの商品説明ページに飛びますので、写真を見ればどのようなものか一目瞭然です。3.5インチ、2.5インチドライブを合計二台装着するブラケットに加えて、2006-2008 Mac Proの隠しSATA端子を活用するケーブル類も同梱されています。生憎国内のお店で扱っていなかったのでOWC (Other World Computing) に直接注文しました。価格は49.99ドル、送料16ドル弱で、円高のお陰もあって5300円程度の価格でした。
内容物です。ブラケットに加えて、極普通のSATAケーブル(1本はL型である事が鍵)、電源変換&分岐ケーブルが含まれています。しかしこのキットで最も価値のある物はMac Proの詳しい分解マニュアルでしょう。勿論英文です。またブラケットは国内で買うことの出来る安物とは違って、ゴムを介してドライブが取り付けられる構造になっており、光学ドライブ、あるいはHDDの震動がSSDに伝わりにくくなっています。仕上げもブルーのとても綺麗な粉体塗装になっています。
それでは、隠しSATA端子に辿り着く為の Mac Proの分解手順をご覧下さい。結構大変です、、
Mac Proを寝かせて写真を撮っています。写真左がMac Proの上、写真上が後ろ、写真下が前になります。先ずはHDDとメモリーライザーカードを取り外します。HDDは1〜3にしか矢印を付けていませんが、全部外した方が良いです。
(分解マニュアルによれば、二代目Mac Pro 2008モデルはプロセッサーカバーが簡単に外れるので、メモリーの取り外し、メモリーベイのネジ外し、PCI Expressカードの取り外しは不要の様です。HDDのみ取り外して下さい。)
次にメモリーベイを固定しているネジを外します。0番のプラスドライバーが適しています。その後でPCI Expressスロットにはめているカード(ビデオカード等)を全て外します。
(二代目Mac Pro 2008モデルはこの作業不要)
メモリーベイには下端手前側にも2本のネジがあります。0番プラスドライバーが適しています。
(二代目Mac Pro 2008モデルはこの作業不要)
メモリーベイをMac Proの後ろ側に少しずらし(写真上側、手で優しく揺すると少し隙間が出来ます)、矢印を付けているプロセッサーカバーを優しくひねるようにして外します。(二代目Mac Pro 2008モデルでは直接このプロセッサーカバーを外します。マグネットで付いているだけだとか。)
写真でグレーに見えているのはファンユニットですが、矢印の所にユニットを止めているネジがありますので、これらを外します。マザーボード側に嵌っているネジは狭い空間にあるので、柄の長いドライバーを使った方が良いです。
ファンユニットを取り外します。これが一番難しい作業で、コツがなかなか掴めません。外してみて分かるのですが、ユニットは矢印をつけたボディ側の爪とファンユニット側の爪が噛んでいますので、この部分(ユニットが嵌っている時には見えません)を、PCI Expressのめくら蓋の金属板を使って少し引き起こすようにすると外れます。それで右手でファンユニット右側を持って外すのですが、これが外れない。実際にはもう一つ矢印を付けたところに10極コネクターがあり、これが嵌っているだけですので、優しく揺すりながら手前に引くようにすると、突然外れます。
ファンユニットが外れて、お目当ての隠しSATA端子が現れました。この端子は内蔵ドライブ用端子なので、ブートが可能ですが、BootCampに適応していないことと、もしeSATAとして外付け端子として使うときには、ホットプラグやポートマルチプライヤには対応していません。あくまで内蔵ドライブ扱いなので起動前に電源も入れておく必要があります。
もしNewerTechnology eSATA Extender CableでeSATAとして活用する場合の分解手順はここまでで、PCI ExpressブラケットにeSATA端子の付いたブラケットを取り付け、写真の端子にSATAケーブルを接続するだけです。NewerTechnology eSATA Extender Cableは3000円ほどしますが、全く同じ機能を果たすものとしてエスエージェー・シリアルATAケーブル SATA → eSATA変換(2ポート)があり、700円程で購入出来ます。但しマザーボード側の端子がどちらもストレート型なのが気になりますが、取り付けられたという方がいますので、何とかなるのでしょう。ケーブル1本だけL型に交換すれば完璧だと思います。
光学ドライブベイを活用するには、SATAケーブルの配線が必要です。まずは光学ドライブベイ全体を取り外します。金属のつまみ部分を手前に引っ張れば外れますので、ケーブルを取り外して完全に取り外します。
キット付属のSATAケーブルです。何ら特別の物ではなく、どこでも買うことの出来るものです。但し片側はL型プラグである事が大切です。このキット付属のストレートケーブルの方がご覧のようにやや短く(カタログでは48cm、日本流では50cm)、ドライブ装着時の作業性が悪かったので、ご自分で調達される場合は60cm以上の物が良いと思います。
光学ドライブベイにケーブルを通せるスペースは写真で示したところしかありません。隙間があまり無いので、端子を通すのも一苦労です。マザーボード側の端子の向きに気をつけて、挿入したときにケーブルに無理な力が加わらないように方向を定めて、ケーブルを隙間に通します。
そしてマザーボードにケーブルを挿入します。左側(Macの上側)にL型端子を、右側(下側)にストレート端子を挿すことで、2本を無理なく上部に逃すことが出来ます。赤いケーブルが光学ドライブベイ側に通り抜ける部分に見えている黒い端子は、No.1 HDDのSATA端子ですから、必ずこの後ろ側を通す必要があります。
以上の作業が終わったところで、光学ドライブベイを除いて元に戻します。ファンユニット装着(結構難儀)、カバー装着、メモリーベイの固定、メモリーライザーカード装着、PCI Expressカード(ビデオカード他)装着、HDD装着(=写真ではまだしていません)。
次に、下側スーパードライブ用の電源端子に、二股のIDE-SATA電源変換ケーブルを装着します。
私は2台のスーパードライブを装着していたので、調子の悪い方を外し、下側のベイを空けます。1台しか装着していなければここは最初から空です。
SSD装着が主目的ですが、2台装着可能なキットなので余っていた500GBのHDDも装着することにしました。先ずはOWC 5.25" - 3.5"ブラケットに3.5" HDDを取り付けます。このブラケットは5.25"の光学ドライブからの振動を緩和する為に、3.5"ドライブは大きなゴムを介して取り付けるようになっています。
次いで、SSDにOWC 3.5" - 2.5"ブラケットをご覧のように取り付けます。このブラケットも青いゴムで浮く構造になっており、3.5"ドライブの振動をSSDに伝えにくくしています。
両者を合体した状態。この状態でSSDに触るとフワフワしており、ゴムで有効に浮いている事が確認出来ます。少々高いブラケットですが、各ドライブの耐久性を考慮した造りで安心材料にはなります。
全体を下側のドライブベイに挿入します。各ドライブはゴムを介したブラケットを除けば何処にも接触していないので、冷却面でも配慮が行き届いています。
もとの光学ドライブベイに戻して完成です。先ほども書きましたが付属のSATAストレートケーブルがやや短くて(50cm)、半分以上光学ドライブキャリアを押し込んだ状態でケーブルを装着しなければなりませんでした。60cmは最低でも欲しいですね。長いケーブルも持っているのですが、もう一度分解するのは嫌なので、SATA延長ケーブルでも買おうかと思っています。
無事、SATAツリーに合計6台のHDDが認識されました。1台はパーティションを三つに切っているので、デスクトップ上には8台のドライブアイコンがマウントされています。これらが全て内蔵ドライブというのは、ちょっと感動的ですね(笑)。
以上をまとめますと、、、
- 初代(2006) / 二代目(2008) Mac Proの隠しSATA端子へのアクセス方法は、上記の分解手順の通り。
- 用意するSATAケーブルのマザーボードに挿す側の端子は1本がL型、もう1本がストレート型であること。
- SATAケーブルの長さは60cm〜80cm。
- 光学ドライブベイへのHDD/SSD増設、及びSATA光学ドライブへの換装には加えてIDE-SATA電源変換ケーブルが必要。2台設置の場合は分岐タイプが必要。
- 光学ドライブベイ(5.25インチ)に3.5インチ/2.5インチドライブを取り付ける変換ブラケットを目的に応じて調達(種類が豊富です)。
- eSATAとして外付けドライブで活用する場合、NewerTechnology eSATA Extender Cable
が有名だが、エスエージェー・シリアルATAケーブル SATA → eSATA変換(2ポート)や、その1ポート版でも可能。但しマザーボード側の端子がストレートなので、L型ケーブルに交換した方が良い。
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