車中泊用寝袋としてのモンベル・ダウンハガー(羽毛シュラフ)
KENのつぶやき vol. 391 (2014.5.22)
エンジンを切って寝る冬場の車中泊はとても寒く、ポータブル電源+シートヒーターなど色々と工夫を凝らしてみましたが根本的な解決には至らなかったので、最終兵器として2013年9月にモンベルのスーパースパイラル・ダウンハガー#1を購入しました。これで2013年11月〜2014年5月の間に合計21回の車中泊をしましたが、寒くて寝られない事から完全に開放されて「買って良かったぁ」と思いました。季節は春〜夏に向かい、来冬シーズンまでしばしのお役ご免となりましたので、ここで総括しておこうと思います。
モンベル・ダウンハガー(羽毛シュラフ)とは
私が購入した2013年モデルは、羽毛の種類で650フィルパワー(モデル名無冠)と800フィルパワー(モデル名にウルトラライトが付く)の二つ、寝袋の構造でスパイラルストレッチとスーパースパイラルストレッチの二つの組み合わせで合計4種類。それぞれに使用可能温度別に #0(-16℃)、 #1(-9℃)、 #2(-4℃)、 #3(0℃)、 #5(6℃)、 #7(10℃)の6種類があり、800フィルパワーのみにあるEXP(-23℃)と併せて合計23種類のモデルがありました。私が買ったのは羽毛の中では下級モデルの、650フィルパワー、スーパースパイラルストレッチ・ダウンハガー#1です。
2014年モデルでは更に上級の900フィルパワーシリーズが追加されて、スーパースパイラルタイプは単なる「ダウンハガー」に、スパイラルタイプは「アルパイン・ダウンハガー」という名前に変更されています。また使用可能温度領域の測定方法が「EN13537」に変更され、実質性能は変わりませんが、快適温度表示が上昇した上に羽毛の種類により異なる様になってしまい、 EXP(-10℃)、 #0(-7℃)、 #1(-6〜-4℃)、 #2(-2〜2℃)、 #3(3〜5℃)、 #5(10℃)、 #7(11℃)になりました。値段はどれもそれなりに高価です。
フィルパワーの数字が大きくなるにつれてシュラフは収納時に小さく出来ます。下級モデルの650モデルでもこれだけのサイズになってしまい、羽毛で良かったと思うポイントの一つです。写真左から、使用時は勿論約180cmの長さがありますが、公称マイナス9度で大丈夫なシュラフなので、沢山の空気を含んでもの凄いボリューム感があります。次の写真は長期保管用のストレージバッグ。通気性のある木綿の袋で羽毛を押し潰すこと無く保管出来ます。三番目の写真が運搬時の収納袋(スタッフバッグ)で、普通に詰めた状態。この袋は簡易コンプレッションバッグになっていて、全体を少し押しつぶした上で黄色い矢印で示したヒモを縛ると、更に圧縮出来ます(一番右の写真)。
モンベルのシュラフはとても評判が良いですが、買ってみて分かるのは、カタログの説明以上に細部にわたり賢い工夫が凝らされていること。ファスナーを閉めた際の気密度を保つ工夫とかも色々ですが、細かい点ではこのスタッフバッグの底の部分に手が掛かる細工がしてあり、これできつく押し込められたシュラフを簡単に取り出す事が出来ます。
スーパースパイラルストレッチタイプのシュラフは、カタログの謳い文句だと伸縮性に富む縫製がされていて、胡座が組めるとあります。写真を見るとまるでニット地の様な雰囲気を想像しますが、実際には流石にそこまでのしなやかさはありません。しかし車の中で寝ていて、足を組み替えるとか、姿勢を変えても不自由することは無かったので、マミータイプにある窮屈さとは無縁でした。
車中泊用に相応しいモデルは?
車中泊のスタイルや環境によって適切なシュラフの性能は変わりますが、私の使用条件は、
使用環境; | 最も寒い状況で、氷点下5〜10度。中国地方の山間部が最悪条件。 |
起床時間; | 概ね日の出2時間前(=一番冷え込んでいるタイミング)。 |
服装; | 撮影時は防寒具をしっかり着込む。 |
この条件で#1はオーバースペックです。これまで使用した際の最低気温はマイナス5度で、その際は結露した窓ガラスの内側が凍っていました。しかしクルマの中は自分の体温で暖められるので、恐らく0度程度までしか下がらなかったと思います。
#1はマイナス9度、新基準でもマイナス6℃まで快適に使えるモデルで、電熱ヒーターでも入っているのか?と思うほど直ぐに暖かくなります。冬場は防寒着を着て行動していますが、寝る際には室内着程度まで脱がないと暑すぎるし、また車内でベッドメーキングする際には意図的にドアを開け放ち、エアコンで暖まった車室内の気温を外気温並に下げておかないと、やはり暑くなります。薄着で寝られるのは気持ち良いですが、起きたら0度前後の凍てつく車中で着替えをしなければならず、脱いだ防寒着はキンキンに冷えています。
この寝袋の正規の状態で寒いと思ったことは一度もありませんが、実際には何度か凍えました。それは暑くなって寝ている途中でファスナーを開けた時で、この寝袋は高い気密性で防寒性能を高めているので、ファスナーを開けたら一気に冷えてしまうのです。
この冬を過ごしてみて、むしろ寒さに応じた服装のままで寝ることの出来るモデルの方が使いやすいだろうと感じました。ファスナーを開けて寝冷えする可能性も減るし、寒い中で着替える度合いも減ります。そして使える期間がより長くなり、値段も画然と安くなりますので一挙両得でしょう。モンベルの新基準快適温度表示は下着のままでもOKらしいので、季節なりの服装で寝るなら恐らく#3程度(旧基準0℃、新基準3〜5℃)が一番良いのではないでしょうか。(#2でも暑すぎるというネット上の記事もあります。)
もし夜明け撮影が目的ではなく、車中泊で長距離旅行する様な、日の出後の明るい時間までしっかり眠れる状況なら、薄着で寝られるシュラフの方が疲れは取れると思いますし、起床時の気温、室内温も太陽によって少し上がっている筈で、着替えも苦にならず、むしろ#1ぐらいのスペックが適しているでしょう。逆にスキー等の車中泊で氷点下15〜20度ぐらいまで下がる状況だと、#1では不足だというネット上の記事も有ります。要は使用条件次第、、
私は引き続きこのスーパースパイラル・ダウンハガー#1を使い続けますが、防寒性能が高すぎる故の不都合を脇に置けば、フカフカの羽毛布団にくるまれて寝るのはとても気持ち良く、癖になりそうです(^o^)。
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