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記事No.268で KANI Premium Vivid CPL を取り上げました。一般的に黄色に傾くサーキュラーPLフィルターに対して、黄色を意図的にカットし、空の「青」や草木の「緑」を強調するという謳い文句で、風景撮影ではより使いやすい物になっていました。
KANI Premium Vivid CPL に似たコンセプトのフィルターが NiSi Landscape CPL で、こちらも入手しましたのでテストしてみました。結論から言えば KANI Premium Vivid CPL とほぼ同じ効果が得られましたので、買って良かったです。
私が入手したNiSiのフィルターシステムがこの「NiSi S5ホルダーキット for Tamron15-30mm F2.8」で、超広角出目金ズームの TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD で150mm角形フィルターを使うためのホルダーセットです。タムロンでCPLを使う為に入手しましたが、これには通常の「Pro CPL」が付属していました。ちなみにこのキットに付いている布製ケースは、持ち手もストラップも無く、角形フィルターすら収納出来ないというお馬鹿丸出しのケースで、使い道は無いです。
S5ホルダーにCPLフィルターを装着した状態。このCPLフィルターは約150mmの径があり、サイズ的には600mm F4レンズで使えるサイズで(実際のロクヨンにはフィルタースレッドが切られていないので使えませんが)、とても巨大です。お陰で15mmでもケラレがありません。CPLフィルターの回転はホルダー上下に付けられたダイヤルで行い、操作性はとても良いです。
なお、NiSiの150mmフィルターシステムの現行世代はS6ですが、S5用のフィルターはS6とは互換性が無い(2mm径が違う)ので要注意です。写真はメーカーサイトに掲載された寸法図。
S5世代にはフィルターキャップの設定が無いので(S6世代にはあり)、代わりに150mm角、2mm厚のアクリル板を買ってきて、形を整えてからフィルターホルダーに填めて、キャップ代わりにしました。白いアクリル板だけでは殺風景なので、1990年代のアップルコンピューターのシール(往年の名機、Macintosh SE/30に付属していたもの)を貼ってみました。
Pro CPL でテスト撮影したところ、伝統的な黄色転びのフィルターだったので、Landscape CPL を追加で入手しました。フィルターの色を比較するとこれだけ違います。NiSiのサイトでは Landscape CPL / Ti Enhanced CPL(同じフィルターで通常レンズ用の名称)には最新のHUCコーティングが施されている事になっていますが、古いS5世代のこのフィルターは、 Pro CPL共に見た目ノンコーティングで、逆光にも弱かったです。
KANI Premium Vivid CPLも含めた、4種類のフィルター比較。NiSi Landscape CPL はほぼKANIと同じ色合いをしています。ちなみにKANIとKenkoのフィルターは77mm径で、NiSi S5の巨大さが分かります。
テスト撮影結果です。先ずはフィルター無し。
Pro CPL。画像が黄色に傾いて、見栄えのしない絵になっています。比較の為に全て色温度昼光色(5500K)で現像しています。
Landscape CPL。青空が鮮やかに強調されて、期待どおりの結果になりました。
三者の比較です。どの画像が一番魅力的か言うまでもないですね。デジタルだから後補正は出来ますが、消えた青を復活させると結構画像が荒れますので、レタッチ耐性を高める上でも期待色を最初から再現するフィルターは大切です。Landscape CPLを単体で買うとかなりのお値段になりますので、NiSiホルダーキットを買う際には最初からLandscape CPLが付属したキットを買って下さい。
EOS 6D, TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD A012 @15mm, f/5.6, 1/60s, ISO 100, NiSi Landscape C-PL
【作例1】超広角15mmの出目琴レンズでCPLをケラレ無く使えるのは痛快です。但し、110度もの画角を持つ15mmともなると空の色、濃さが均一とはなりません。これはフィルターの責任ではなく、太陽との相対角度の変化で仕方のないこと、、
EOS 6D, TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD A012 @15mm, f/5.6, 1/160s, ISO 100, NiSi Landscape C-PL
【作例2】左側に太陽の存在を入れて、空が濃くなる部分を右端に持ってくると、不自然さが消えました。超広角でCPLを使う時の癖を理解した絵造りも必要ですね。
EOS 6D, TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD A012 @28mm, f/5.6, 1/125s, ISO 100, NiSi Landscape C-PL
【作例3】28mmなら空の色の不自然さは殆ど出ませんが、この画角なら普通のレンズとCPLフィルターを使えば良いので参考にはなりませんね。超広角ならではの癖を理解して使いこなしましょう。
2024年11月2日
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