彼岸花 2003 (Cluster Amaryllises)



------- 日向の彼岸花 -------
 
昨年に引き続き、2003年も広島県双三郡吉舎町辻にある彼岸花群生地と、庄原市の備北丘陵公園で撮影してきました。今回のギャラリーは私自身の勉強も兼ねて、直射日光の当たっている彼岸花と、当たっていない彼岸花の写真を分けて展示します。この6枚は太陽光線の当たっている彼岸花の写真達です。
直射日光が当たっていると花のコントラストがきつくなり、特徴的な赤い色が写真上では失われがちになります。その様な状況の中で花の色を出来るだけ殺さない様な撮り方をした写真達です。
1. 蕎麦畑を背景に従えた、彼岸花二輪。背景が白いからと言ってプラス補正すると彼岸花の色が失われてしまいます。 2. 手前の彼岸花を前ボケに使って、シンプルに捉えてみました。太陽が当たって白く輝いている所に前ボケの赤で色味を加えている所がミソです。 3. 木の幹を主役に、花を脇役に。
4. 夕方の太陽に照らされた群生地の、ストレートな写真です。花の色は赤というよりも浅いオレンジ色になってしまっています。 5. 彼岸の世界の雰囲気が感じられるでしょうか?二重露出でちょっと追憶的な雰囲気を出してみました。ストレートに撮ると花が大分白っぽくなるので、2回目の露出で赤味を加えています。 6. これもハイコントラストな被写体の二重露出で、ちょっと夢の情景の様な雰囲気を出してみました。好き嫌いはあるでしょうね(笑)。



------- 明け方、日影の彼岸花 -------

こちらは直射日光の当たっていない彼岸花の写真です。吉舎は霧で有名な三次盆地に隣接しているために、彼岸花の季節の早朝には霧が出ますので、晴れた日でも日の出後2時間ぐらい太陽は顔を出さず、曇りの日のようなフラットな光線を恵んでくれます。フラットな光りは花のコントラストを弱めて、花本来の持つ色を際立たせてくれます。

1. 私独特の二重露出による、パンフォーカス・ソフト表現を用いてみました。 2. やはりパンフォーカス・ソフト表現による群生地の最も密度の高い所の情景です。ウェブ上だと赤カブリがちょっと鼻に付きますが、原板ではあまり気にならず、優しく妖艶な写真になっています。
フォトテクニック2004年11/12月号 My Precious Moments 掲載
3. 備北丘陵公園の土手にあった花です。二重露出することで、背景のボケの煩雑さを減らしています。
4. 明け方まだ薄暗い時の群生地の中央部です。露出を切り詰めて花の色を妖しい赤に、背景を暗く落とし、さらに浅い被写界深度で全体を神秘的な雰囲気に仕立てています。
5. 上の4.とほぼ同じ撮影条件です。二本の木が彼の地への入口の門の様な感じがしたので、その雰囲気を作ってみました。E100VSの赤はRVPよりも多少浅く、青みが加わります。 6. これもE100VSです。霧のある朝のフラットな光りの中で、ちょとと紫が混じった様な色っぽい赤に表現されています。 7. 群生地の写真はある意味でヘビーな絵柄になるので、ちょっと癒し系(?)の彼岸花を(笑)。備北丘陵公園の土手です。