Cherry Blossom 2010

2010年も桜撮影に精力的に出掛けましたが、毎年最大限の本気で撮影してきた湯来町湯の山温泉の枝垂れ桜が周囲の宅地造成で撮影困難になり、また4月下旬の体調不良で長沢の枝垂れ桜の撮影が出来ませんでした。それでも合計33枚の写真をお届けします。毎年恒例となっている広島市内の染井吉野と、今年が初挑戦の金谷の城山桜(島根県益田市)と森湯谷のエドヒガン(広島県庄原市東城町)、そして昨年から通い始めた龍福寺の枝垂れ桜(広島県庄原市小用町)です。



染井吉野の朝

広島市内の比治山公園で染井吉野を日の出前から撮影するのがこの10年間の習慣になっています。同じ場所の同じ木の同じ枝の花を撮影しますので出来上がりがワンパターンになりがちですが、未だに飽きずに撮影しています。日の出前後の短時間に被写体、構図、ピント面、露出を決めて撮影するのは極めて忙しく、スリリングだからです。

一眼レフ+マクロレンズで撮影している方なら写真から撮影方法を理解頂けると思いますが、構えてパシャ、ではこのような写真は撮れません。被写界深度数ミリという狭いピント面の中に複数の花のしべや花びらを収め、それらの花や朝日のボケをバランス良く配置するには幾何学をフルに動員した緻密なアプローチが必要です。加えて真逆光になるので露出は基本的にマニュアルで花をスポット測光で計って決めています。構図やピントの安定性を確保するために、それらを全て三脚上で行うので、三脚の高さ、位置、角度を迅速細やかに調整しながら撮影しています。太陽は待ってはくれず、朝日ならではの柔らかいオレンジ色の光を恵んでくれるのはホンの僅かな時間だけ。だから息をつく暇もないぐらい撮影中は集中しています。

という様なことは一旦忘れて頂いて、夜明け前後の染井吉野の情景変化をほぼ時間順に並べましたのでお楽しみ下さい。朝二回分の写真達です。

1 夜明け前、E100VSの蒼い世界に眠る一輪。 2 朝が近づき、蒼い世界に白い光が僅かに射しています。 3 日の出が近づくにつれて、空間は蒼から白へと移ろいゆきます。
4 そして朝、日の出のドラマの前の柔らかな光。 5 日の出の瞬間、オレンジ色と桜の対話。 6 しかし、みるみる太陽の色は変わってゆき、次のカットではこの色に。
7 光が柔らかい内に、桜と朝日の対話を求めて 8 花から花へとカメラは蝶のように飛び回り 9 様々な桜の表情を収めてゆきます。後ろ姿も美しい花は多くありません。
10 太陽が明るさを増すにつれて、桜も目覚めてゆくように感じます。 11 朝日を浴びて輝く一輪。 12 そしてすっかり明るくなった朝がやってきました。
13 朝一番の打ち合わせをしているかの様なペア。 14 朝日の中で歌っているかのような群れたち。 15 太陽はすっかり明るくなりましたが、少し寝起きの悪い花もいるようです。
16 太陽高度が高くなると、逆に柔らかな光を求めてアングルを真逆光から変えてゆきます。 17 木陰で群れて咲いていた花たちも、太陽を浴びて起きたようです。 18 レンズをマクロアポランターからプラナーに替えて、柔らかな光と柔らかな表情を求めて群れて咲く花を狙います。
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19 これから賑やかに騒ぎそうな沢山の花たちも、まだ静かに佇んでいるようです。
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一本桜の日常

今年も一本桜を数カ所巡り歩きましたが、かつての湯来の枝垂れ桜撮影の様な、自然条件に恵まれた中で計算しつくしたフォトジェニックな情景を撮影することが困難になりました。逆に今年はテクニックを使わない、素直な目線での一本桜の写真をご覧頂きます。
20 金谷の城山桜遠景。 21 桜は山の上にあり、眼下の村を見守っています。 22 年輪を重ねた、荘厳さのある枝振り。
23 湯来の枝垂れ桜。今年は一枚だけ。他にカメラマンが居るとこの場所は邪魔なポジションなんです。 24 龍福寺の枝垂れ桜。桜も門も百年以上の年齢を感じさせます。 25 腰から上を少し傾けて、優美な姿で咲く枝垂れ桜です。
26 袖を翻して本堂を淑やかに彩り。 27 下から見上げれば、紅桃と石垣の風情あるコラボレーション。 28 真下から太陽に向かって。枝垂れ桜の優美な舞
29 森湯谷のエドヒガン。日の出前の柔らかなピンク。 30 太陽が顔を出して色がオレンジに変わり、少しドラマティック。 31 田植えの前の、水面に映る優美な姿。
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32 近づけば、樹齢300年の大きさを実感。 33 その力強さを表現するために、根元にしゃがみ、朝日を入れて超広角で撮影。
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