2/2にキヤノンの新しいフラッグシップEOSー1Vが発表になりました。発売は3月25日です。その概要をキヤノンのホームページで見てきましたので、感想を書いてみましょう。
まず主な特徴は
・45点エリアAF(EOS3と同じですが、視線入力は無し)
・マグネシウム合金カバーを採用した、EOSとしては600シリーズ以来の表面まで金属ボディ。
(但し底蓋はプラスチックの様ですね。グリップはもともとプラスチックです。)
・クイックリターンミラーを採用しながら、最高秒間10コマのモータードライブ
(キャノンの意地にかけてニコンF5を超えてきましたね。サーボAF時でも9コマです。)
・撮影データ記録システムと、パソコンとの接続(ミノルタα9と似た機能)
・EーTTL自動調光システム(ひと世代前のKissにすら付いていた機能がやっと付きました)
価格は本体270,000円、ニッケル水素パックを使うと秒間10コマを可能にするパワーブースターを装着したHSモデルは、ニコンF5と同じ325,000円です。
最初の印象はEOS 1N + EOS 3 + Nikon F5 + Minolta
α9 = EOS-1Vといった感じでしょうか?機能性能的にはフラッグシップ達の良いとこ採りをしたようなカメラです。しかしα9のウリであるアキュマットスクリーンはありません。ニコンF5のRGB測光もファインダー交換もありません。そこは良くも悪くもEOSのままです。
45点AFについては、EOS3の経験からすると多すぎて煩雑ではないかと思います。私はEOS3の測距点を11に限定して視線入力で使っています。その方が視線入力の迷いが少ないし、手動で選択するときにも煩雑さが軽減されるからです。EOS-1Vには視線入力がありません、と言う事は常に手動選択で撮影することになり(注;全自動モードもありますが、あれは測距エリアの中で最も近い物体にピントが合うので使い勝手は良くありません。EOS1クラスで全自動モードを使う人は少ないと思います)、測距点選択ボタンを押しながらメインダイヤルとサブダイヤルを回わして45もある測距点から一つを選ばなければなりません。これはやってみれば分りますが、いらいらします。キヤノンもその辺りは分っているようで、今回測距点の登録機能が付いています。ボタン一つで登録した測距点が選択されるものです。実際45も測距点があっても、良く使うのは3〜4箇所のみでしょうから役には立ちそうです(登録出来る測距点は一つのみみたいですが)。使い勝手がどの様なものか試してみたいと思います。
測距センサーがクロス配置になるのが、画面中央部の縦列7個のみと言うのもEOS3以来の不満です。実際には横方向にずらして主被写体を置く構図の方が多いはずで、クロス配置センサーは横方向にこそ欲しい機能です。測距点を減らす代わりにクロス配置測距点を満遍なく配置し、輝度にあわせて更に二種類のセンサーを使い分けるF5の方が実際の現場では使いやすいのでは無いでしょうか?EOS3とEOS-1Vの場合は位置によりセンサーの性能が決まっており、暗いレンズだと使える測距点の配置が勝手に制限されてしまいます。
とうとうEOS1シリーズのボディにも金属カバーが採用されました。純粋に機能性能だけを見ればメインフレームは金属だとしても、カバー部分はエンジニアリングプラスチックの方が上のはずですが(異なる弾力値の材料を組み合わせた方が、より高い衝撃吸収性を実現できます)、ユーザーとしては高額製品にプラスチックボディというのは受け入れ難いのでしょう。ニコンもかつてF4にプラスチックを採用し不評をかい、F5では金属ボディに戻しました。ミノルタα9も金属ボディを採用して、逸品としてそれなりの品質評価を得ています。その様な中でとうとうキヤノンも金属ボディに移行せざるを得なかったのでしょう。個人的にはちょっと意外な感じがしますが、この変更を喜ぶ友人も多いので、まぁ良いか?(果たして貯金は十分かな?ご友人の方々..)
個人的には黒塗装のマグネシウムカバーには興味ありません。フジTXー1の様にチタン地に本木目のグリップだったら心動かされますが....チタン程ではないにしても、マグネシウムカバーは万が一落としたときの修理費(カバー部品代)が高くつきそうです。こんな事を考えるのは、落下品ジャンクEOS3を修理して使っている私だからでしょうが(笑)。
(つづく)
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