ケンコー・ピンホールレンズを買いました。
何年か前にピンホールカメラの特集がカメラ雑誌に掲載され、それを読んで「いつか私も作ってみよう」と思っていたのですが、なかなか実行には移せずにいました。一眼レフ用のピンホールレンズといえばボディキャップを加工して作るのが定番ですが、工作精度を上げるのが難しいのと、露出データを集めるのに試し撮りを繰り返さなければならないなど、実用の域に達するまでに結構手間暇かかります。そんな事を思っていたある日、ケンコー・ピンホールレンズの発売記事を見て、自作の苦労と費用を思えば「安い!」と思ったのが購入の引き金でした。さすがメーカー製で、抜群の工作精度と、キチンとした露出データがついているとのこと。発売記事を読んだその週末には注文していました。
ケンコー・ピンホールレンズは注文殺到のヒット商品のようで、4月半ばに発注したのに、一カ月後の5月連休明けまで入荷しないとの連絡がカメラ店からありました。しかし超常連の私が「え〜〜っ、連休中に使えないのぉ〜」と駄々をこねたら、カメラ店の店長さんが全国のチェーン店の店頭在庫を探してくれて、京都にある在庫を取り寄せてくれました。それで無事連休中の5月初旬に購入となりました。価格は定価でレンズが4600円、マウントが2500円です。私の購入価格は、それはまぁ...ヒミツという事で(笑)
ピンホールレンズの作りですが、驚く無かれいまどき珍しい金属鏡筒で、しかも可動部分が全く無いため、無垢のダイキャスト製です。小さいながらずっしりした重量感は、古き良き時代を彷彿させます。別売のマウントも無垢の金属製で、金属ボディの古いカメラに似合いそうです。ピンホール部分は実際に穴が明いているわけではなく、光学ガラスの上に遮光塗料が塗られていて、0.2mm径の正確な真円の穴が塗料部分にエッチングで明けられています。
レンズ前面には、46mmと49mm径のフィルターネジが切られていて、フィルターワークが楽しめます。また、マウントはケンコー製のソフトレンズシリーズ等と共通になっています。レンズにはマウントごと収納できるケースが付属しています。
一眼レフ用のレンズスペックは50mm F250です。50mmはフランジバックの寸法、ピンホール口径が0.2mmなので、F値は250という訳です。もちろん絞りは固定です。但しピンホールレンズそれ自身には焦点距離がありません。穴の位置からフィルム面までの位置までが焦点距離になりますので、蛇腹式のビューカメラとか、ベローズとかを使うと、ズームレンズになります。その場合でもフィルム面までの距離が分ればF値が正確に分り、露出を決めることが出来ます。また中間リングを使っても焦点距離を伸ばすことが出来ます。但しEOSの場合は中間リングだけをつけると、レンズへの電子回路がエラーとなり、カメラが作動しなくなりますので、中望遠ピンホールという使い方は出来ませんでした。(中間リングをひとつ犠牲にして電子接点を殺せば使えますが、勿体ない...)。
では撮影方法を解説書にそって書いてみましょう。
1. カラーネガフィルム、またはモノクロフィルムを勧めています。ネガフィルムの場合には、天候、光の状態によるシャッタースピード一覧表が有るので、それで露出を決めます。リバーサルの場合は、カメラに他のレンズをつけて、F11で露出を計り、その+9段のシャッタースピードにして撮影しろとあります。加えてその露出値から+1段〜+2段ぐらいの段階露出も必要とのこと。長時間露出による相反則不規による補正です。
2. カメラを三脚に取り付け、50mmの焦点距離のレンズ(ズーム可。その場合は50mmに合わせる)をつけて構図を決めます。この時に露出も計ります。F250のピンホールレンズでは、余程の明るい状態でない限り、ファインダーは真っ黒けでフレーミングは出来ません。
3. レンズを取り外し、ピンホールレンズをつけます。
4. マニュアルモード、又はシャッター優先モードにして撮影します。当然ケーブルレリーズは必需品です。
以上が手順です。
露出の決め方にある+9段という値ですが、+9段と言われてもピンと来ませんよね。説明書にはちゃんとシャッタースピードの関係の一覧表が掲載されていて、1/500秒の時に1秒になる補正でした。しかし私はこれを読んで首をかしげてしまいました。F11で計って+9段にするなら、F8で計って+10段にするのも同じ事。なぜ1/500秒→1秒という500倍の補正をするのでしょう?+10段なら1/1000秒→1秒なので、丁度1000倍です。こちらの方が計算しやすいのに...で、私は実際の撮影でF8測定、1000倍露光という方法で撮影しましたが、露出は完璧でした。
続く
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