廉価標準ズームと、最新鋭のマクロレンズ。メーカーも違い、値段は3倍ほども違う。この二つのレンズを同時に取り上げる意味がお分かりになりますでしょうか?今回のつぶやきのお題は
「開放絞りが、絞り開放にならないレンズ」
です。
廉価標準ズームのほとんどは開放絞り値が変動します。その中にあってペンタックスFA28-70mm
F4は固定絞りのレンズとして登場し、評論家から高い評価を得ています。一般的に開放絞り値が変動するズームにおいて、ペンタックスの固定絞りの秘密は何か?これは簡単なことなのです。絞りが明るくなる広角側において、絞り込んでいる!このレンズを観察した感じでは、光学系自体の設計は恐らくFA28-70mm
F3.2-4ぐらいで、広角側にズーミングすると、連続的に最大2/3段分ぐらいまで絞りが絞り込まれる様になっています。
この様な細工というのは、ペンタックス、ニコン、コンタックスなどのカメラでは重要な意味を持ちます。これらのカメラでは絞りはレンズ側の絞りリングによって決められます。このリングにはF5.6とかF8とか目盛られていますが、余程凝った設計をしない限り、絞りリングの目盛は開放値から1段、2段絞り込まれたポジションという意味を持ちます。もし開放値が変動すると、その変動に伴ってF5.6とかF8とかのポジションも、もはや本当のF5.6やF8では無くなってしまいます。一部には開放絞りの変動に連動して(ちゃんと)絞りリングそのものが動くレンズもあるようです(つまりF8にしたつもりが、ズーミングによってF9.5とかに絞りがずれてしまう)。これでは使いにくくて仕方ありません。
ペンタックスFA28-70mm F4は、ズームリングに連動して絞りメカニズム全体が動いて広角側ではF4になる位置まで絞り込まれ、その位置を起点として、絞りリングによって更に1段、2段と絞り込まれて行く構造になっています。その結果、極めて使いやすいレンズが出来上がったのです。その代償として、開放絞りが絞り開放にならない〜つまり開放でもボケの形が丸にならない事を甘受しなければなりません。
この様なレンズ設計というのは、キヤノンEOSとミノルタαでは全く意味を持ちません。何故ならこれらのカメラに於ける絞り制御はカメラ側にあり、レンズ側もROMを持っていて、焦点距離に応じて開放絞り値と、例えばF8という絞り値が開放から何段目にあたるかという情報をカメラに伝えることにより、絞りは常にカメラ側から完全電子制御されるからです。つまり撮影者は開放絞り変動を一切気にすることなく、F8で撮りたければF8に合わせればよく、あとはカメラ側が全自動で制御してくれます。更に素晴らしいことは、開放絞り変動レンズの絞り開放で撮りたいときには、広角側で開放絞り値に合わせれば全てが事足りる事です。望遠側にズーミングして開放値が変動しても、それがカメラ側に伝わり適正露出となるようにシャッタースピードが制御されます。そこからまた広角側にズーミングすれば絞り値が明るくなり、絞り込まれたままということがありません。どのようなレンズでも丸ボケが欲しいときには、常に得られる。その代償も無い。これがキヤノンEOSとミノルタαの世界なのです。
と、ここまでキヤノンEOSシステムを持ち上げておいて、次に落とす時間が来ました(笑)
つづく
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