コニカが一眼レフから撤退して久しいです。その間、不思議なことにその一眼レフ用のヘキサノンレンズの評価が高まり、中古は高値で取り引きされるようになりました。私はコニカ一眼レフの黎明期からヘキサノンレンズを使っていますが、基本的にコニカのカメラが廉価グレードの為か、私の記憶の範囲においてカメラ、レンズ共にそれらが現役時代に高く評価されたことは全く無かったと思います。それが製造中止になり、一部の通のプロがヘキサノンの描写を語った途端にこの評価....複雑ですねぇ。なにか昔の作曲家や画家に通じる物があります。今でこそ有名な作曲家や画家も、現役時代には曲や絵が売れず食うに困った場合がほとんどです。その作曲家や画家の死後に評価が高まっても、その金銭的な恩恵に預かれるのは彼らの作品を現役時代に二束三文で買っていたオーナーの方で、創造者の方ではありません。コニカも一眼レフを発売しているときには売れずに困り撤退にまで追い込まれたのです。そして現在の中古高騰で恩恵に預かっているのはコニカではなく、古いレンズを持っているオーナーと中古売買する店の方なのです。いやはや...
ヘキサノンの名声が高まったのは、必ずしも一眼レフ用のレンズの再評価だけとは言えませんね。ヘキサーについた35mmF2レンズ、Lマウントの60mm
F1.2など、本当に素晴らしいレンズの登場もありました。それらを含めてヘキサノンの名声が高まり、その波に乗ってヘキサーRFとMヘキサノンシリーズをコニカが売りだしたのは正解でしょう。コニカにしては実に上手くマーケティングしていると思います。ところでこのヘキサーRFシリーズ、ボディは168000円、50mm
F2の価格ですら72000円もします。28mm F2.8に至っては113000円!往年のコニカ一眼レフ&レンズは上級機でもこの1/3ぐらいの値段でした。28mmなら1/4ぐらいの値段で買えたでしょう。つまりこの10年ぐらいの一眼レフの撤退によって〜実に不思議なケースですが〜ヘキサノンは廉価ブランドからプレミアムブランドに変貌しているのです。
ここまでヘキサノンの名声が高まると、コニカの35mm一眼レフの復活を望む声が高まるのは当然でしょう。折角のヘキサノンARレンズを入手したとしても、それをまともに使いこなせるコンディションと機能を持ったカメラボディは入手困難だからです。仮にコンクールコンディションの一眼レフボディを入手したとしても、コニカの一眼レフは全てシャッター優先AE機のため、レンズの描写(つまり絞り)を思う様にコントロール出来る機種がありません。無理にAEを使わずマニュアル露出に切り替えた場合でも、絞りは1/2段ごとにクリックがありますが、シャッターは一段刻みの為、厳密な意味での絞り優先マニュアル撮影が出来ません。だからこそ最新設計による最新のAEを搭載した一眼レフボディの登場が望まれます。
その場合、レンズも新しい物が求められますよね。昔のヘキサノンにはそれなりの良さがあるにしても、やはり時代を感じずにはいられません。あの描写を保ったまま、最新のコーティング技術やレンズ設計技術を駆使して現代でも通用する一眼レフレンズを見てみたい物です。早い話、Mヘキサノンが一眼レフで使えたら言うことないでしょう(価格を除いて〜これは安くして欲しい)。
さて、コニカの新しい一眼レフに最新のAEを組み込むとなると、問題が発生します。コニカARマウントには絞り値をボディ側に伝達するメカニズムがありません(つまり絞り優先AEがそのままでは出来ない*下記参照)。また仮に往年のニッコールの爪の様な物を付加したとしてもARレンズの絞り回転角ではクリックの幅が狭すぎて、1/2段とか1/3段という絞り操作が極めて困難です。それ以外にもレンズの距離情報が最新のAEには必要です。最近流行の撮影データ記録対応を考えるとズームの焦点距離情報とかも必要となり、結局、様々な情報をボディとレンズの間でやり取りする仕組みが求められます。結局何が言いたいのか! コニカは従来のARマウントを放棄して新しいマウントを興すべきでしょう。
新しいマウントによる21世紀のコニカの一眼レフはどのように有るべきか...
(* 後で冷静に考えたら、ニコン最新鋭機の様にボディ側で絞り値を設定すれば、ARマウントでも絞り優先AEは可能です。但しARマウントにはレンズ側の最小絞り情報を伝達する手段がありませんので、全てのレンズが該当するF16までで割りきる必要が有りそうです。また開放値変動型ズームレンズだとどの様に絞り制御するのか疑問が残ります。)
つづく
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