前回つぶやきからの続きです。
前回のつぶやきで語ったデジカメの条件を満たす姿には二通り考えられます。
第一の姿は現在の一眼レフの代替となるデジカメです。その場合の私の要求性能は、
1)EOSマウントの一眼レフで、EOS3並みの性能を持つこと
2)画素数1000万〜4000万クラス
3)安価なこと(笑)
画素数がとても多いように思われますが、本当に銀塩にとって変わるとすればこれぐらいの解像度は必要です。現在2700DPIのフィルムスキャナーで画像読み取りしていますが、その際のデジタルデータがほぼ1000万画素相当です。
一方で一眼レフカメラ用のレンズの解像度といえば、悪くてもミリあたり100本、良質なレンズだと200本近くに達します。もちろんISO50〜100クラスの銀塩フィルムはこの解像度を完璧に受け止めます。これを単純にデジタルで再現しようとすると、ミリ100本の性能でもミリ200個の画素が必要になります。これを36mm
x 24mmに展開するとほぼ3500万画素が必要になります。しかしこう書いていて自己矛盾に陥りました。小さなCCDで画素数を増やしても画素一つあたりのシリコン体積が小さくなって階調などの画質低下をきたすと書いたばかりなのに、36mm
x 24mmのCCDで1000万画素以上にもすれば画素当たり面積は現在の400万画素クラスのCCDと大差有りません。この考えはCCD側の画質革新が出来るまで捨てることにしましょう。
第二の姿(これがKENの欲しいデジカメの姿ですが)は、銀塩フィルムと共存し補完しあうデジカメです。デジカメ最大のメリットであり、銀塩に出来ないことが、撮ったその場で結果確認することです。銀塩、特にポジフィルムの場合は現像しないと結果が分からない上に露出が微妙なので同じカットを沢山撮る事(段階露出、有り体に言えば下手な鉄砲も...)をしています。これって無駄な上に、そこまでしても上手く撮れているとは限りません。ネイチャーの被写体(それ以外でもそうですが)の殆どは一期一会のものです。その被写体を確実に魅力的にフィルムに収めるために、その場でテスト撮影と確認が繰り返せるデジカメがあったら素晴らしいと思いませんか?
このデジカメは必ずしもカメラである必要はありません。一眼レフの裏蓋と交換するデジタルバックでも良いのです。テスト撮影と2Lぐらいの液晶モニターでの確認なら100万画素ぐらいあれば事足りそうです。その代わりに階調表現は銀塩同等の物が必要です。もちろん画素数がもっと多くてデジタルの作品が撮れても(CCDの階調再現性能が犠牲にならなければ)一向に構いませんけどね。
この様なコンセプトのデジタルバックには大きな技術課題があります。テスト撮影に用いますから、その画像は本番撮影で使うフィルムと同じ色調、階調、感度を再現しなければなりません。しかしCCDと銀塩の特性は自ずと異なります。また仮にCCD上での特性が同じだったとしても我々が確認するのは液晶モニター上ですから、液晶モニターに再現される画像とポジフィルム上に再現される画像が一致しなくてはなりません。ですからCCDに記録されたデータを液晶上できちんと表現する変換ソフト(ノウハウ)がカナメになるのです。加えてフィルムには色々な種類がありますので、できればそれら全てに対応して欲しい物です。
この様な技術課題を持つ商品を作るのにもっとも相応しいメーカーはどこか?それはフィルム特性のデータを持っているフィルムメーカーでしょう。あるいはフィルムメーカーと提携した液晶のシャープかも知れません。その商品にはベルビアモード、プロビアFモード、あるいはE100VSモードなどの各種フィルムに対応したモードがあり、CCDに記録されたデータをフィルム特性に忠実に液晶上に再現するのです。もちろん新種のフィルムが発売になればROMの書き換えで新しいフィルムにも対応します。この様なデジタルバックが主要一眼レフ用に発売されれば、35mm一眼レフの撮影スタイルは根底から変わりえます。露出、ライティング、あるいは構図までもがその場でいろいろ試せて確認でき、確信を持って銀塩フィルムで本番撮影するのです。相手が動かない花、風景、スタジオでの商品撮影、ポートレート撮影などで威力を発揮しそうです。
この様な商品を各社マウントに対応したデジタルカメラとして発売する手も有るかも知れません(一瞬、タムロンアダプトールの逆を行ってカメラ側マウント交換式デジカメも考えました)。しかしこれは個人的に熟考して望ましくないとの結論に達しました。カメラにも色々な特性があります。EOSとペンタックスMZではAEで1段ぐらいの違いは良くおきます。同じEOSでも機種ごとAEの特性は異なります。その特性の違いをフィルムバックを作るはずの第三のメーカーが完璧に把握するのは困難だと思うからです。だから裏蓋と交換するデジタルバックの方が良いでしょう。
35mmカメラは一旦フィルムを装填したら裏蓋交換できませんので、私の提案は同じカメラが二台必要になります。ある意味において無駄ですが、しかしテスト撮影用デジタルバックに求められる精度を考えると致し方ないでしょう。
この様な商品がもたらす撮影スタイルというのは、35mmカメラよりもむしろ中判、大判カメラの方が相応しいかも知れません。しかしこちらの世界に踏み出るには35mm画面サイズの数倍というCCDを開発しなければなりません。当面先のことですね。
私の提案するようなデジタルバックを作るのはどのメーカーでしょう。フジフィルムかシャープか、あるいはコダックでしょうか?36x36mm
CCDを実用化したコダックが一歩抜け出した様に見えるかも知れませんが、多分コダック自身はCCDを作っていないでしょうね。半導体専門メーカーからのOEMでしょう。個人的な想像ではコダックが発売してRVPモードや森羅
モードを搭載してくれるとは思えないのでシャープの方が良いかな?とも思います。一方でフィルムメーカーの立場に立てば、いち早く自社フィルムモードを搭載したデジタルバックを売り出せば自社のフィルム売上に貢献出来ます。特許などで他社の参入を防げればフジ独占の日本における二位以下のメーカーには起死回生の手段かも知れません。
どのメーカーにせよ画素数を欲張らずに別体2Lサイズ液晶モニター込みで10万円ぐらいで発売したら馬鹿売れだと思うのですが、如何でしょう?
メーカーさん読んでますか? |