広島県庄原市にある国営備北丘陵公園は広島有数のコスモスの名所で、園内の広大な「花の広場」には130万本のコスモスの花が咲き誇ります。9月15日から10月21日までは「秋祭り」が開かれ、コスモスを中心に様々なイベントが催されます(期間は2001年のもの。期間は多少の前後がありますが、秋祭りは毎年行われます)。私は9月16日(日)にコスモス撮影に出掛けました。
前回のつぶやきに書いたように、この日私は朝5時に家を出て、朝7時前には丘陵公園周辺の野原で撮影をしていました。この季節、三次盆地に隣接する庄原は濃い朝霧が出やすく、花や葉につく朝露が期待できたからです。期待は当たって、公園周辺の野原にあったコスモスの群落は朝露をいっぱいに身にまとい、朝日の中でキラキラと輝いていました。しかし公園の開園は太陽高度も高くなり、霧も晴れた後の9時30分。開園と同時に入園しましたが、花の広場のコスモスは朝露のかけらも身に付けていませんでした。これだけ大量のコスモスが朝露をまとったら見事だと思いますので、早朝から入園出来ないことはカメラマンとしてちょっと残念です。
私は写真撮影を再開して以来、毎秋、備北丘陵公園を訪れています。その過去の撮影データを見ると9月下旬がほとんどです。一番の撮り頃はお彼岸の週末、20日過ぎだと思います。コスモスは密度高く花が咲くため、周囲に花弁の傷んだ花があると撮影に苦労します。だから傷んだ花の出る満開では写真撮影に遅すぎ、5〜8部咲きぐらいの方が却って撮影しやすいです。その意味で9月下旬がベストでしょう。しかし、花の開花時期は毎年微妙にズレますので、今年は下見を兼ねて9中旬に訪れてみました。
今年の花壇は大きく3つのグループに別れていました。ひとつはオレンジのコスモスで、例年早く咲く物です。これは既に満開を過ぎていました。残りの二つは普通のピンクや白、赤といったコスモスですが、植えた時期が異なるのか、ひとつは5部咲き、もうひとつはまだ殆ど開花していませんでした。きっと秋祭りの期間全体でコスモスを楽しんでもらおうという公園側の配慮かもしれません。この「花の咲かせ方」はコスモスに限らず色々な花で毎年変わるので、行ってみてのお楽しみです。今年はさらに、花の広場の周囲の塀に青いアサガオを植えつけてあって、数百メートルにわたる見事なアサガオの壁が出来上がっていました。これは今年が初めてだと思います。去年までのコスモス撮影にアサガオの記憶も写真もありません。
結論からすれば、コスモスの状態は今年もお彼岸の週末が撮影にはベストの様です。実際、お彼岸の週末にも庄原に出掛けましたが(但し公園には入園せず)、コスモスの花の状態は最高でした。
撮影には当然ですが、三脚が必須です。コスモスの背丈は高いので(1m〜1.5m)、それに見合う三脚が必要です。それから毎年思うことですが、コスモスは微風でも揺れてしまいます。そんなコスモスの花の茎を(花を傷めずに)揺れないように固定できるような小道具があるとマクロ撮影に便利だろうと思うのですが、私自身まだ開発できていません(^^;
また週末の人出は凄いので、三脚が花見物の人達の邪魔にならぬように、開脚度を狭くして立てる必要も時々あります。ですから中途半端な開脚度にしても脚がしっかりとしている三脚が便利でしょう。もちろんそんな状態では安定が悪いですから、カメラを設置したまま目を離す事は避けなければなりません。
今年から花の広場には大きな「展望台」が出来ました。ゴールデンウィークにチューリップ撮影に行ったときには全く無かった物です。三階建てのこの展望台からは花の広場全体が一望出来ます。ただ残念なのが、展望台自体には椅子などがなく、休憩所にはならないという事です。また屋根が一部にしか無く、吹き抜け状の建物なので、雨が降っても雨宿りにはあまり役に立ちそうにありません。
その展望台ですが、花撮影にははっきり言って邪魔者でした。当日は風が強く、また花の密度も低かったのでマクロ撮影が困難で、広角レンズを使って花壇全体を「花景色」として撮影していました。すると背景にこの大きな建物が写り込んでしまうのです。花の広場は写真撮影のために作られているのではないので、文句は言えませんが....ちょっと残念です。
強風と花のタイミングが少し早すぎた事もあって、「花の広場」であまり充実感のない撮影を6時間ほどしてから「ひばの里」という地区に行きました。ここは公園入り口から見て右手にある地域で、古い農村、農家を再現したような場所です。秋祭り期間中は神楽とか、農家でのそば打ち体験とか、様々なイベントが開催されます。ここには田園もあり、周囲には彼岸花が咲くからです。彼岸花の開花時期は今年訪れた9月中旬がベストでした。なんと今年は黄色い彼岸花が咲いていました。これは去年までは無かった事です。
ただ、ひばの里の彼岸花の量はさほど多くなく、どちらかといえばマクロの方が便利かもしれません。広角などで周りの農家などを背景に取り入れても絵にはなりますが、週末だと人出が多いため、農村に不釣り合いな衣装の人達が写真の邪魔になってしまいます。コスモス/彼岸花に限りませんが、平日に訪れることが出来れば、ゆっくりと落ち着いて、素敵な背景で撮影を楽しめます。
備北丘陵公園の詳細については、つぶやきvol.83をご覧下さい。
備北丘陵公園ホームページ(http://www.bihoku-park.go.jp/
)もあり、こちらの掲示板に質問すると、花の開花状態なども教えてくれる様です。
(追記;9月16日の下見の結果、コスモス撮影は1週間後の霧の出た早朝の野原がベストと判断して、公園からの帰り道にコスモスの群落を色々と探して、最も良いと思われた場所に9月23日に出掛けました。そこで私はとことんコスモス撮影を堪能出来たことを書き残しておきましょう。場所はナイショです(^^;)
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花の広場の中央に出現した展望台。
ご覧のように吹き抜け構造の建物で、雨宿りにはあまり適しません。内部は階段と通路のみがあり、椅子などの休憩出来る施設は何もありません。
この展望台は撮影時の背景の邪魔になるだけは無く、広大な花の広場の景観を中央で分断してしまうために、花の広場が随分と狭くなった気がしました。 |
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展望台から見下ろしたコスモス畑(半分)。
手前が盛りを過ぎたオレンジのコスモス。奥が5部咲きのピンクや白を主体としたコスモス。この写真の右手には、これと同じ大きさのもう一つのコスモス畑があります。ただまだ花は殆ど咲いていませんでした。開花時期をずらす為に植えたのが遅かったのでしょう。
また、この写真を撮っているカメラマンの背中側にももう一つの花壇があります。 |
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9月16日現在、5部咲きだったコスモス畑の花の状態。
まだ密度はまばらで、マクロ撮影は難しかったです。 |
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