♪♪♪ 久々のドキュメンタリータッチの撮影記です(^^; ♪♪♪
2002年9月29日、午前1時半。私は布団から起き上がり、撮影に出かけるために身支度を整えた。
12時頃に床についたものの、その日の仕事のゴタゴタが頭の中を掛けめぐってなかなか寝付けない。予定では4時頃の出発だったが、枕元の時計が1時半を示し、既に起床予定時刻まで2時間を余すだけになったのを見て私は出発することにした。下手に2時間ぐらい寝てしまうと却って頭が冴えずに、運転や撮影に支障をきたすかも知れない。ならば現地に早めに着いてそこで仮眠を取ろうと思ったのだ。これは悪友(もとい、親友)Mが常用する手法らしい。
今年の彼岸花は例年よりも二週間ぐらい遅い。毎週のように三次方面に花のチェックに出かけているが、先々週は彼岸花の芽すら出ておらず、先週は芽は出ていたが殆ど咲いていない状態だった。その観察結果では今週が彼岸花の撮影には丁度良い筈である。そう、今日の撮影目的は彼岸花である。が、夜明けの霧の海の撮影もついでに狙う。
撮影機材は寝る前に準備してある。4x5の機材一式と、EOSの機材。EOSの機材の方はシグマの170-500mmを外して比較的軽量に抑えた。何故ならこれから山登りが待っているからだ。
カメラバッグ二つ(EOS用と4x5用)と、マンフロットの三脚を持って表に出た。全然寒くない。インターネットで天気予報をチェックすれば、県北の三次でも最低気温が16度と暖かい。昨年とは10度も違う。秋が遅いから、彼岸花の開花も遅いのだろうか?そんな事を考えつつ、私は1時40分過ぎにクルマのエンジンをかけた。全く寝ていないので、いつもの早朝撮影の朝の様には眠くない。それで順調に三次方面を目指す。
道中は快適である。2時前後だとクルマも多いのかと思ったが、少なかった。それでいつものKENのペースで三次を目指す。空には半月と星が輝き、半月の光に秋の鱗雲が浮かび上がる。そんな空を時折見ながら快調に飛ばしていると、吉田のあたりで霧が出てきた。しかし本格的に濃い霧ではない。やがて甲立町に入る。霧の名所『岡田山』へ行くならここで県道を離れて右折する。しかし今日の行き先は『岡田山』ではない。インターネットで新しい霧の海観望の名所らしき場所を見つけて、先週下見をしておいたのだ。その場所は富士山。そう、あの日本一高い山・富士山・・・・の筈がなくて別の富士山である。俗称は沢山あり備後小富士とも呼ばれる山である。正式には富士山と書いて「とみしやま」と読む。また登美志山という当て字もあり、これが一番使われているようだ。(富士山ではややこしいから、ここからは登美志山と表記しよう。)
県道から国道54号を経由して三次市内に入り、そのまま国道184号を走り吉舎町(きさちょう)を目指す。吉舎町の市街地に入ると「←とみしの里」という看板にさそわれて国道を左折する。ここからクルマは深い霧に包まれつつ山を登って行く。そして午前3時丁度に、登美志山の麓にあるキャンプ・宿泊施設の「とみしの里」の駐車場に到着した。あたりは暗く、そして濃い霧に包まれていた。
ここで夜明けまで仮眠である。私は足もとが広い助手席に移って、シートを倒した....ウッ、寝にくい。私のクルマは普通の4ドアセダンである。最近流行りのミニバンならば室内で寝るための工夫も色々あるが、私のセダンにはそれが無い。加えて私はクルマのシートにウルサイ(笑)。普段座るときの性能には拘るのだ。そんな拘りでクルマを選んだ結果、私のセダンのシートは4座が全てモコモコした形をしていて、いざ寝ようと思うとどの席もデコボコで寝にくいこと極まりない。一番マトモな助手席で寝ようとした場合、シートを倒すと腰のあたりに大きな段差が出来てしまい、数分で腰が痛くなってきた。それに秋にしては暖かいとはいえ、山の中。寝るには少し寒かった。
私はクルマのトランクから常備のシュラフを取り出してきた。そしてその半分を腰の下に詰めてシートの段差を埋め、残りの半分を上半身に掛ける様にした。シュラフ横方向にして、腰の下と上にコの字に巻きつけたのだ。これで大分快適になった。しかし寝ようと思うと、例の仕事のゴタゴタがまた頭の中で回り出す。私はこれを打ち消すために、カーステレオをとても小さな音でBGM的に流した。その効果があってか、3時半ごろには眠りに就いたようだ。
ふと目を覚ますと、周りが明るい。クルマの時計を見ると5時56分。「やっべ〜、日の出まで10分無いじゃん!。」私はすぐに起きて外に出た。周りは相変わらず深い霧に包まれていた。私は登美志山・山頂が晴れているかどうか、霧の上に出ているかどうか不安に駆られながら、EOSの入ったカメラバッグと三脚を持って、山を登りだした。登美志山の山頂へは駐車場から標高差約80m、10分ほど山道を歩かなければならない。通常の山道ならさほど苦も無いのだろうが、全行程がかなり急な階段なので、歩きにくいし、キツイ。
睡眠不足、朝食抜きの体にはさすがにこたえて、ちょっと「ぜ〜ぜ〜」いいながら、10分弱で山頂に着いた。しかしそこは不安的中、霧の中であった(涙)。
私は頂上の展望台/休憩所でしばらく休憩して息を整えた。登美志山の標高は471m。決して低い訳ではなく、高谷山とも大差無いが、霧に呑まれてしまっている。実は先週下見に来た時にも霧に包まれていたのだ。登美志山は初日の出観望や、霧の海からの日の出が有名な場所という事になっているが、運に恵まれないと何も見えない場所の様である。それが知られているのか、日曜の晴れた朝の今日も、この登美志山・山頂には誰もいない。昨年の今ごろも「秘密の霧の海観望スポット」で霧に呑まれて苦労したなぁ...霧撮影はやっぱり岡田山なのだろうか...
私は息が落ち着いてから、すぐに山を下りた。彼岸花の撮影場所に移動する為である。その場所も同じ吉舎町にあり、ここからクルマで10〜15分ほどで着く筈だ。
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霧に包まれていた、日の出の時刻の登美志山・山頂。ご覧のように屋根付きで、ベンチのある休憩所がある。手前の赤白のポールが山頂の三角点。天気が良ければ、広大な風景が見えるのだと思うけど、私は二度ここに来て、二度とも真っ白な情景しか見ていない(^^; |
続く
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