シグマの標準マクロと望遠マクロである、Sigma
AF50mm F2.8EX Macro, Sigma AF105mm F2.8EX Macroを所有されている人も多いでしょう。ところで、このフードをどのように収納されていますか?これが本日のお題です(笑)
シグマの新世代マクロはEXシリーズとして1998年に発売になりました。先行する自社/他社マクロレンズを研究して意欲的なスペックで登場。105mmマクロは単体で等倍まで接写できるようになり(先代シグマ90mmマクロは先代タムロンマクロ(52BB)同様に1/2倍まで)、AF/MF切り替えフォーカスリングの採用によりMF時にも良好なフィーリングを獲得(これは新タムロンマクロと同じ)、鏡筒の仕上げは高級感溢れるダークグレーに金属粉を混ぜたようなEX仕上げになりました。50mmマクロの方は先代から等倍撮影できたためもあり改善点はさほど多くなく、EX仕上げの鏡筒の採用ぐらいでした。しかしもう一つ、両者マクロに共通する変更がありました。それが金属製のねじ込みフードの採用です。メーカーの説明に拠れば偏光フィルター使用時の操作性が良いとの事でしたが、マクロ撮影時には殆ど偏光フィルターを使わない私には疑問の多い変更でした。
何故なら、ねじ込みフードは撮影開始時、終了時、フィルター交換時の操作がワンタッチではなく、面倒だからです。それ故に最近発売されたレンズで専用ねじ込みフードを採用している35mm一眼レフ用レンズは他に殆ど無いと思います(ペンタックスの一部とコンタックスぐらいでしょうか)。おまけにこのフード、収納時に逆付けできません。なんとか鏡筒に被せる事は出来るのですが固定されませんので、カメラバッグの中で外れたり、バッグから取り出したときに落としたりします。しかも金属のフードとプラスチックの鏡筒がこすれ合いますから、傷つきの危険性はかなり高い物です。
このレンズを愛用している某プロは、ハンカチを鏡筒に被せて、その上からフードを装着することで傷つき防止とフード脱落抑止を計っています。しかしハンカチをいつもカメラバッグの中に忍ばせておくのも面倒ですよね。
そんなレンズの欠点を知ってはいましたが、私はSigma
AF50mm F2.8EX Macroを購入しました。マクロ屋の私としては標準マクロも戦列に加えておきたいという気持ちがあったからです。EOS3で使える等倍標準マクロには選択肢がありません。キャノン純正マクロは1/2倍までしか単体では撮影できませんし、性能に比してとんでもなく高価です。旧シグマ50mmマクロはEOS3で作動しない筈で、ROM交換の可否も怪しいのです。従って新型シグマしか選び様がありません。ただこのレンズは性能は確かで、かつ価格もKEN向きでした。だから中古Sランクで手ごろな価格の物が出たときに、速攻で発注しました。殆ど未使用の元箱、取り説、付属品完備(但し一点を除く)の中古で購入価格は福沢さん一人です。
このレンズ、フロントキャップ一点だけ欠品でした。普段ならその場で55mmのレンズキャップを購入するのですが、何故か私は購入せずに帰宅しました(虫の知らせ、とでも言うのでしょうか?)。そして自宅で適当なレンズから55mmキャップを取り外してこのレンズに付けて、フードを逆向きに被せてみましたが、案の定固定されません。手持ちの様々な55mmキャップ(シグマ、ミノルタ、タムロン、コニカ、コンタックス)を付けてみますが、全く被せることの出来なくなるキャップこそあれ、フードが上手く脱落しないように嵌るキャップはありません。
このフード、「肉厚」の金属製で内面には反射防止溝もあり、表面は鏡筒のEX仕上げに合わせてちょっと結晶塗装風になっています。単品で見ると超高級レンズ用かと見間違うほどの質感があります。少なくともコンタックスGシリーズ用の金属フードを持った時の品質感において上回り、最近のプラスチック全盛フードとは異次元の逸品です(コシナのレンジファインダー用フードには負けます)。
しかしそんなレンズ本体とは不釣合いな品質感のあるフードも、収納時にレンズにきちんと装着できず、しかも下手をすればレンズ鏡筒に傷がつくと思えば珠に傷、エクボもあばた(?)です(−−;
ここから先がKENの特徴だと思うのですが(笑)、例によってしげしげとフードを観察し始めました。そしてフード内面の反射防止溝の状態を見ていたら、フード先端部分の数ミリだけ溝のピッチが異なり、あたかもフィルターネジのようになっているのを見つけました。それで......頭の中に(!)とひらめく物があり、ノギスを取り出してその部分の内径を計ってみました。すると、測定値は72.0mm!
私は同じシグマの180mm F3.5EXマクロから72mmレンズキャップを取り外して、50mmEXマクロのフード先端部分に装着してみました。するとピッタリ!!
もともとこのフードはさほど長い物ではなく、レンズ側もコンパクトなので、フードをつけたままでもカメラバッグの中で邪魔になりません。コンタックスGシリーズのレンズや、ペンタックスFA43mmの様にフード先端にキャップをつけるほうがしっくり来ます。それで次の週末に私は55mmではなく72mmのレンズキャップを購入して、このレンズに装着しました。めでたしめでたし.....(笑)
この話を持って私はいつものキタ●ラT町店に行き、T口さんに披露しました。T口さんは半信半疑で店頭にあるシグマ50mmEXマクロのフードをショーケース下の棚の箱の中から取り出し、同じく店頭にあったタムロンの28-200mm(旧型)の72mmキャップを装着しました。すると(当然)ピッタリ嵌りました。
さて、次なる期待は105mmEXマクロ用のフードです。これも箱からフードを取り出し、とりあえず店頭にあったEF70-200mmF2.8Lの77mmキャップを付けてみました。するとやっぱり「ピッタリ」嵌りました。105mmEXマクロ用のフードはある程度長さがあるので、レンズに装着したままだと結構嵩張りますが、しかし70-200mmF2.8ズームや180mmマクロ程度の長さでもあります。だからシグマ105mmEXマクロをお持ちで、カメラバッグの中に180mmマクロ並のスペースを準備出来る人は、77mmレンズキャップをフード先端に被せる様にすれば、撮影開始時、終了時の作業の迅速化が計れると思います。
最後にこのフードの他のレンズへの応用について考えてみましょう。前述の様に単品では最近の工業製品とは思えぬ程の品質感があるフードです。色がグレーなのが残念で、もし黒だったら装着して似合うちょっと古めのレンズは沢山あるでしょう。色の点だけに目をつぶれば(あるいは心得のある人なら塗装してしまえば)、先端にキャップ装着可能な肉厚金属製汎用フードになります。55mm標準レンズ用、58mm望遠レンズ用フードとしての活用を考えてみては如何でしょう?価格は分かりませんが、部品として取り寄せてもシグマのフードですからさほど高い物では無いでしょう。
二つのEXマクロフードの先端部分にレンズキャップが装着できるのは偶然ではないと思います。計ったかのようなフード内径、しかもフード先端部分だけをフィルターねじの様な細かいピッチの溝の処理にする。明らかにこのフードを設計した人の意図であり、実用を考えた上での心配りです。久々に作った人の顔の見える小品に巡り合った気がしました。
しかし何故、販売する側はこの特徴をカタログや取扱説明書などで公表しないのかなぁ????
※もしこのフードを設計された方がこのつぶやきを読まれていたら、メールにてご一報願えますか?
(2003.2.17 & 3.1追記。シグマの方からお手紙を受領致しました(^o^)/。その内容、このフードの誕生秘話をつぶやき177にて紹介しています。リンクはこのページの下端にあります。)
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これがSigma AF50mm F2.8EX Macroの標準的な状態。フードは右の写真の用に逆に被せることは出来ますが、固定されません。カメラバッグ等からの出し入れで簡単に脱落します。またフードは金属製の表面がやや粗いものですので、鏡筒への傷つきが心配になります。 |
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こちらはKENの実戦状態。フードはさほど長い物ではないので付けっぱなしにして、先端に72mmのキャップを被せて使います。右端の写真はフード内面の拡大で、ご覧のように先端部分はフィルターを取り付けるかのようなピッチの溝になっています。先端部内径は計ったように72mm丁度です。
Sigma AF105mm F2.8EX Macroでも77mmのキャップを使えば同じ事が出来ます。 |
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(2003.11.10追記)このレンズのフードには2タイプあり、初期型(左側の写真)のフードには72mmキャップ、フィルターなどの装着が出来ない事が判明しました。つぶやき177に「シグマの開発者の方が量産桟をテストして、より使いやすいように改良した」事を記載しましたが、その改良前のフードも世の中には極小量が出回っている様です。
左側はエンゾーさんから頂いた写真です。右側が私のレンズの写真です。私のレンズフード先端には膨らみが有り、72mmフィルターネジが切ってありますが、エンゾーさんのフードの内径は69.7mmしかありません。
105mm F2.8EX Macroの初期型にも77mmフィルターネジの切っていない改良前のフードが附属しています。 |
このフードの誕生秘話、つぶやきvol.177はこちら!
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