以前から撮影時に困っている事があります。撮影時にはカメラバッグを地面に置く事になりますが、ネイチャー写真の場合はその地面が綺麗とは限りません。朝露に濡れていたり、ぬかるんでいたり、あるいは水が流れていたりすることもあります。多少の土や露は汚れる事を覚悟でカメラバッグを置きますが、さすがにぬかるみや水の流れの中にカメラバッグは置けず、持ったままで撮影する事も良くあります。新緑を撮影している時など、地面が朝露にぬかるんでいたので、倒れたススキの穂の上にカメラバッグを置いたら、そのススキの穂に大量の白い小さな虫が湧いていて、ふと気付くとバッグの中外ともに虫だらけだった、などと言う経験もあります。
私がメインで使っているカメラバッグはエツミの「Air
Pack Lサイズ」というナイロン製(?)のショルダーバッグで(既に製造中止品です)、完全防水ではありません。もし濡れたところに置けば表面素材には水が染み込みます。内部まで簡単には水は浸透しませんが、三段峡で突然の豪雨に見舞われて、その中を傘もささずに15分程ずぶ濡れになりながら歩いた時にはさすがに内部に水が侵入しました。従って濡れた場所に長時間カメラバッグを置いておくことは避けなければなりません。
そんな不便を解消すべく、以前から策を色々と考えていました。本命は小型軽量の折り畳み椅子を帯同し、カメラバッグを置く際にはその椅子を使う、というものです。しかしキャンプシーズンに色々と探してみましたが、カメラバッグに簡単に収納できるほど小さな椅子はありませんでした。棒状に折り畳める物は中型三脚並みの大きさ/重さがあり、平型に折り畳める物はバッグに固定出来る大きさにはならないので荷物になってしまいます。
しかし、ある時に別の用途の為に買った「ある物」を見てひらめきました。そしてその「ひらめき」は2003年元旦の夜 〜つぶやき169に書いた様に雪景色の撮影に行きたくなった夜に〜 実行に移されました。
その「ある物」とは、脚部折り畳み式の小さな棚です。キッチンなどで使う為に作られて、100円ショップのダイソーで売られている物です。これをカメラバッグの下部に固定してしまえば、折り畳み式の脚のあるバッグに生まれ変わります。コストは100円、重さも軽く、カメラバッグと一体に出来ればわざわざ別に持ち歩くという手間も発生しません。
一方の私の「Air Pack」ショルダーバッグには不思議な構造がありました。バッグの真下に一組(2本)のベルトが装着されているのです。多分三脚を固定する為の物だとは思いますが、フタの上やバッグの横ではなく、真下なので、もし三脚を固定してしまうと、地面に置いたときにバッグが安定せず「こけて」しまいます。従って4年ほど前にこのバッグを購入した直後に「意味無いじゃん!」と思ってベルトを外してしまいました。この「無意味なベルト」は、今回「まるであつらえたかの様な、折り畳み脚固定ベルト」になりました。
ちなみに私のバッグの大きさは、外寸(ポケット部を含まず)39cm(横幅)x20cm(奥行き)x24cm(高さ)で、ダイソーの棚は39cm(横幅)x24cm(奥行き)x17.5cm(脚を立てたときの高さ)なので、両者は正にあつらえた様な組み合わせになっています。オマケにバッグ側の底についたベルトの位置は、ダイソーの棚の補強桟の位置にピッタリで、装着後は使用中に全くずれなかった事を報告しておきましょう。
折り畳み棚のバッグへの装着の前に小さな改造をしました。それは脚が折り畳まれた状態でも固定されるように、脚の付け根に細工をしたのです。脚の付け根のプラスチックをヤスリで削って細い溝をつけ、折り畳まれた脚がハマル様にしました。
私が数カ月前に購入した物はこの加工をしないと、折り畳まれた脚が固定されません。しかしこの棚をバッグの脚に転用した後で、同じ物をもう一つ購入したら、折り畳まれた脚が固定されるようになっていました。サイズも微妙に小さくなって、幅で1cm弱、奥行きで2cmほど小さくなっていました。製造ロットによって造りは微妙に異なるようです。
折り畳み脚を得たカメラバッグを持って、1月2日に雪景色撮影に出掛けました。撮影地での積雪は10〜15cm程でしたが、この脚のお蔭で雪の上でも気兼ね無くバッグを置くことが出来ました。実に素晴らしい装備です。おまけにこの脚があると、開いたバッグのフタが地面に触れることも無くなり、フタ側が汚れる事も無くなりました。これは雪だけではなく、ぬかるんだ地面や、朝露に濡れた草原などでも役に立ちそうです。
私のバッグには底部に「無意味な」ベルトがあったので、改造は簡単でしたが、棚の固定方法を適当に考えれば皆さんのバッグにも応用出来ると思います(例えばバッグのショルダーベルト固定リングと棚をヒモで結んでしまうとか)。またダイソーの大型ショップに行けば、この折り畳み棚はサイズが各種揃っていて、大きさの異なるバッグにも使える物があるかも知れません。コスト100円ですから、ダメモトで皆さんもお試しあれ!
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