タイトルの言葉はつぶやき135で、4x5カメラ用の6x9ロールフィルムバックを購入した経緯を書いた時に使った言葉ですが、その後も本当に「KENには安く買わせてくれる神様がついている」と思える出来事がありました。
最初に購入した大判カメラ用のレンズは、フジノンT300mm
F8です。これはつぶやき134に綴りましたが、ちょっと他には無い価格(税込み3万円)で入手しています。しかし、大判レンズの二本目、三本目と買い進むにつれて、「ちょっと他には無い」価格は「ちょっと有り得ない」価格に変わってゆきました。
トヨフィールドを購入した直後から、毎週キタ●ラT町店に行き、全国の店舗にある大判カメラ用レンズをチェックしていました(各店舗では、一般公開されているインターネットショップ以外の在庫もチェック出来ます)。300mmの次に欲しいレンズは90mm(35mm換算で26mm)か135mm(同、39mm)です。しかし135mmレンズの方は全く在庫がありませんでした。一方の90mmの方はニッコールのSW90mm
F4.5が二本ありました。このレンズは定価が182000円もしますので、中古価格も安い物ではなく、雑誌等に掲載されている相場は9万円台です。キタ●ラの在庫はそれよりも安価で、一本が8万円、もう一本はなんと限りなく6万円に近い5万円台の価格でした。しかし、いずれも私の予算外です。それにニッコールSW90mm
F4.5は大判用としては大口径レンズで、フィルター径は82mmもあり、大きく重いのでフィールドカメラにはあまり向いていないとされています。
まあ、いずれにしても予算外なので、他のレンズを探しました。ネット上ではフジノンSW90mm
F8が概ね4万円台後半から6万円ぐらいの価格で出ていました。こちらは開放値が暗いので小型軽量であり、フィールドカメラ向きではあります。しかし定価で倍近いニッコールのF4.5が5万円台で出ているのですから食指が動きません。
そんな事を考えていたある日、三重のニシムラカメラさんからメールがあり、トヨの6x9ロールフィルムホルダーが入荷したことを教えて下さった事はつぶやき135に書いた通りです。実はその時にフジノンSW90mm
F8現行バージョン(シャッターが黒のコパル)の入荷もありました。リンホフの広角リセスボードにマウントされて4万円丁度と格安です。実は3万円以内で欲しかったKENはこれでも食指が動きませんでしたが、しかしそれ以上に安いレンズを見つけるとなると古いタイプになりそうなので、「これを買おうか?」と考え始めました。一方の5万円台のニッコールSW90mm
F4.5は多少の値引き代がある筈なので、フジノンF8に1万円ちょっとを加えれば、ニッコールF4.5になります。フィールドカメラ向きではないと分かってはいても、大鼓(おおつづみ)の様な大判用大口径レンズはオブジェとしても美しく、ちょっと憧れる部分があります(笑)。
私はT町に、ニッコールSW90mm F4.5の画像を、それを在庫している店から送付して貰うように依頼しました。そして翌日にはメールで画像が届き、それを見てちょっとビックリ。相場よりもかなり安いので、てっきり旧タイプかと思いきや、シャッターが黒いコパルの現行バージョン、正式名Nikkor
SW90mm F4.5(S)でした。レンズにも傷、汚れなど無いきわめて綺麗なものです。私はこの物件が益々気に入りましたが、価格だけは気に入りません(^^;。それでT町のT口さんにこの悩みを打ち明けました。つまりニッコールSW90mmF4.5が気に入ったことと、フジノンSW90mmF8が4万円(税抜き)である事です。この話はT口さんの心の何かに火をつけたようです(笑)。恐らくは先方の店と交渉をしたのでしょう。数日後に電話があり、税込み4万円台前半で如何でしょうとのオファーがありました。フジノンの方は税込み42000円ですが、これ以外に送料と振り込み手数料がかかるため、事実上の同額です。相場からすればほぼ半額、定価の1/4以下です。もちろん、このレンズを購入することにしました。
レンズが届いてみると、驚いたことにボードがリンホフではなく、トヨフィールド用でした。従ってそのままで私のカメラに取り付けられます。なんと運の良い......。運の良さついでに、このレンズを購入した翌週にT町に中古のシグマAF17-35mm
F2.8-4 HSMの入荷があり、そこには82mm径のプロテクトフィルターが付いていました。T口さんが早速フィルターのみを私にオファーし、私は格安(T口さんの言い値ではなく、その半額の硬貨一枚の値段)でそれをGETしました(笑)。
大鼓の様な芸術品ともいえる大口径超広角大判レンズを眺めていると、良い置物(オブジェ)を買ったなぁと一人満足に浸れます。しかしこのオブジェ、実際の撮影に用いると驚くほどのシャープさと、よく補正された収差、全くのゴースト/フレアフリーの逆光性能で18万円の定価を納得させる仕事をしてくれます。いや、本当にいい買い物をしました(笑)。
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見ているだけでも美しい大判用大口径超広角レンズ、Nikkor
SW90mm F4.5(S)。フィルター径は82mmもあり、4x5フィールドカメラで使うにはチョット大きすぎる感じのあるレンズです。通常のリンホフボードよりも一回り大きな、110mm
x 110mmもあるトヨ45Aボードが小さく見えます。大きさと価格に相応しく、映像生成器としては超一流の仕事をしてくれます。 |
続く
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