タイトルの「衝撃のロールフィルムホルダー」は、私のお気に入りページ「うみょ吉カメラ本舗」の「うみょ吉のぶつぶつ」第34話のタイトルです。そこには4x5カメラ用のトヨ6x7ロールフィルムホルダーに纏わる色々な顛末が書かれています。私も同じトヨ6x9ロールフィルムホルダーを購入して使っているので、今回はその続編として書くことにしました。何故ならうみょ吉さんの「ぶつぶつ」で予習していたにも係わらず、私も「やってしまった!」からです(;¬_¬)。
トヨ6x9ロールフィルムホルダーの詳細と、購入の経緯などは前回つぶやきを読んでください。ここからは実際に使った感想です..
え!そんなはずでは...
トヨのホルダーはピントグラスを外さなくても装着出来ることがウリです。説明書にはピントグラスを外すことの出来ない旧式のフィルムバックの場合には装着そのものが出来ないと書いてありますが、それ以外のことは書いてありません。だから当然私のトヨフィールド45Aにも問題なく装着出来ると信じていました。幸い私の45Aはピントグラスの外せる、しかしレボルビングバックではない縦横差替え式のフィルムバックが付いていましたから。(レボルビングバックは45AIIからの装備で、45Aへの設定は無かったと思います。)
で、試しにと、ピントグラス枠を開いてその隙間にこのホルダーを挿入すると、挿入できました。しかし巻き上げレバーが完全にピントグラス枠の内側に入ってしまい、巻き上げ出来ません。e”!
ピントグラス枠部分の見た目は、取扱説明書に写っているレボルビングバックと私の45Aの差替え式バックとで違いが見受けられません。しかし良く見ると、新しいレボルビングバックは、ピントグラス枠を浮かせたときに、挿入口とは反対側に逃げるようなダブルヒンジ構造になっていました。一方の私の差替え式バックは挿入口側に迫り出すダブルヒンジで、この部分の造りだけが逆になっていました。それで、ロールフィルムホルダーを挿入するとピントグラス枠が巻き上げレバー側に大きく迫り出す為に、巻き上げが出来ません。
もう一つの使いにくさもありました。どうもこのダブルヒンジのレバーの長さが足りないようで、かなり厚いホルダーを差し込もうとすると、時折リンクが外れてしまうのです。これは屋外でも直すことは出来ますが、強力な板バネを拡げてレバーを押し込む必要があるので、爪を痛くします。という様に、古目のトヨのバックでは使いにくいホルダーでした。
もちろんピントグラス枠その物を外してしまい、4x5国際規格の取り付け構造を露出させれば、問題なく装着できます。この状態であればフィルムの巻き上げもでき、連続撮影が出来ます。しかし、屋外撮影で外したピントグラスの置き場所に結構気を使います。
#ピントグラスを外さずに装着して連続巻き上げ可能な裏技があります。巻き上げレバーを巻き上げた位置で止めてから、カメラに装着するのです。すると巻き上げレバーがピントグラス枠の外側に来て、巻き上げ可能になります。その代わり巻き上げ角は本来の1/2ぐらいになってしまうので、沢山巻き上げないと、巻き上げ完了しません(通常でも一回では巻き上げ完了しない)。また、巻き上げレバーを巻き上げた角度で止める事はフィルムを巻き上げる前の状態でないと出来ませんので、1カット撮影後に「つい」巻き上げ操作をしてしまうと、次のコマはもうダメです!
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ロールフィルムホルダーを、旧タイプのバックを持つトヨフィールド45Aに装着したところ。これは連続巻き上げが出来るように、巻き上げレバーを巻き上げた状態で挿入した姿です。ご覧のように巻き上げ角の半分以上を失っていますが、分割巻き上げ可能なので、これでも使えます。
ホルダーを押さえる役割をしているピントグラス枠は、この様にフィルムホルダーを挿入すると手前側(挿入側)に迫り出してくるので、巻き上げレバーを覆ってしまいます。新しいレボルビングバックはリンクの付き方が逆さま(逆Z字)で、フィルムホルダー挿入時には向こう側に迫り出すので、巻き上げが可能になります。 |
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ピントグラスを枠ごと外して、4x5国際規格(別名グラフロック)の部分に付ければ、連続巻き上げも普通に可能です。指で押さえている細長いプレートを上下に動かし、脱着します。このプレートは上下についています。
但し、屋外撮影の場合は外したピントグラスを何処に置くのか、かなり気を使います。 |
あちゃ〜、やってしもうた!(-_-;
うみょ吉さんのぶつぶつの「衝撃のロールフィルムホルダー」に書かれていたことですが、トヨのロールフィルムホルダーを使う上で最も犯しやすいミスは、フィルムを装填して裏蓋を閉めたときに、「巻止め解除ボタンをスライドさせてから、巻き上げ操作をする」という手順をうっかり忘れることです。この操作その物はトヨ以外のロールフィルムホルダーにもあるようですが、普段から35mmマニュアルカメラに慣れ親しんできた人は「裏蓋を閉じたら巻き上げ」という動作が体に染みついています。それでうみょ吉さんは二回も失敗をしてしまったようです。決められた操作を守らないと、フィルムは巻き上げられてもカウンターは進まず、規定枚数の撮影が出来なくなります。しかも現場ではそのことに気づかないことが多く、現像が済んでから「ゲッ!!」という事になります。感謝すべきは先人(うみょ吉さん)の教え...私は撮影前に「ボタンをスライドさせてから、巻き上げだよ!」と何度も家で練習しました。そして初めてのロールフィルムによる撮影の日、「レバーをスライドさせてから巻き上げだよ」とつぶやきながらフィルムを装填し、裏蓋を閉めて「パチン! ジーコ・ジーコ」(巻き上げレバーの音です)...「ゲゲゲゲゲッ!!」
やっぱり体に染みついた動作は、一筋縄では矯正出来ないようです。1.5巻き分余計に進めてしまったフィルムは、現像が上がってみると8枚目まで写っていました。8枚目のお尻はフィルムエンドと(運良く)芸術的に一致していたのですが、そこにはフィルム現像時に使ったクリップの「穴」が無残にも多数開いていたのです。美しいはずの湯来の枝垂れ桜の全景写真はズタズタに...Ah!
皆さんもこのロールフィルムホルダーを買われたら、この点には気をつけてくださいね。
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フィルム現像時に用いるクリップの穴で、ずたずたになった湯来の枝垂れ桜の全景写真です。Ah〜! |
やっぱり、凄いや...
フィルム装填時の「あちゃ〜」で、最後のコマをずたずたにしてしまった湯来の枝垂れ桜のフィルムですが、それ以外のコマに写っている写真は、やはり35mmとは全く異なる情報量で私を魅了しました。例の夜明けの光の中で蒼く発色するE100VSによって撮影された枝垂れ桜は、35mmの写真とは異なり、小さな花びらの一枚一枚の表情が読み取れるほどに緻密な描写をしていたのです。大判カメラとしては異例な使い方だとは思ったのですが、花の前後のボケが欲しくてフジノンT300mmF8を何と開放で用いました。このレンズのイメージサークルは開放では4x5に対してギリギリですが、6x9であれば余裕があるので周辺光量は全く問題なし。大判フィルムであればフィルム面の平滑性や精度に不安があり、焦点深度でカバーすべく絞り込むのですが、300mm開放、前後のボケるややマクロ的な撮影であるにも係わらず、狙った花へのピントはビシッと決まっていました。トヨのロールフィルムホルダーのフィルム面精度はかなり高いようです。
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35mmフィルムと比較すると情報量が「違いすぎる」6x9写真。35mmの5.4倍の面積があります。4x5は6x9の更に2.5倍の面積があるので、大判写真が如何に凄い情報量を持っているか想像できると思います。大判カメラで撮影した写真としては珍しい部類に入ると思うのですが、300mm開放で撮影しているので、前後が大きくぼけた、35mmフィルムの写真とほぼ同じ写真が得られています。ブローニーフィルムを読み込めるスキャナが無いので、ライトボックスの上のポジをデジカメで撮影しました。
※4x5まで読み込めるフラットベッドスキャナを新しく購入しても安いものなのですが、現在使っているEPSON
GT-9500はまだまだ機械的になんら問題がなく、捨てるのに忍びないので買い換える気がしないのです。ホームページに掲載しても大判、中判の緻密さは再現出来ないしね〜。 |
ロールフィルムホルダーは、単に大判カメラを安価なフィルム代で楽しむだけの機材ではなく、別の性能を持ち合わせているものだと思いました。大判カメラを買ったら、みんな買うべし..と推薦したい機材です。
ふっふっふ、あなたは大判が欲しくなった、欲しくなった、欲しくなった、欲しくなったよね〜(^_-)
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