KENがフィッシュアイレンズを買ったという、タダそれだけのお話です(^^;
1 フィッシュアイがイチバン...
フィッシュアイレンズは写真を始めた頃からの憧れでした。当時、カメラの頂点といえばニコンFで、頂点カメラを支えるに相応しく、ニッコールレンズカタログには各種フィッシュアイから、ヘリコイド部とレンズ部が別体の超望遠レンズ、果てはレフレックスの2000mmまで、小学生の私の目をキラキラと輝かせる綺羅星のようなレンズ群が揃っていました。その中でも私の目を釘付けにしたレンズ、小学生の当時から4●歳になった現在まで変らずに「歴史上で最も美しく審美なレンズであり、日本で生まれた最高に芸術的なガラス工業製品」だと思い続けているレンズ、或いは別の言い方をすれば「歴史上の市販レンズの中でイチバン偉い」と思うレンズがありました。
Fisheye-Nikkor 6mm F2.8
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レンズ直径236mm(EF1200mmの228mmよりもデカイ!!)
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重さ5.2kg(焦点距離1mmあたりの重さは867gで、EF1200mmの13.8gなど比較にならぬ(笑))
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三脚座付き(フィッシュアイで!)
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画角は180度を越える220度!!(自分の足や三脚が写り込むよ)
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この超ド級スペックにして、ミラーアップを必要としないレンズ設計!
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その美しき姿は→こことこことここ
このレンズ、もし売り物が10万円以下であったら即買いたい逸品です。発売中止直前には100万円を越えていたレンズなのであり得ない価格ですけど(^_^;。リビングのオブジェとしてこれほど美しいガラスの置物は無いと思うので、ニコンボディは要りません(笑)。
なお、友人M氏によれば、このレンズには兄貴がいるそうです。南極観測用のFisheye-Nikkor
6mm F1.4!!!。その実物はオバケキノコの様だとか...このレンズによる南極観測結果はここ
※このリンク先から更にリンクされている論文を読むと、Nikkor
6mm F0.9 Fisheyeというレンズもあるらしい。但しイメージサークルの小さな冷却CCD用だとか。それでも日本光学って凄いレンズを作るね〜〜〜オドロキ!!
という事で、私にとってレンズとは、これ即ちフィッシュアイなのです(おい!)
2 で、フィッシュアイを買いました(中学生の時に)
中学のときにフィッシュアイレンズを購入しました。とは言ってもクルマよりも高かったFisheye-Nikkor
6mm F2.8ではなく、その数十分の一の価格のKenko Fisheye Lensというフロントコンバージョンレンズです。このレンズは小型ですが、第一群レンズがもっこりと丸くて、羨望のFisheye-Nikkor
6mm F2.8に良く似た美しさを持っており、それが主な購入動機だったりします(笑)。
これで何度か写真も撮りましたが、対角魚眼になる100mmのヘキサノンレンズを持っておらず、標準レンズにつけると円周魚眼なので、絵心や構図能力のカケラも無かった中学生の私には使いこなせませんでした(^_^;。画質の方もやっぱり価格なりで周辺部が甘く、早々にレンズはカメラバッグの肥やしに....この時の経験がトラウマとなり、フィッシュアイ撮影は私の手に負えない物なのだと思うようになりました。そして月日は流れて....
30代後半に写真撮影を再開し、14mmレンズを入手して超広角撮影の面白さを知り、もっと画角の広いレンズが欲しいなぁ、と思った頃に、シグマからEOSに使えるAF15mm
F2.8EX Diagonal Fisheyeが定価6万円で発売されました。無理すれば買うことも不可能では無い価格なので、私はフィッシュアイに手を染めてみたくなりましたが、撮影の難しさの方は相変わらず気がかりで「入手してもやっぱり使いこなせないかな?」という不安もあり、なかなか購入には至りませんでした。
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ケンコーフィッシュアイレンズ。フロントコンバージョンレンズで、標準レンズに付けると円周魚眼レンズ(開放値F5.6)、100mmレンズに付けると対角魚眼レンズ(開放値F11)になります。使い方はマスターレンズ側を絞り開放にして、魚眼レンズ側で絞りを調節します。
最近のAFレンズ(特にズーム)ではケラレが発生する事が多く、180度の画角を得られないことがあります。またかなりの重量物をレンズ先端に付けることになりますので、プラスチックレンズだと折れるかも知れません。右は作例で、コニカFS-1、ヘキサノンAR50mm
F1.7にケンコーフィッシュアイレンズを装着して撮影しています。 |
3 衝撃!文字どおり天と地がひっくり返る程のオドロキ
一年ほど前に大事件がありました。フィッシュアイを使いこなせないのでは?という不安を吹き飛ばし、私のイマジネーションを掻き立てるような写真に出会ったのです。「千里川の散歩道」のサイトオーナーで、伊丹空港を中心として航空機写真を撮影されている、やま2さんが撮影された飛行機の着陸シーンです。やま2さんの御厚意でこちらに掲載させて頂きましたのでご覧下さい。
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ランディング もしくは 水の惑星周回軌道離脱
撮影:「千里川の散歩道」のオーナー、やま2さん
EOS3, EF15mm F2.8 Fisheye, M, 1/6sec., F4, E100VS
B747 2003.5.5 千里川土手
<この写真が発表されたときのコメント>
【水の惑星周回軌道離脱】
空の部分を「水の惑星」、地面を「宇宙」とイメージしてください。軌道連絡船が尾部の姿勢制御ジェットを吹かし、水の惑星へと向かいます。(宇宙には上下がありません。上に向かって降りていきます。)遠くに見える垂直の光は、地表と軌道ステーションを結ぶ「軌道エレベーター」の光です。(^^;) |
どうです!この幻想的なシーン。E100VSを日没直後に用いた妖しいパープルの世界に、前輪一点だけを見事に写し止めて、他は芸術的にぶらした飛行機のシルエットと滑走路の誘導灯....この物凄い写真を、ご自分のレンズではなく、この日にご友人から借りられて初めて使われたEF15mm
F2.8 Fisheyeで、縦位置流し撮りで仕留めてしまう技量とセンスには脱帽ですが、この写真の凄さはこれだけではありません。私が「これは、フィッシュアイを買うしか無い!」と思ったのは、この写真が発表された時のやま2さんのコメントを読んで、「上に向かって降りていきます。」という情景をより直感的に確認する為に逆さまにして見たときです。
どうでしょう。水の惑星にそびえる巨大な宇宙基地。そこに向けて着陸体勢に入っている大きな宇宙船...という絵柄に見えませんか?空が地球(惑星)になり、地球が空(宇宙空間)になる、こんな不可思議なマジックを実現してしまうレンズ、文字どおり天と地がひっくり返るほどの発想の自由度を与えてくれるレンズは他にないでしょう。「これは使いこなせる、使いこなせないという問題ではなく、買って使いこなすのだ!」と、この時にKENは思ったのです。
4 SIGMA AF15mm F2.8 Diagonal
Fisheyeが我が家にやってきました。
〜あの衝撃から一年近くも経って(笑)
しかし、その後もフィッシュアイレンズを購入しませんでした。貧乏性なのでしょうね。中古がないと買う気がしないのです(笑)。最初に興味を持ってから丸3年以上丹念に中古を探し続けましたが、SIGMA
AF15mm F2.8 Diagonal FisheyeのEOSマウントの中古にはお目にかかれませんでした(他のマウントだとあったのですが)。
転機は2003年の末です。つぶやきvol.203で書いたように、取り敢えず応募した紅葉写真がフォトテクニック誌に大きく掲載されてしまい、年間ベスト2賞まで頂いてしまったのです。この副賞が商品券15000円分!この臨時収入で自分に何かご褒美を...と思った次の瞬間にはキタムラT町店に電話をかけていました。商品券を使えば差額(実質的な自己負担額)は中古よりも遥かに安価になるからです。
KEN :「A澤さん、○○○の商品券は使える?」
A澤さん:「使えますよ」
KEN :「じゃ、シグマの15mmフィッシュアイ、EOSマウント、土曜日までに入れておいて」
かくして、冬休み前にシグマのフィッシュアイが我が家にやってきました。まだ十分なテスト撮影を終えていませんが、第一印象はすこぶる良好で、性能面で一切の妥協をする必要が無いほど高性能なレンズです。太陽をどーんと入れてもゴーストの気配は無く、開放から周辺部まで相当にシャープで、周辺光量低下も殆ど感じられません。AFではピントリングが回ってしまうにも関わらず、ニコンの良く出来たAFレンズのような良好なMFフィーリングまで持ち合わせていました。タムロン90mm
F2.8マクロを購入したときに匹敵する興奮を与えてくれるレンズです。入手して良かった〜
まだ作品と呼べるほどの写真を撮影していませんが、近い内にこのレンズのレビューを掲載するつもりです。お楽しみに.....あ、いえ、期待しないで待っててね(^^;
取り敢えずの作例
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EOS3, SIGMA AF15mm F2.8EX Diagonal Fisheye,
F5.6, AE(-0.7EV, 10sec.), RVP
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続く
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