♪♪♪ 撮影記です ♪♪♪
2004年4月4日(日曜日)、昨年に引き続き午前4時起床、そして昨年同様に天気は雨(→昨年の4月4日の撮影記は、つぶやき182「雨桜」参照)。今年は湯来の枝垂れ桜を気合を入れて撮影する予定なので、目的地はもちろん湯来である。家を出るとちゃんと雨が降っており、心はウキウキだ。昨年存分に味わった雨桜のしっとりとした情感に、今年は日の出前のE100VSのブルーの発色を重ねる事を狙っているからだ。考えただけでもぞくぞくする写真が撮れそうだ(^o^)。
朝5時過ぎに湯来町・湯の山温泉に到着する。せっかくの日曜日だと言うのに雨の為か撮影に来ているカメラマンは少ないようで、駐車場にクルマは数えるほどしかいない。雨なので持ち歩く機材は最小限にして、レンズはEF70-200mm
F2.8L一本勝負とする。これに三脚、タオル、傘、メモ帳を持ち歩き撮影することにした。5時半頃ぎには枝垂れ桜の撮影のスイートスポットに到着し、夜明けの光を求めて迅速に撮影にかかる。例年であれば狭いこの場所に数十人のカメラマンが3列になってひしめき、更に撮影場所にあぶれたカメラマンが周囲の空き地を埋め尽くすのだが、今日は3〜4人しかいない。他の人は霧の出現を待っているのか、カメラを設置したまま撮影していないが、私はE100VSが特徴的な発色をする日の出時間までが勝負なので、絶え間なく構図を作り、絶え間なくシャッターを切る。出来れば土砂降りの雨の中で、霞む枝垂れ桜を狙いたかったが、雨は穏やかな降りで、ファインダーから見る景色に雨は直接の存在感を表さない。しかしそれでも晴れの日には無いしっとりとした情景がそこには有る。
数カット撮影を済ませてから新たな構図を求めて場所を変える事にした。最初のスポットから少し奥に入ると第二の良い撮影ポジションがあった。一昨年までは畑の中に立木があり、そこから桜を殆ど見通せなかったのだが、今年は畑が刈り込まれており、桜が何の邪魔物も無く見える。しかも両側に残る小さな木が桜の両脇に有る背後の家を覆い隠してくれる。そこでまたカメラをセットし、迅速に撮影にかかる。その間、ここですれ違ったカメラマンは精々5〜6名であった。
第二の撮影ポジションでの撮影を終えると、桜の北東側の広場に行く。そこには10名程度のカメラマンがいて、霧の状態が良くなるのを待っているようであった。見れば背後の山から雨霧が立ち上っていた。霧よりもE100VSの発色優先の私は例によってさっさと撮影にとりかかり、数カットをフィルムに収める。その次には桜の根元に立ち、いつもの枝を雨の光の中で撮影した。これで一本目のフィルムが終了、見れば雨も殆ど上がりかけており、時刻も日の出の時間を過ぎE100VSの真骨頂時間も終わったので、私はこの日の湯来の枝垂れ桜の撮影を終えることにした。午後からは天気が回復するとの予報だったので、カタクリの撮影に向かう計画なのだ。向原のカタクリは2時ぐらいまでが開花時間なので、正午前には着きたい。その為にも湯来での撮影は比較的早めに切り上げる必要があったのだ。
それにしても、この絶景に対しカメラマンは精々20名程度しかいないとはどうしたことだろう。一昨年には数百名がひしめき、クルマは周囲の道路まであふれて停められない人まで出たというのに、ちょっと雨が降るだけで9割以上の人はお留守番を決め込むようである。本当に勿体ない話だ。
数日後、ポジが出来上がってきた。2004年の湯来の枝垂れ桜撮影としては前回つぶやきに書いたように「惨敗」で、いつもの枝の写真が思うようには撮れなかった。それで酷く落胆しているのだが、しかし雨の中の情景は予想通り実に妖艶な仕上がりであったのが救いである。この発色を見てしまうと、桜、雨、夜明け、E系エクタクロームは無敵の組み合わせかと思った程だ。
実は湯来には4月3日から5日まで三日連続で夜明け前に通っており、5日(月曜日)には晴れた光の中での桜の全景も撮影した。その情景もそれなりに味わい深いが、夜明けの雨のE100VSと比べてしまうと「平凡」と言わざるを得ない。
雨ゆえに日曜日の湯来に来なかったカメラマンの皆さん、あまりに勿体ない。桜はやっぱり雨が似合う、とりわけ枝垂れ桜は英語で「すすり泣く桜(weeping
cherry)」と言うだけあって雨景色こそ本領を発揮すると思う。来年こそは雨を狙って撮影にでかけては如何でしょう?
では、雨の枝垂れ桜の写真を数枚ご覧いただきましょう。
晴れと
雨の描写の違い
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EOS3, Tamron SP-AF90mm F2.8 Macro, F2.8, AE(0.0EV,
1/1000 sec.), RVPF |
EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (100mm), F8, AE(-0.3EV,
0.3 sec.), E100VS |
左は晴れた朝の斜光線とVelvia 100Fの組み合わせ。もちろん自然な発色でまとまりのある写真だと思います。背景の山の木々の質感もきちんと表現されています。晴れているだけあってコントラストが高く、桜の花の細部描写は今一つです。
右は雨の日の、日の出の時刻よりも前の光線状態とE100VSの組み合わせです。雨のしっとりとした情感に、E100VSの特徴的な青い発色が重なり、このように妖艶な発色の写真が出来上がりました。この色使い、なんとなく私の大好きなモネの絵に似ています。だから粒子が粗くともE100VSが手放せないのです。この写真が出来上がった週末にはE100VSを12本買い足しました。
実はこの写真、どちらもトリミングをしていません(スキャニング後の黒縁落としは除く)。異なる日に何等意図も無く撮影地に赴き、適当に三脚を立てて、異なるレンズを使っても、この様に殆ど寸分も違わぬ構図で撮影するあたりは我ながら凄いと思っています。前回つぶやきの枝の写真も構図は殆ど動いていませんね。裏返せばいつも似たような構図で撮影している、という事かも(^^;
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EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (200mm), F8, AE(0.0EV,
2 sec.), E100VS |
EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (80mm), F8, AE(0.0EV,
1/6 sec.), E100VS |
左の写真はこの日の2カット目に撮影した写真で、E100VSの発色が活きています。明け方の湯来に風は無く、2秒という露出でもこの様に花はぶれることも無く緻密に表現されています。雨で濡れた花と、フラットな光も緻密な表現を助けています。
右の写真は日の出の時間も過ぎて発色はノーマルに近づいていますが、雨の日には背景の山から霧が立ち上り、別の魅力ある情景を恵んでくれます。だから桜の季節の雨の早朝には、湯来やそれ以外の桜の名所に撮影にでかけると、きっと良いことがあると思いますよ。 |