フォトテクニック誌2006年1/2月号の発売は2005年12月20日。必撮・風景&ネイチャー部門に掛頭山の霧とオリオン座の作品が大きく掲載された(→つぶやき238)喜びを味わうのも束の間、翌号の3/4月号の応募〆切が12月末日なので早速応募作品の選定に入らなければなりません。作品応募には雑誌巻末の応募カードが必要で、雑誌発売から応募〆切までは10日前後(週末単位では1〜2回)しかなく、結構せわしないのです。おまけに年末で仕事と大掃除と年賀状があるし(^^;
つぶやき238にも書いたように、2006年度の方針は「ダメもとの必撮連続掲載狙い」。これは年間掲載回数よりも、兎に角掲載を繋げて行く方に重点を置かざるを得ないので、多少の季節感を無視して自分なりに良いと思う作品から順番に応募する事にしました。
作品選定の第一歩は、自分のホームページのギャラリーを順番に見て行くことです(笑)。それで今回目に留まったのは湯来の枝垂れ桜の写真。夜明け前のE100VSの発色に、霧が加わって幻想的な桜の写真になっていると思います。これは狙って撮れるものではなく、自然がホンのわずかの間だけ恵んでくれた瞬間に居合わせた幸運によるものです。実際この後で4x5で撮影した写真にこの霧は殆ど無く...。
『まだ12月だと言うのに桜の写真を応募するんかい?』というもう一人の自分が問い掛けてきましたが、一応3/4月号への応募なので『まあ良いか』と自分自身に言い聞かせました(笑)。だから今回はこの桜の写真の一枚応募で.....
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EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (90mm), F5.6, AE(0.0EV,
30sec.), E100VS |
..とは思ったのですが、連続掲載を狙う上でもう一枚応募する事にしました。実はこの写真、とても気に入ってはいるのですが、桜の右下に後方の照明が写っているのです。ウェブ上の写真ではあまり気になりませんが、ポジ原版で見るとかなり存在感があって目障りで、審査員の気に障るかも知れません。『撮影ポジションをもう少し動かしてこの明かりを避けなさい』という落選アドバイスが聞こえてきます(笑)。実際の現場では1mも横に移動したら左右の立ち木が邪魔をするほど撮影ポジションが限られるので、選択肢は有りませんでしたが。
もう一枚を選ぶ際にも、湯来の枝垂れ桜の写真から選定しました。二枚以上応募する場合にテーマを分散させては、テーマまで審査員に選ばせるようで失礼かなと思うのです。しかし同一テーマでも写真の性格は変えないと、それもまた失礼。中には段階露出や連続撮影した写真を片っ端から送る人も居るみたいですが、そこまで行くと失礼を通り過ぎて無礼ですね。
で、その「もう一枚」ですが、選ぶ主点を「光」にしました。これは審査員の丹地先生の作品を沢山拝見して思った事なのですが、コントラストのあるドラマティックな光にしても、柔らかな光にしても、丹地先生って光源の存在を感じさせるような作品が多い印象を持ったからです。その印象に従って、朝日の光を感じさせる作品をもう一枚。......ホームページをチェックしていて最初に心に留まったのはこの写真でした。ウェブ上ではかなりくすんだ感じに見えますが、原板は透明感もあって良かった記憶が...
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EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (70mm), F16, AE(-0.7EV,
1/25sec.), E100VS |
しかしポジ原板をチェックすると、朝日を感じるものの画面全体の美しさが応募するには今一つに感じたのと、画面下側が煩雑で余計なものが写っているので、没!。それではと、もう少し柔らかな朝日の中に桜が咲くこの作品を選びました。
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EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (70mm), F5.6, AE(0.0EV,
1/125sec.), E100VS |
この作品は素直な作画でインパクトに薄い気もしますが、柔らかな光の中に光源を感じさせる作品としてはまあ良いかな、と思って選定しました。実はポジ原板で選んだのは、この作品よりも0.3EV明るい露出のカットです。私の古いスキャナではスキャニング時にハイライトが飛んでしまいそうな写真なので、ウェブに載せているのは明るすぎない写真にしていますが、ポジ原版の場合は質感を失わない範囲で出来るだけ明るい方が美しく見えたりします。選定したカットはハイライトがより美しく仕上がっていました。
今回は丹地先生がどちらの写真を選ばれるか楽しみでした。二枚応募したからと言って掲載されるとは限りませんが、少なくとも「もうすぐ必撮」に入れば、二枚の内どちらに丹地先生が軍配をあげたか分るからです。写真を通じた丹地先生との対話を私が意図したわけです。さてさて、どうなることやら。フォトテクニック3/4月号が発売になる2月20日が楽しみです。
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1月26日の夜、フォトテクニック編集部からメールが来ました。何だろう??と思って開くと、3/4月号の大掲載決定の連絡と作者コメントの提出依頼でした。
えっ、また大掲載(^^?
....今回は大掲載を狙うなんて大それた事はしていませんし、前号で大掲載になっているので、どんな写真を送った所で連続大掲載だけは無いと思っていましたから、通知を受け取ってビックリしたというか、きょとんとしてしまいました。選ばれたのは二枚目、横位置で桜が右にある写真の方でした。やはり丹地先生は光をとても大切にされる方のようです。
フォトテクニック誌2006年3/4月号、必撮・風景&ネイチャー部門掲載
EOS3, EF70-200mm F2.8L USM (70mm), F5.6, AE(+0.3EV,
1/100sec.), E100VS
一つ上に掲載している写真をベースに、上記露出値相当にフォトショップで修正した写真です。これを書いている時点で原板がフォトテクニック編集部の元にありスキャニング出来ませんで
した。また仮にスキャニング出来たとしても私のスキャナではハイライトが再現されない気がします。
さて、落ち着きを取り戻してからフォトテクニック編集部の方に相談を持ちかけました。必撮・風景&ネイチャーで大掲載になると、見開きの左ページから右ページにまたがって掲載される為に写真の右1/4の所に本を綴じている部分が来ます。それでは折角の桜が分断されて殆ど見えなくなってしまうので何とかしなければ...。相談の結果、写真は見開きの右側のページ主体に配置して、本を綴じている部分が写真の左1/4の所に来るよう調整して頂けました。ヨカッタ(^o^)
また、この写真を見直していたら「他の多くの人もこの写真に近い作品を撮られているだろうなぁ」と気になって来ました。湯来の枝垂れ桜は撮影ポジションが限られるし、朝は人が沢山居られるのでこの様な光線状態では構図も露出も絵柄も似たようにならざるを得ません。だから「これ、私の写真と同じだよ!」と思われる方がいても不思議はありません(私はこの撮影に際してどなたの写真も参考にはしていませんけどね)。またこの構図の素晴らしさはカメラマンの腕ではなく、桜の前の畑の木を絶妙な配置で伐採した人のセンスの賜物です。という事で、今回の入選は私個人の入選というよりも、湯来の枝垂れ桜を愛する皆さんと共同の入選と考える事にしましょう。
さて、5/6月号の応募作品選定に取りかからなきゃ(^o^;
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