Sigma AF APO 70-300mm F4-5.6 DG Macro でEXテレコンを使う
KENのつぶやき vol. 308
(2009.5.23)
今回のつぶやきは、Sigma AF APO 170-500mm F5-6.3を題材にしたつぶやき92「シグマEXテレコンのご法度使用法」に続く、シグマEXテレコンのメーカー非推奨の使い方です。使う場合はあくまで自己責任で、、
Sigma AF APO 70-300mm F4-5.6 DG Macroは、新品実売2万円台、中古なら1万円台というお手軽なお値段にも関わらずEF 70-200mm F2.8L USMを脅かす解像度と、EF 70-200mm F2.8L USMとは比較にならないほど強く、朝夕の太陽を全く苦にしない逆光性能で私の主力レンズに納まりつつあります。このレンズにはもう一つの特技として1/2倍までのマクロ機能があり、ズームリングの焦点距離が200mm〜300mmの間にある時にマクロモードにする事ができて、無限遠から最短95cmまでの接写が出来ます(通常モードは無限遠〜1.5m。最大撮影倍率1/4倍)。1/2倍という本格マクロ域でズームによる構図調節が出来るという、本格マクロレンズにも殆ど例が無い特徴を備えています。
このレンズ、見かけは安っぽいし、フォーカシング時にフィルター枠が回転してしまうなど、現代の標準からすればキットレンズ並の最廉価な造りですが(実際キットレンズとして販売される下位のAF 70-300mm F4-5.6 DG Macroと同じ造りです)、鏡筒先端の赤鉢巻きと、SIGMA APO DGの金バッヂが只ならぬ性能を細やかに誇示しています。右がマクロスイッチで、焦点距離が200mm〜300mmの間にある時にマクロ側にスライド出来て、この場合はズームリングの動きが200mmと300mmの間のみに制限されます。
レンズマウント側です。左は通常の収納状態(焦点距離70mm)で、後群レンズはマウント面まで出てきています。このレンズは従ってシグマのEXテレコンには未対応(装着不可能)になっています。しかしズームレンズに良くあるように、長焦点側にズーミングすると後群レンズは前進し、右側の写真の様に大きな「穴」が開きます。
同じシグマのAF APO 50-500mm F4-6.3 EX DG HSMにはテレコンスイッチが付いていて、こちらはズーム域を100〜500mmに制限する代わりに後群レンズがマウント面まで出てくるのを防いで、EXテレコンが使えるようになっています。後群レンズの動きだけを見れば、AF APO 70-300mm F4-5.6 DG Macroのマクロスイッチもテレコンスイッチと同じ働きをしています。そこで、、、
レンズマウント部の「穴」の直径を測定しました。この穴はすり鉢状になっていて、奥に行くほど小さくなるので、測定場所はレンズマウントから1cmほど奥まった所です。測定結果は28.45mm。
こちらは以前のつぶやきに掲載した写真ですが、DGタイプでは無い旧型のEXテレコンの前群レンズ突出部の直径です。1.4xの方が25.8mm、2xの方が30.8mmなので、1.4xの方なら装着可能という事になります。なお同じ1.4xでもDGタイプは2xの様にレンズの周りにフチがあり、径が大きくなっていますので装着出来ません。
という事で装着してみました。ズームリングを200mm以上にし、マクロスイッチをマクロ側にしておけば何ら問題なく装着出来、AF, AEともに動きます。このレンズはテレコン非対応なので、絞り値はテレコン装着しても露出倍数補正されず、マスターレンズの絞り値がそのままカメラ側に表示されます。多分居られないとは思いますが、単体露出計を使って撮影する場合には注意が必要です。AFは動きますが、開放F8のレンズになりますので、F8対応センサーを持ったカメラでないと実用的ではありません。
マクロモードで1.4xテレコンを装着すると280-420mmの焦点距離で撮影出来ますので、これ一本で70-420mmという広い焦点距離を連続的にカバー出来ます。またこの組み合わせをAPSデジタル一眼レフに装着すると、焦点距離420mm (換算672mm相当)というとんでもない焦点距離で、ファインダーに写る範囲は等倍マクロと同等以上(0.5倍x1.4倍x1.6倍=1.12倍)の撮影が出来ます。しかもズームで構図調整可能なので、ワーキングディスタンスの欲しいマクロ撮影では重宝するでしょう。もちろん無限遠撮影も可能です。
繰り返しになりますが、この裏技はDGタイプでは無い旧型の1.4x EX APO TELE CONVERTERのみで可能です。またメーカーは仕様の途中変更をする事がありますので旧型の1.4x EX APO TELE CONVERTERの中にも前群突出部の径の大きな物があるかも知れません。お持ちのテレコンのレンズ形状を上の写真とよく照らし合わせてご活用下さい。
参考までに、キヤノンの純正エクステンダーの前群突出部の径は33.5mmありますので使用出来ません。またケンコー製のテレプラスは前群レンズが突出していませんので、このレンズを含めて幅広いレンズで使用可能です。
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