SIGMA APO100-300mm F4 EX DG HSM
KENのつぶやき vol. 342
(2011.5.10)
2011年5月3日のダイアリーで触れましたが、SIGMA APO100-300mm F4 EX DG HSMを入手しました。
何故このレンズが欲しくなったかと言えば、EF70-200mm F2.8L USMが哀しくなるほど逆光に弱いのと、その対策として入手したSIGMA APO70-300mm F4-5.6 DG MacroのハーフNDフィルター併用時に使いにくさがあり、日の出撮影時の望遠ズームの決定版として迎え入れました。
EF70-200mm F2.8L USMの逆光性能についてはつぶやき165-166とつぶやき240-241で紹介しているので、話題は後に回しまして、まずはSIGMA APO70-300mm F4-5.6 DG Macroについて語りましょう。
SIGMA APO70-300mm F4-5.6 DG Macro
大将☆さんがこのレンズを入手されて日の出日没で活用されていまして、その生画像を拝見して感銘を受けて購入したレンズだけあって、逆光性能は完璧です。
このレンズは真昼の太陽を相手に意地悪テストをすれば、僅かなゴーストを発生させることも不可能ではありませんが、ご覧のように日の出日没の太陽相手であればどの焦点距離でもゴーストフリーです。故に日の出望遠撮影が必要なときの最終兵器として常に持ち出していましたが、フォーカシング時にフィルター枠が回転してしまうために、ハーフNDフィルターを使用すると使いにくさが目立ちました。というのもハーフNDフィルターの水平を調整するとピントがずれて、ピントを調整するとハーフNDフィルターの水平が狂うというイタチごっこを現場で繰り返すからです。
またこのレンズの画質には定評がありますが、基本的な作りが安価ズームで、長焦点側で華奢な鏡筒が伸びるためにレンズの偏芯が発生し、中心部はシャープでも周辺部が偏芯ボケする傾向があり、これを解消するには最低でもF16まで絞り込む必要があります。日の出撮影なら絞り込めるので特に問題はありませんが、夜明け前や通常の撮影だと問題になります。
Canon EF70-200mm F2.8L USM
長年キヤノンを代表するレンズだけあって、太陽を相手にさえしなければ殆ど非の打ち所のない銘玉で、逆光性能にあれだけ文句を言ったにも関わらず必ず連れ出すメインレンズになっています。私の使用経験と簡単なテスト結果では、どの焦点距離でもF4から十分な解像度を持ち、F5.6〜F8付近で解像度と周辺減光の両面で最高の性能を発揮します。SIGMA APO70-300mm F4-5.6 DG Macroとは異なりレンズの作りも堅牢なので、片ボケの様な兆候は無く、どの焦点距離、どの絞りでも均質な画質を提供し、ボケ味は本家マクロには1〜2歩譲る物の開放限定、中距離限定で用いれば美しいボケで被写体を浮かび上がらせることが出来ます。
私が信頼しているLensTip.comのテスト結果では、並み居る単焦点レンズを凌駕するような解像性能を持っていて、非ISバージョンのこのレンズは最新のF4L ISやF2.8L IS IIが出るまではEF70-200ファミリーの中で一番高性能でした。
この性能に無敵の逆光性能が加われば理想の望遠ズームなのですが、逆光性能だけはボロボロで、私自身の評価もLensTip.comの評価でも最低です。
EF70-200mm F2.8L の解像性能とSIGMA APO70-300mmの逆光性能を併せ持つレンズは?
LensTip.comの逆光テスト結果を見ると、高性能レンズの誉れ高い銘玉揃いの70-200mmクラスの逆光性能は1996年発売のAi AF Nikkor ED 80-200mm F2.8Dを唯一の例外として全滅で、それ以外の歴代キヤノン、ニコン、シグマ、タムロンは太陽を画面内に入れるとゴーストだらけです。全部で5種類あるEF70-200Lファミリーの中で一番良好なのはF4L ISですが、やはり目立つゴーストが発生し評価は中庸止まりとなっています。70-200mmというレンズ構成は逆光に対して何か性能を上げられない宿命でもあるのかなと思いたくなる結果です。
一方で思わぬ穴場は廉価70(〜90)-300mm F4-5.6クラスのレンズ。逆光テスト結果で文句なしの評価を得ているレンズにSIGMA 70-300mm F4-5.6 DG OS, Canon EF 90-300 mm F4.5-5.6 USM, Ai AF Nikkor ED 70-300mm F4-5.6D 等があり、APS-C専用望遠レンズにも数本あります。生憎SIGMA APO70-300mm DG Macroはテストされていませんが、こちらも文句のない逆光性能を持っていることは前述の通り。70-200mmとは違って70-300mmというレンズ構成には逆光に強くなるマジックでもあるのかな?と思いたくなります。但しこれらのレンズの解像性能は70-200mm高性能レンズ群と比較すると1〜2歩譲るのも共通点。
その様な中で、異端児とも言えるテスト結果を残しているのがSIGMA APO100-300mm F4 EX DG HSM。70-200ファミリーに比肩する諸性能と、文句なしの逆光性能が同居しているレンズとして極めて希なIt's worth recommendingの評価を得ていますし、photozoneでもHighly Recommendedを獲得しています。もちろんフォーカシング時にフィルター枠は回転せず、ハーフNDフィルターの使用にも問題ありません。
SIGMA APO100-300mm F4 EX DG HSM最終型を購入
不思議な物で、私がシグマのレンズを入手するとそのレンズは製造中止になる傾向があるようで、先日APO150mm F2.8EX DG Macroを入手したらOSバージョンが発表になりました。そしてこのレンズを入手してからシグマのサイトを見に行ったら、丁度カタログ落ちした直後(^-^;。恐らく近日中にOSバージョンが発表になるのではないかと思います(APO 300mm F4 HSM Macroの様にディスコンの可能性もありますが)。
このレンズには古い方から、非DGバージョン、DGバージョンのピントリングデザイン格子状、DGバージョンのピントリングデザイン縦縞状の三つがあり、私は最終型を入手しました。主な目的が逆光性能なので、自宅ベランダから早速テストして見ました。
まずは比較の為に、Canon EF70-200mm F2.8L USMの逆光性能。
そして、SIGMA APO100-300mm F4 EX DG HSMの逆光性能。
EF70-200mm F2.8L USMと比較すれば逆光性能の高さは一目瞭然。いかなる時でも完璧、とまでは言えませんが、過度に絞り込まずに使えばゴーストが無くフレアも少ない写真が撮れそうです。LensTip.comとphotozoneのテスト結果は一致していて、F5.6〜F8で周辺減光が解消されて、同時に解像度もピークを示しているので、逆光時はF5.6-8を基準絞り値にして撮影すれば良いかなと思います。
という事で、早速日の出時にテスト撮影してみました。
太陽がまだ低い状態ですが、300mmと126mmの両方で全くゴーストが出ていません。
太陽がより高くなって、目にまぶしい明るさになっても、ゴーストの気配は無く、太陽に向かって自由自在の構図を楽しめるレンズになっています。
レンズの使いこなしを確認するために、逆光以外の性能も自分自身でチェックしてみました。性格はどの焦点距離でも似ていて、中心部解像感はF5.6からF8のあたりでピークを示していますが、F4でややソフトである以外、他の絞り値でも極めて良好な解像感を示しました。APS-C周辺部の解像感はF5.6以上でほぼ良好、F8-F11で最良の性能を示しました。周辺減光はF5.6以上で気になりません。概ねF4開放を避ければ画面全域に不満の無い画像を提供してくれます。とはいえF4開放でも廉価レンズと比較すれば数段高画質です。
難敵EF70-200mm F2.8L USMと比較すると、両者共に最高の性能を発揮するF5.6-F8において、100mm域ではやや引き離されEFの方が上。しかし135mm域では全くの互角でF8ではむしろSIGMAが僅かに上、200mm域でもほぼ互角(厳密に見ればEFの方が上で線が細い)の性能を示し、このレンズがEF70-200mm F2.8L USM並の解像性能と最高の逆光性能を併せ持つという期待値はほぼ達成されました。
このレンズの欠点は並のカメラバッグに立てて入らない大きさと重さ(長さ実測25.4cm, 重さ実測1.7kg, キャップ、フード、フィルター込み)ですが、大判カメラを持ち歩く身からすれば些細な問題で、これから活躍して貰います。
日本のサイトからカタログ落ちしているので、米国シグマが公表しているスペックを掲載しておきます。
レンズ構成 |
14群16枚 |
画角 |
24.4度〜8.2度 |
絞り羽 |
9枚 |
最小絞り |
F32 |
フィルター径 |
82mm |
最短撮影距離 |
1.8m |
最大撮影倍率 |
1:5 |
大きさ、重さ |
92.4φ x 224 mm、1.48kg(国内カタログ1.44kg) |
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