センターフィルターとハーフNDフィルターを同時に使う(その2)
KENのつぶやき vol. 347
(2011.7.8)
つぶやき338でセンターNDフィルターとハーフNDフィルターを同時に使う方法を採り上げましたが、そこでご紹介した方法よりも簡単な方法を見つけましたので、再度つぶやきを執筆することにしました。
前回のおさらい
フィルター径67mmの超広角レンズ(Nikkor SW90mm F8s等)にステップアップリングを併用して77mm径のセンターNDフィルターを用いれば、レンズの持つ105度前後の包括角度が完全に使えます。そこで67-77mmステップアップリング〜77mmマルミセンターNDフィルターの取り付け構造を保ったまま、ステップアップリングに改造を加えることで、LEEのフィルターホルダーを使えるようにしたのが「つぶやき338」でした。
右の図面が前回のスペック。67-77mmステップアップリングに77-82mmステップアップリングを接着し、LEE 82mm WA (広角用)アダプターを使えるようにしました。しかしLEE 82mm WAアダプターは以前英国ポンドが高騰した時に倍額近い値上げになり、現在16100円(税別)もしますので、コスト的に気軽に実現出来る方法ではありませんでした。
左が今回のスペックで、67-77mmステップアップリングに単純にLEE 77mm 樹脂製アダプターを取り付けています。構造や作業は簡単ですし、LEE 77mmアダプターは6200円と相対的に安価ですが、LEEのアダプターリングそのものを改造する事になります。
LEEアダプターリングの改造
何故今回紹介する方法を前回思いつかなかったのかと言えば、LEEの77mmアダプターリングの構造変更を知らなかったからです。77mm径のレンズを沢山持っているので既に3つの77mmアダプターを持っていますが、写真右の様に全て金属一体型です。しかし先日入手した物は樹脂製で、最近製造方法が変わった様です。以前から72mm以下の一般用アダプターリングは樹脂製でしたが、77mm以上は105mmに至るまで金属製でした。
77mm樹脂製アダプターリングには、77mm雄-77mm雌の金属リングが填め込まれていて、力を込めると外すことが出来ます。右端は今回の改造用に準備した67-77mmステップアップリングで、マルミ製です。各社からステップアップリングが発売されていますが、ケンコー製は肉厚に出来ているので恐らく今回の改造には使えません。肉薄に出来ているマルミ製を使うことが肝です。
外した77-77mmリングの代わりに67-77mmステップアップリングを填め込みます。マルミ製だとやや緩めなので、隙間をセロテープなどで調整すれば簡単にしっかりと取り付ける事が出来ます。
これが改造リングの完成形。ステップアップリングの周囲にLEEの樹脂アダプターを取り付けただけなので、センターNDフィルターのケラレの心配はありません。
トミヤマ・アートパノラマ170(Nikkor SW90mm F8s)に取り付けた様子です。フィルターの位置関係は前回と同様ですから、レンズの包括角度をフルに使うことが出来ます。
LEEアダプターの超広角改造、という見方も出来ます。
今回の改造は、LEEの標準アダプターを安価に超広角対応アダプターに改造する方法と捉えることも出来ます。写真左はLEEの67mm広角用アダプターで、金属一体構造で、旋盤作業による複雑な構造をしているためにちょっと高価です(77mm以下のアダプターの価格は標準用が6200円、広角用が8200円、税別)。右は今回改造したアダプターリングですが、広角アダプターと同じ構造になっているのがお分かりになるかと思います。更に利点は前面に77mmのフィルターネジが切ってあり、ケラレの心配を余りせずにねじ込みフィルターを併用出来ます。
LEEの広角用アダプターリングが高くて買えない、という方は、樹脂製の標準アダプターとマルミ製ステップアップリングを組み合わせて改造しては如何でしょうか。但し樹脂製リングは77mmまでなので、フィルター径が72mmよりも小さなレンズ用しか作ることが出来ません。私も早速手持ちの72mm樹脂製アダプターと67-72mmステップアップリングを用いて、67mm用広角対応アダプターをもう一つ自作しました。
ステップアップリングを樹脂製リングに填めるときの節度感を適切に調節すれば、ステップアップリングを沢山用意することで、一つの樹脂製リングを様々なレンズ側のフィルター径に対応したアダプターとして使い回すことも可能です。LEEのアダプターリングは安価ではありませんので、買い増しにお悩みの方はダメ元でお試し下さい。
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